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秋の物語

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#2に続きます

騎士と司祭と壁子爵

次話

「秋風に吹かれて佇む城の外。思い思うは城の中。後悔すれども入城叶わず」
 秋晴れの空の元、拍子にのせて歌う男がいた。銀髪のその男は、目の前にそびえるようにして佇む鉄扉を見上げる。男の名はテンリ・ノマオシュロナ。目の前にある城に仕える騎士の一人である。

 バンワンソ子爵といえば、爵位こそそれほど高くないが、その治世の様は大陸の端に響き渡るほどの名君で知られている。しかし、子爵領の民たちの子

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