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音楽史年表記事編28.欧米のクリスマスのスケジュール

 日本ではクリスマスのお祝いがクリスマス前日のクリスマス・イヴを中心に行われますが、欧米ではクリスマスの4週前から待降節(あるいは待誕節)が始まり、翌年1月6日の顕現日までの1ヶ月以上にわたって行われます。宗派によってお祝いの仕方に違いがあるようですが、バッハは聖書に基づいてカンタータやオラトリオを作曲していますので、バッハのクリスマス・オラトリオBWV248を見て行けばおおよその流れがつかめるかと思います。なお、プロテスタント圏のバッハのカンタータはドイツ語で歌われますが、ウィーンなどのカトリック圏の教会ではラテン語のクリスマスのミサ曲が歌われます。
 クリスマスは12/25のクリスマスの4週前から待降節に始まります。12月になりますと日没が早くなり夜が長くなりますが、各地でクリスマス・マーケットが開かれイルミネーションなどで飾り付けられ、各家庭ではクリスマスの準備が行われます。
(第1部)12/25、ベツレヘムの馬小屋でイエスが誕生しますが、そのいきさつが語られます。
(第2部)12/26、天使がイエスの誕生を羊飼いに告知します。
(第3部)12/27、羊飼いたちがベツレヘムを訪問し、イエスの誕生を祝い讃美の音楽が繰り広げられます。
(第4部)新年の1/1、御子は割礼を受け、イエスと命名されます。
(第5部)新年後の初めての日曜日、イエスの誕生に対するヘロデ王の不安とおののきがテーマとされます。
(第6部)1/6、東方からの3博士の訪問により、イエスの誕生が公に知るところとなり、この日を顕現日としてお祝いします。ウィーンでは顕現日の前夜には子供たちが3博士に扮し、各家庭を回ります。3人の博士の1人は黒人の博士で3人の子供うちの一人の子は顔を黒く塗ります。子供たちは、この日にクリスマスのお菓子やプレゼントがもらえるようです。顕現日が終わるとクリスマスの飾りは一斉に片づけられ、ウィーンでは舞踏会のシーズンに入ります。

【音楽史年表より】
1734年12/25初演、J・S・バッハ(49)、クリスマス・オラトリオ第1部BWV248の1
降誕節第1日の午前中に聖ニコライ教会の礼拝で、午後には聖トーマス教会の礼拝で初演される。輝かしい喜びの合唱に始まり、ヨセフとマリアのベツレヘム帰郷、馬小屋でのイエス誕生の次第を語る。(1)
12/26初演、J・S・バッハ(49)、クリスマス・オラトリオ第2部BWV248の2
降誕節第2日の午前中に聖トーマス教会の礼拝で、午後には聖ニコライ教会の礼拝で初演される。野宿する羊飼いへの天使の告知がテーマとなっており、天使の言葉は大きな合唱曲に仕立てられている。(1)
12/27初演、J・S・バッハ(49)、クリスマス・オラトリオ第3部BWV248の3
降誕節第3日に聖ニコライ教会の午前礼拝で初演される。ルカ福音書の語る羊飼いたちのベツレヘム訪問、幼子イエスとの出会いをめぐって、讃美の音楽が繰り広げられる。(1)
1735年1/1初演、J・S・バッハ(49)、クリスマス・オラトリオ第4部BWV248の4
新年すなわち御子の割礼と命名の日のために、午前には聖トーマス教会で、午後には聖ニコライ教会で初演される。(1)
1/2初演、J・S・バッハ(49)、クリスマス・オラトリオ第5部BWV248の5
新年後の日曜日の1/2、午前の聖ニコライ教会の礼拝で初演される。真の王の誕生に対するヘロデの不安とおののきがテーマとなり、イエスを闇に対する「光」として考察する。(1)
1/6初演、J・S・バッハ(49)、クリスマス・オラトリオ第6部BWV248の6
主顕現日のために書かれ、聖トーマス教会で午前中に、聖ニコライ教会で午後に初演される。星に導かれた東方の3人の博士たちの訪問がテーマとなる。(1)
【参考文献】
1.バッハ事典(東京書籍)

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