見出し画像

声楽: なかなか抜けない悪い癖の話

社会人になっても、プライベートでほそぼそと声楽のレッスンに通い続けている。
大学院を卒業しても、まだ『終わった』感じがしないからだ。

この間レッスンに行った時の発見。
どうしても歌うときに古いクセが抜けなくて困っているのだが、そのひとつが『声を下に押さえつけてしまう』ということ。
支え、とか言ったりもするが、声を“支え”なければ、との思いから
不必要にウエストの筋肉を使ってしまって、結果声に若干、ザラザラとした雑音が混じってしまう。

これを解消するために、今回は腕をよく振って行進のように歩きながら歌うことを試した。
このように動くと、上半身と下半身の動きが逆向きになる。上半身が右に旋回するときは下半身は左に旋回、というように。

これが効果てきめんで、その筋肉は固くなる隙を与えられず、歌っているときもずっとしなやかでいてくれた。
声には高周波の音が混じり、とても明るく伸びやかな声が出た。

私が知らず知らずのうちに固めているこの筋肉は、〈Musculus transversus abdominis〉
という筋肉だ。
不随意筋である横隔膜に間接的に影響する。
だから、これがカチカチになっていれば本来行われるはずの自然な呼気がスムーズにいかず、邪魔されることになる。

私だって邪魔したくてしているわけではない。けれど身体がそのように記憶してしまっているのである。

歌のレッスンというのはこういうもので、その人が生きてきた中で、間違ったレッスン等によって不自然についてしまった悪い癖を、一つ一つ直していく、という仕事だと考える。

何が正解か、と自分一人で知ることは難しいが、ひとつ確実なのは、うまく行っている時はどこも何も苦しくないということ。歌っていて身体が気持ち良いときは、だいたい正解だと思って良い。

自然の動きに抗わず、その動きを助けて効果を最大限にする、声楽においてはそんな身体の使い方ができるようになりたいものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?