Mai

声楽家、声楽教師。スイスの音楽学校で働いています。留学経験や仕事、音楽教育、声楽教育の…

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声楽家、声楽教師。スイスの音楽学校で働いています。留学経験や仕事、音楽教育、声楽教育の話や、スイスでの生活のことなどを綴ります。 東京藝術大学附属音楽高校声楽専攻、東京藝術大学声楽専攻、ルツェルン音楽大学大学院音楽教育声楽専攻。

最近の記事

スイスの公立音楽学校と採用試験の話

今私が持っている仕事の中で最も大きな割合を占めている、公立音楽学校の話。スイスの音楽学校のシステムは、日本で一般的に知られているそれとは少し違う。 公立音楽学校の立ち位置 私がルツェルンで修了した音楽教育(Musikpädagogik/ Instrumental- und Gesangspädagogik)を終えた学生たちの多くが、この音楽学校に勤務するために教員募集が出るのを待つ。 通えそうな範囲で空きはなかなか出ないので、見つけ次第即応募するのが吉。 最初は条件なんか

    • 再生

      録音の紹介“Pie Jesu”

      G. Fauré: "Pie Jesu" from Requiem ルツェルンのとある教会でオルガニストの友人と録音しました。 録音は重労働なので頻繁にはできませんが、これから、こうやって少しずつ自分の歌を形に残していきたいと思います。 なぜ歌を録音しようと思ったかは、また記事に書きたいと思います💪

      • 古楽に足を踏み入れた話

        私はルツェルンの大学院で初めて本格的にバロック音楽に触れた。 それまでは演奏法や解釈などを良く知らず、独特のやり方があってなんかいろいろ新しく勉強しなきゃいけなさそうだし難しそうだなと思っていて、あまり触れずに来た。 それでも古楽は時々耳にすると魅力的に聴こえて、いつも、いつか勉強したいなーと思っていた。 今回は私がようやく古楽について学び始めた話。 大学院に入学するときに、副専門(Minor)を選ぶことができ、その中に古楽もあったので、この機会にぜひ!と思いきって履修する

        • イースターのミサ: 歌手のメンタルケアの話

          今朝はイースターのミサで歌ってきた。 ルツェルンのとある教会で、曲目はMichael Haydn《Missa brevis a tre voci》からの抜粋。 Michael Haydnは名前も曲も初めて聴いた作曲家である。こういう機会に知らないものと思いがけず出会えるのは、何と言ってもワクワクするジャンプインの醍醐味だ。 1週間ほど前に出演が決まり、数日前にリハーサルがあった。 今回はそのリハーサルのときにメンタル調整を大失敗してしまい、コーラスの皆さんに下手くそな歌

        スイスの公立音楽学校と採用試験の話

          大学院の話(スイス・ルツェルン音楽大学)

          忘れないうちに、大学院時代の生活について書き留めておこうと思う。 ルツェルン音楽大学の大学院に入ったのは、パンデミック真っ最中の2020年秋のことだ。 入試はオンラインで行われた。 それについてはまた今度詳しく書くとして、今回はスイスの音大に興味がある人に向けての大学紹介を書くことにしよう。 私が入学した2020年に、ルツェルン音大はそれまで市内に点在していたいくつかのキャンパスをすべて統合し、Kriensという、ルツェルンの中心地から少し離れた場所に居を移した。 それ

          大学院の話(スイス・ルツェルン音楽大学)

          声楽: なかなか抜けない悪い癖の話

          社会人になっても、プライベートでほそぼそと声楽のレッスンに通い続けている。 大学院を卒業しても、まだ『終わった』感じがしないからだ。 この間レッスンに行った時の発見。 どうしても歌うときに古いクセが抜けなくて困っているのだが、そのひとつが『声を下に押さえつけてしまう』ということ。 支え、とか言ったりもするが、声を“支え”なければ、との思いから 不必要にウエストの筋肉を使ってしまって、結果声に若干、ザラザラとした雑音が混じってしまう。 これを解消するために、今回は腕をよく振

          声楽: なかなか抜けない悪い癖の話