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第32回 ランボー (1982 米)

 スタローン離れを宣言したばかりな気もしますが、男には逃すことのできないタイミングがあります。なればこその2日連続投降です。

 本日6月26日は『ランボー ラスト・ブラッド』の公開日です。年甲斐もなくまたスタローンが弓を振り回して暴れるのです。

 「午後のロードショーは」勿論これに乗ってシリーズ一挙放送をやりましたが、最初の『ランボー』だけ仲間はずれにしました。だったら私がやるしかない。

 『ランボー』とはスタローンが出て殺す!それだけと思っている人が多いですが、この最初の『ランボー』を観れば考えが変わるはずです。世間から疎外されたベトナム帰還兵たちの悲哀が目一杯描かれています。

 ちゃんとシリーズをチェックしてから観に行けば、新しい発見があるかもしれませんよ。いい機会なので予習しましょう

ランボーを観よう!

Amazonで配信がありますが、字幕のみです。吹替は有料です。意外に配信されていません。

真面目に解説

アメリカにとっての戦争
 日本に住んでいると戦争はダメの一言で何もかも終わってしまいがちですが、もうちょっと戦争というものについて考えて見ましょう。

 戦争とは本来勝てば領土と奴隷が手に入る、負ければその逆という国の博打です。現代の戦争はそんな簡単に勝ち負けが決まらないですし、領土と奴隷が手に入るなんてことは無くなりましたが、負けた方が大損をするというのは万古不変です。

 アメリカ人が戦争大好きと世間に思われているのは、アメリカが長い間戦争に負けたことが無かったからです。南北戦争という内ゲバはありましたが、独立戦争以来アメリカは戦争をする度に勝ち、勝つ度偉くなっていきました。

 つまり戦争をすれば勝ち、そのおかげで美味しい思いができる、そういうものだと国中信じ切っていたわけです。ところがベトナム戦争は初めて勝てずに終わりました。


帰還兵の憂鬱
 負けを知らなかったアメリカ人はベトナムで不利な状況に陥った事に焦りました。反戦運動が盛り上がる一方、戦況が不利なので負傷者や戦死者は増え、アメリカ中がいじけ始めました。

 帰還兵は迫害されました。空港を出るなり反戦団体が待ち構えている有様です。そして帰還兵が治安を悪化させると信じられていたので、帰還兵は職にも就けません。

 戦争で荒んでいる上にこの扱いですので、帰還兵の扱いは社会問題になりました。そういう時代背景を分かっていないと今作は読み解けません。


逆輸入
 原題は『First Blood』となっています。先制攻撃とかそういう意味です。先に仕掛けてきたのはランボーではなく意地悪な保安官というわけです。

 しかし、このシンプルな邦題をスタローンが気に入って逆輸入されて以後使われたという有名なエピソードがあります。しかし、これは事実ではないようです。最初から英語圏以外では『ランボー』だったのです。

 箔をつける為に日本側が勝手にそういう経緯を創作したというのが真相のようです。それも宣伝として許された時代だったのです。


ランボー軍曹
 ベトナム帰りのランボーが戦友を訪ねるところから映画が始まります。しかし、その戦友はもう死んでいます。枯葉剤でガンになってしまったのです。これはよくある話でした。アメリカ人にも枯葉剤は有害なのです。

 歩いてポートランドへ向かうランボー。途中の町で保安官のティーズル(ブライアン・デネヒー)に絡まれます。明らかに悪意に溢れた態度です。

 ティーズルはランボーをパトカーに乗せ、町外れに追い出します。飯を食いたいだけのランボーを町に入れたくないのです。存在さえ悪と思われていたのが帰還兵なのです。

 しかし、ランボーは反骨精神と食欲を見せて道を逆戻りします。そしてティーゼルにいちゃもんを付けられて逮捕されてしまうのです。罪状は浮浪罪とナイフ所持。ご存知背にギザギザの入った「ランボーナイフ」と呼ばれるあれです。

戦争のトラウマ
 保安官事務所でランボーは取り調べを受けますが、ランボーは戦争でトラウマを負っています。鉄格子を見ただけでベトナムでの辛い記憶がフラッシュバックする有様です。

 首に下げていた認識票でどうにかランボーの身元は知れますが、ランボーは黙秘を通す上に指紋の採取にも協力しません。

 ティーズルはランボーが臭いので洗わせるよう指示します。そこはスタローンなので脱いだらムキムキです。そして傷だらけです。

 意地悪な保安官連中は意味もなくランボーを殴り倒し、洗うと称して消火ホースで放水攻撃を食らわせます。余りの外道ぶりに若手のミッチ(デヴィッド・カルーソ)はドン引きです。後にマイアミでCSIを率いる彼にもこんな下積み時代があったのです。

 無理矢理髭を剃られそうになった所で身体を切りつけられる拷問の記憶が蘇ってしまいます。たちまち保安官たちをぶちのめしてナイフを取り返し、通行人から盗んだバイクで走りだすランボー。

 こういう事件は当時沢山起きました。朝起こしに来た奥さんや子供を襲撃と間違えて絞め殺したなんて事件が新聞に載らないほどあったのです。


行き先も解らぬまま
 ベトナムでバイクが役立ったという話は寡聞にして聞きませんが、ランボーはバイクも上手です。ティーズルが西部警察並みにワイルドにパトカーで追いかけますが、山に逃げ込んだランボーが有利です。

 ランボーは山の廃墟で何やら作り始めます。保安官たちの山狩りが始まりますが、もとはと言えばティーズルの意地悪のせいである事を誰も指摘しません。それくらい帰還兵は悪者扱いだったのです。

 保安官たちは「はく製にしてやる」とランボーを獣扱いです。もとより捕まえたら殺す気満々です。警察の迫る中ランボーは断崖絶壁を降りて逃げようとしますが、ヘリコプターまで出動してついに発見されます。


対ヘリ兵器ランボー
 ぶら下がっているランボーにヘリコプターからランボーを警棒で殴っていたガルト( ジャック・スターレット)が殺す気満々でライフルを向けます。しかし、ランボーはヘリコプターの天敵です。5機撃墜で撃墜王と認定されるので、今度の新作次第では撃墜王になれます。

 一か八か木の枝に飛び降りたランボー。死にませんでしたが重傷です。ガルトが木の陰に隠れたランボーをひたすら狙います。ここでティーズルとしては殺すのは不味いと思っていたことが判明します。

 ランボーの常套戦術である「ヘリコプターはパイロットを脅せば結構イケる」が発動します。石を投げつけられてパイロットがビビり、ガルトは墜落死です。薄情にも逃げて行ってしまうヘリコプター。ランボーはちゃっかりガルトのライフルを拾って逃げます。


ランボーの確立
 とりあえず落ちた時の怪我を治療します。そう、お馴染みのあの痛そうな縫合です。もはやスタローンの芸です。

 傷を手当てしたところでランボーは投降しようとします。しかし、ガルトの件で保安官側も気が立って居て、ティーズルの制止も聞かずランボーを撃っちゃったので交渉決裂です。

 そこへ保安官たちにランボーが元グリーンベレーで名誉勲章受章者というどう考えても田舎保安官の手に負えない大物である事がようやく無線で知らされます。ミッチだけはなんか興奮しています。

 名誉勲章はアメリカの軍人の勲章の最高峰で、受賞者は大抵戦死しているので生きて貰う者は滅多に居ないという代物です。

 ミッチはこりゃ無理だと悟って州警察に頼もうと提案しますが、ティーズルは親友のガルトが死んだ手前徹底抗戦です。


緑の地獄
 嵐が近づく中、山狩りに戻った保安官たち。警察犬がランボーを見つけますが、ランボーは銃で応戦。犬使いのオーヴァルは撃たれて行動不能です。犬の行き先にはカカシが。

 ここからはもうグリーンベレー祭りです。アクション映画というよりホラー映画のノリで次々保安官が始末されていきます。もっとも殺されたのは犬です。オーヴァルは命は勘弁してもらえました。

 「奴が俺たちを狩っている」というミッチの不吉な言葉通り、言い出しっぺのミッチがまずは隠れていたランボーに足を刺されてリタイアです。

 ミッチの叫び声で集まる保安官たち。これがランボーの策です。周りは勿論罠がいっぱいです。

 次に襲われたのはウォード。目潰しです。慌てて同士討ちをやらかして保安官は恐慌状態です。

 木の枝に尖った小枝を沢山つけたベトナムチックな罠にひっかったのはバルフォード。これに糞小便を塗ると細菌で絶対死ぬという恐ろしい罠です。

 シングルトンは木に縛られて残るはティーゼルだけです。ランボーが襲い掛かり、ナイフを突きつけて「全員殺せた」と勝利宣言です。


ワシが育てた
 事態は大事になり、州警察と州兵が乗り出してきます。しかし、あんな目に遭ってまだティーズルは戦意喪失していません。その上最初の意地悪をもみ消そうとしています。

 そこへ国防総省に頼まれてやって来たのが皆大好きトラウトマン大佐(リチャード・クレンナ)です。ランボーの師匠です。

 ご存知の通りトラウトマンはランボーの最強を一番固く信じていて「あなた達を守りに来た」「よく命があったな」などと自慢だか嫌味だか分からない事を言って人を怒らせるのが趣味です。

 ランボーはそうとも知らず、ナイフと枝で槍を作って猪を飼ってディナーです。ヤギのゲロさえ食うので猪など食べて元気を付けたら手に負えなくなるのは明白です。

 そんな危険な男なのでまともに捕まえるのは無理です。一旦逃がしてどこかの町に落ち着いたところで逮捕すればというのが大佐の主張ですが、ティーズルは職務熱心で意地っ張りなのでこんな屈辱的な案には乗りません。

 大佐は「命が惜しくないのか?」とあくまでランボー最強論を展開しますが、ティーズルは200人動員して狩ると強硬な態度に出ます。


上官一人部下一人
 ランボーはガルトから奪った無線機に耳を傾けながらバーベキューです。州警察が投降を呼びかけますがどこ吹く風です。

 そこでティーズルは大佐の説得なから聞くかもしれないと大佐に無線を任せます。もし応じなくてもランボーが応答すれば逆探知で場所がわかるというわけです。

 目論見通りランボーは大佐の軍隊時代の点呼に応じてしまいます。点呼で出た名前は全員死んだと悲惨な返答をします。最初に尋ねて行ったがんで死んだベリーとランボー以外は全員戦死です。これがベトナムです。

 「友達だろ?」「これ以上善良な警官を傷つけるな」と大佐は投降を呼びかけますが、ランボーは拒絶します。完全にいじけています。


州軍に入ろう
 明け方に州兵の総攻撃が行われます。アメリカは小規模ながら州が軍隊を持っているのです。消防団みたいなノリで軍隊を作る国だからこそ、負けたショックも大きかったわけです。

 しかし、ランボーはそんな消防団や猟友会に毛の生えた程度の連中に捕まるわけがないのは大佐でなくても解ります。

 逃げる途中で何も知らないハンティング中の少年に遭遇しますが、ランボーは子供に甘いので見逃してしまいます。このせいで州兵に見つかり、ランボーもピンチです。

 最初はイキって撃ちまくっていたいた州兵たちですが、廃坑に逃げ込んだランボーが撃ち返してくるとたちまち怖気ついて戦意喪失です。

 仕方ないのでバズーカ砲で廃坑を塞いでしまいます。勝ったと思った州兵どもは記念撮影なんてしちゃいます。これにはティーズルもブチ切れます。遺体を掘り出せと命じられてむくれる州兵たち。

 こんなヘタレな州軍なので、この時代の金持ちのバカ息子は「あいつは軍隊に行かなかった」と陰口を言われないように州軍に入って軍歴ロンダリングをする事が多かったそうです。史上最も悪い意味でアメリカっぽかったテキサスの二代目大統領などが有名です。


軍隊ラブ
 名誉勲章受章者に浮浪罪なんてと大佐もあきらめムードですが、ランボーは廃坑の奥に逃げ込んで無事です。ベトナムと並んでアメリカ軍を史上最も苦しめた我々の先祖が得意とした持久戦です。

 早速火を起こしてサバイバルを始めるランボー。どうやら大佐はこれで気付いたようです。

 ネズミに襲われながら坑道を奥へ奥へと進むランボー。保安官や州兵よりも手ごわそうです。

 町の酒場で葉巻とバーボンを楽しむ大佐にティーズルが謝りに来ます。「友達にも」と酒を注文する大佐。ティーズルはランボーを自分で殺せなかったので悔しそうです。

 大佐は意外と同情的ですが「民間人は気楽でいい」とあくまで優位性をアピールします。ティーズルは「奴が出てきたら抱きしめてキスしたか、それとも殺したか」と大差を問い詰めますが、大佐は「仮定の質問には答えられない」と逃げます。


ランボーっぽさ
 そうこうするうちランボーは出口を見つけます。外には州兵がうろうろしていますが、しょせん州兵なので気付くはずもなく、ランボーはトラックを奪って町へ走ります。

 トラックの積み荷はM60。ランボーのメインウェポンです。ティーズルに連絡がいきますが、こりゃあもう収拾がつきません。

 パトカーがトラックを追いかけて撃ってきますが、ランボーはオカマを掘ってクラッシュさせます。パトカーはこれまた西部警察並みに大爆発です。

 逮捕されたときに通った因縁の橋を通過し、検問を強行突破するランボー。やっとランボーっぽくなってきました。

 ガソリンスタンドを破壊して爆破し、M60を抱えて街に繰り出すランボー。隣の中古車屋にも飛び火して大惨事です。中古車にガソリンを入れておくことはないと思うのですが。


愛しのM60
 町に戒厳令が出ます、ランボーが生きていたと知って無茶苦茶嬉しそうな大佐。ティーズルは「生きてるのを知ってたな」と恨み言を言います。

 「お前は死ぬぞ」「私なら抑えられる」とあくまでランボー愛を爆発させる大佐ですが、もはやティーズルも後に引けません。

 ティーズルは事務所の屋上の天窓からランボーの襲撃を待ち伏せます。しかし、電柱を撃って街を停電させて先手を打つランボー。ガンショップに押し入って弾薬をぶちまけ、店を爆破します。

 そこにティーズルが気を取られているすきに事務所に接近し、機銃掃射を食らわせるランボー。それでこそです。

 ちなみにM60は本来特定の場所に据え置いて撃つもので、大変重たいのでこういう使い方はスタローンやシュワちゃんでないと無理です。


かわいそうなダンフォース
 事務所に押し入ったランボーは下から天井をぶち抜いてティーズルを行動不能に陥れます。覚悟を決めて「撃て!」と叫ぶティーズル。

 しかし、大佐が待ち受けていて「ヘリで基地へ行こう」と駆け落ちを呼びかけます。そして「任務完了だ」という殺し文句でどうにかランボーを黙らせます。

 しかしランボーはコピペにもなっている有名な不満をぶちまけます。自分に戦場しか居場所はないと泣き崩れ、靴磨きの自爆テロで殺されたダンフォースの思い出話をします。

 この辺の悲哀が評論家筋に高く買われたのですが、シリーズは全く明後日の方向に進んで人気とラジー賞を得たのはご存知の通りです。

 大佐に抱き着いて泣き崩れるランボー。原作では大佐がランボーを射殺しますが、映画では投降して終わります。

BL的に解説

トラウトマン×
 ロッキーが総受けでランボーが攻めになる法がありますか?この総受け前提の掛け算もわずか10日でリバイバルです。

 大佐は恐ろしいヤンホモです。部下たちを息子のように大切に思っており、その中でもランボーは最高傑作です。ランボーもまた大佐を父親のように慕っています。

 そしてこの世で一番ランボーが強いと堅く信じています。カービー将軍と引き合わせたらどっちかが死ぬまで戦いそうです。

 ベトナムは地獄だぜというのは別の映画の台詞ですが、ベトナムは実際恐ろしい場所でした。兵隊の気晴らしの為に麻薬が黙認されるようなところです。

 戦地での強姦は有史以来戦争犯罪の筆頭ですが、大佐がそんな真似を許すはずがありません。ではどうするか?セックスも自ら管理するに決まっているのです。

 こうして心も身体も結ばれていなければ大佐のランボー愛は説明できません。大佐はランボーも行動パターンを知り尽くしていますし、ランボーも大差の呼びかけには危険を承知で応じます。

 大佐は登場早々「ランボーは私が作った」と恐ろしい事を言ってランボー自慢です。育てたならまだしも作った?半端じゃありません。

 そして大佐は州兵ごときにランボーが殺されるわけがないと信じています。大佐の期待通りランボーは生きていて町を襲撃します。

 大佐はランボーが人を殺さないように腐心します。相手の為ではなくランボーの為です。大佐がランボーを止めようとする理由はランボーが罪を重ねないようにという一点だけです。

 保安官や州兵など本当はどうでもいいのです。むしろ彼らを殺さない程度に血祭りにあげるのを私のランボーの最強を証明出来て喜んでいる節さえ見えます。大佐はゲイのサディストです。当時のアメリカは上手い具合にマッポーです。

 そして最後の標的であるティーゼルを倒したランボーは大佐の胸で泣き崩れます。最強の私のランボーが私の前でだけ弱みを見せる。これぞ男の本懐です。

 そして戦場しか居場所がない事を吐露し、ランボーはお縄に付きます。そして大佐は何度も何度も堅気に戻ろうとしたランボーを戦場へと引き戻します。

 戦場しか居場所のないランボーにとってそれが幸せだと思っているのは確かでしょうが、私のランボーであり続けてほしいに違いありません。シリーズを追う度二人の愛がベトナムの底なし沼のような深みにはまっていくのがそれを物語っています。

 しかし、もうトラウトマン大佐は居ないのです。リチャード・クレンナがこの世の人でなくなったからです。今日の新作で涅槃で待つ大佐が失望しないことを祈るのみです。


ティーゼル×ガルト

 ティーゼルは絶対ホモです。それに演じるブライアン・デネヒーは淀川先生がお気に入りであった事で有名です。

 何しろ新聞の評論欄で「私の愛するブライアン・デネヒー」と書いちゃうくらいです。先日亡くなったデネヒーは天国で先生に一緒にお風呂に入ろうと誘われているはずです。

 スタローンのムキムキボディ、デネヒー、そして男だけの映画です。淀川先生はこの映画をさぞ喜んだことでしょう。

 てか解説でスタローンをほったらかしてひたすたデネヒーを絶賛していました。デネヒーを前にした先生にとってはスタローンさえコンドームなのです

 ティーゼルは基本的には職務熱心な保安官です。ランボーへの振る舞いもあくまで街の為です。

 浮浪罪が当時のアメリカで法的に根拠があった以上、ティーゼルの行いには一応の根拠がありました。しかし、アホのガルトが問題をややこしくします。彼の行いは単なる意地悪です。

 そしてランボーは逃げました。ここではまだ殺すのは不味いとティーゼルは考えていましたが、ガルトは勝手にヘリコプターに乗り込んでハンティングです。

 そしてガルトは自業自得ですが死に、ティーゼルのネジが外れます。州警察に任せようというミッチの至極まっとうな判断にも掴みかかってブチ切れます。

 古い親友だというのがティーゼルの説明です。堅物ティーゼルとお調子者ガルト、刑事モノにありがちな良きバディであったはずです。しかし、それ以上の深い仲であった事は明白です。

 大佐の穏健な解決策にも耳を貸しません。州兵や州警察もあてにしていません。もはや町の事はどうでもいいのです。ティーゼルの頭の中にはランボーをこの手で殺してガルトの仇を取る事しかないのです。いわばこの映画はヤンホモ二人のスタローン争奪戦です。


ダンフォース×

 すべてが終わったとき、ランボーの口から出たのはダンフォースの最期の話でした。戻ったらダンフォースの赤いシボレーをベガスで飛ばそうと約束していたのです。

 そこへ靴磨きの少年がやってきます。ランボーは大佐の最高傑作なので危険を察し断りましたが、ダンフォースは磨かせることにしました。この優しさにランボーは惚れたのです。そう、大佐の息子たちは兄弟でデキていたのです。

 しかし、ダンフォースはバラバラになって死にました。その様を毎晩夢に見るのです。ランボーはほかにも地獄を見ているはずです。しかし、毎晩夢に見るのはダンフォースの事なのです。彼は特別なのです。

 今作を三回目に観た時だったでしょうか、すっかり腐った眼で映画を観るようになった私はある邪悪な考えに至りました。黒幕は大佐ではないかと。

 最愛の息子であるランボーを盗られないために、同じく息子であるはずのダンフォースを始末したのです。そうするとガンで死んだベリーも?けどこれ以上はよしましょう。そんな大佐嫌です。この二人は純愛であってほしいのです。

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 良い映画だと思った。解説が良かった。憐れみを感じた。その他の理由はともかく、モチベーションアップと資料代他諸経費回収の為にご支援ください。

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