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テレビのLGBT差別はなぜ無くならない?

【その差別、誰かが止めなかったんですか?】

地方局で、テレビによる大々的なアウティングが起きました。
性的プライバシーを暴露して、おもしろおかしくいじった内容です。
今年だけでも、仙台放送では「レズ」という表現に批判があつまり、
読売テレビでは「性別質問企画」が炎上。

テレビのLGBTに対する表現はあまりにも進歩せず、
こう思ったことはありませんか?
「誰かやめたほうがいいと指摘しなかったの?」
「OA内容をチェックしたりしないの?」

【もちろん、OAチェックはしていますが…】


テレビはOA前に、必ずプレビュー会議を行います。
ディレクターが繋いだVTRを、
総合演出・プロデューサー・担当ディレクター・担当AD
・担当リサーチャー、担当放送作家などなど…。
そのVTRに関わった人が一堂に会して、試写をする会議です。

ここで、「誤字はないか?」「内容に誤りはないか?」
「やらせはないか?」「コンプライアンスは守られているか?」
「差別はないか?」「放送禁止用語を使ってないか?」などなど…。
様々な項目をチェックして、OAできる内容まで修正を繰り返します。

プレビュー会議によって、やらせじゃないにしても「過剰演出」が発覚したり、ナレーションの言葉が放送禁止用語だと分かって文言変更したり…。
コンプライアンスに反しているから企画自体を没にする…、
そんなことは日常茶飯事です。

つまり、これまでたびたびSNSで炎上しているような「彼…いや彼女は」「実はゲイだったのだ!」「禁断の関係…」「ゲイにはもったいないイケメンがいっぱい!」「実は男!?」などの表現がテレビで垂れ流れまくっていたのは、プレビュー会議で誰も問題視していなかったと言えるのです。

【テレビマンが今一番怖がってるのは炎上】

テレビマンが今最も恐れているのは炎上。だからこそ、このプレビュー会議にはみんな力が入ります。少しでも心配な要素があれば指摘し、
どんどんカットしていく。
誰かを不快な気持ちにさせないか? 傷つけないか? その一心で。

例えば、「冷凍食品を使うと、料理を頑張ってる主婦は嫌悪感を抱くかもしれないから、電子レンジのシーンはカットしよう」というプロデューサーもいました。そんな馬鹿な話聞いたことがありませんが、これがリアルです。

こんな状況で、LGBTに関する企画はそうそう通りません。
だって、「炎上しやすいし、おもしろくないから」。

【おじさんの「おもしろい」がバラエティの基準】

テレビのバラエティ畑は40代以上の男性が中心。
ADさんは20代女性も多いですが、なぜか女性はディレクターにならず、
どんどん辞めていき、結果番組を作るのは男性ばかり。
「おもしろい」の基準が、自然とおじさんよりになっていくのです。

しかし、テレビ視聴者の半分は女性だし、
若者だってまだテレビを見ています。
まだテレビに元気があった(つまりエロや差別やイジリや過激な企画が氾濫してた)時代に憧れてテレビの世界に入ったテレビマンと、
視聴者の間に「おもしろい」の感覚が大きくずれていったとしても、
全く不思議ではありません。

【おもしろいテレビを作るのに大事なことは?】

「おもしろいテレビ」を作るのに必要なことって何だと思いますか?
奇抜なアイディア? 特別な才能?
私は2人のテレビマンからそれを教えてもらいました。

1人は、「おもしろいテレビに必要なのは、優しさと常識。
    常識があるからこそ、何が非常識で面白いのか分かる。
    そこに視聴者に対する優しさも加えなければ不快なだけ」

もう1人は、「笑いって結局差別から生まれる。」

現在のテレビにおいて、「おもしろい」を支えているのは後者の考えの方が圧倒的に多い気がします。
「最近の視聴者に冗談は通じない」「炎上が怖いからLGBTは避けたい」と
言ってるうちは、テレビにおけるLGBTの表現に進歩はないかもしれません。

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