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芥川龍之介
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青空文庫より、
芥川龍之介の「蛙」
を読みました。

《ふわっとあらすじ》

今自分が寝転んでいる脇に池があり
そこにたくさんの蛙がいる。

蛙はただ「ころろ、からら」と
鳴いているばかりではないようだ。
実に彼らは、彼らの言葉で
盛んに議論を戦わせているのだ。

芦の葉の上にいる蛙は
大学教授のような態度で
「ありとあらゆるものは、全て我々
蛙のために存在している」と熱弁する。

するとその他大勢の蛙が
「ヒャアヒャア」と同意の声を上げる。

その声で起こされたのは
白柳の根元で寝ていた蛇である。
蛇はそろそろと池に近づいていく。

芦の葉の上の蛙はまだ語っている。

この宇宙をも全て
神が我々のために想像したのだ、と。
神への賛美を繰り返していたその時、
蛇の頭が突如見えたかと思うと、
すぐさまこの蛙を口にくわえて、
蛇はそのまま芦の中へ隠れてしまった。

後に残った蛙たちは、慌てふためき
ころろ、かららと騒いでいる。

自分はその中で、若い蛙が
こんなことを言っているように聞こえた。

「ありとあらゆるものが
我々蛙のためにあるのなら、
蛇も我々のためにいるというのか」

それに答えるように
「そうだ。蛇が蛙を食わなかったら
蛙が増えすぎて池が狭くなる。
蛇は多数の蛙の幸福のために蛙を食うのだ。
だから蛇もまた我々のために存在するのだ」

と長老のような蛙が言った。


《語句解説》

白柳(はこやなぎ):ヤナギ科の落葉高木。樹皮や小枝、
         葉が白色となることから名づけられた。
大空(たいくう):おおぞら。

闡明(せんめい):明瞭でなかった道理や意義を明らかにすること。
神の御名は褒むべきかな:キリストを賛美する決まったフレーズ。

雄辯(ゆうべん):雄弁。説得力をもって力強く話すこと。
開闢(かいびゃく):信仰の地としての山を開き、
         あるいは初めて寺院などをつくること。


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音声配信アプリstand.fmにて、
「しんいち情報局(仮)」の
「朗読しんいち」を
担当させていただいています。

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