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編集力を高めたければ、マークダウンを使おう

本質をシンプルに伝えるにも、ディテールを描くにも情報の構造化が欠かせない

構造化とは、全体像とそれを成り立たせるパーツとそれらの役割を把握し、わかりやすく整理することだと、私は捉えています。

よく「鳥の目・虫の目」だとか「木を見て森を見ず」とか言いますけど、この視点の切り替えができないと、構造化はできません。

物事はとてもシンプルに本質だけを抜き出すこともできるし、とても緻密にディテールを描いて説明することもできます。ただし、構造化が苦手だと、情報を適切に処理できずに、こういった取り扱い方ができない。そして、それができない人がとても多いなと感じています。

パワポのアウトライン機能があまりに使われていなくて、驚いた

最近、パワポ批判がツイッターでよく見られるなという印象があります。私もその論調を理解し、一部は同意もするのですが、問題は使い方かなと。

パワポをしょっちゅう使わざるを得ない人は、情報の構造化の訓練をするチャンスをみすみす逃しているよなと感じています。

私はパワポのテンプレートを作るのが好きです。でもそれは、効率よく仕事をするため。新しいクライアントのお仕事が決まるたびに、テンプレートを作っていました。ずっと一人で勝手に運用していたのですが、ある時、大きなチームで動いた時に気がついたのは、みんながパワポのアウトラインを使っていないことでした。

伝えたいことの全体の構成をテキストベースで書いて、パワポのアウトラインとして貼って、テンプレートを適用させれば、そんなに時間をかけずに強調したいことを意識した提案書が作れるのに…と。

そのチームでは私の作ったテンプレートを使うように、使い方講座などもしましたが、「アウトラインでプレゼン組み立てた方がしっかり伝わる」という本質よりも「これ使った方が、資料が統一化されるし、作業効率も上がる」という薦め方になってしまったのは、私の敗北です。でも、インスタントな話の方が、人を動かしやすいのです。悲しいかな。

情報の粒度を捉えて、同格にする。コンテンツディレクターの大切な役目

私は「粒度揃えて」って言うことがあります。この表現が理解できる人って、デザイナーやエンジニアにはしっかりいるんですけど、ディレクターサイドでは実は少ないのでは…という危機感があります(勝手ながら)。その文章やラベルが持つ情報量、質が揃っている者同士を同格として扱って欲しいということです。

「粒度」という言葉の定義に関しては、図書館情報学用語辞典のものが一番しっくりきました。

図書館情報学用語辞典より

粒度
データベース管理や索引作業,情報検索,ソート処理などにおいて,基本的な操作単位となる情報の大きさ.図書を例にすれば,冊,章,節,ページ,段落,行,語,文字などの粒度が考えられる.どのような粒度を採用するかは,情報を処理する際の作業効率だけでなく,処理結果の情報を利用する際の適合性評価にも影響を及ぼす.近年は,メタデータの議論における情報構造の分析や比較を行う際にしばしば用いられる.鉱物の粉砕程度や撮影装置の解像度など,他分野で先行して使われていた用語

粒度は、IT用語辞典にも掲載されていています。データベースを設計するときには欠かせないですよね。編集者という視点で言うと、メディア内で記事間でラベルの持ち方が粒度揃ってないなと思うととても気持ち悪いです(弊社の直したいんですけど、リソースが足りません)。

余談ですが、コミュニケーションやインフォメーションについて話す際、”解像度”という表現はだいぶ使われるようになった印象があります。私が在籍していたAID-DCCでも社内で議論する時に日常的に使っていた言葉でした。コミュニケーションにおける解像度の上げ下げのコントロールは、冒頭に話した「鳥の目・虫の目」の切り替えと同じですね。

アナログだろうがデジタルだろうが、情報の粒度の見極めは同じ

私が情報の粒度の見極めを徹底的に叩き込まれたのは、生活実用誌を作っていたときでした。雑誌編集も、サイト作成と同じように進みます。サイトでいうところのWFを作ります。(デザインラフやコンテなど、育った環境で呼び名は変わります)私の場合、これがとにかく細かかった…

見出しの数で言うとH5くらいまでありました。

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はるか10年以上前のことなのでディテールを忘れましたが、デザイナーさんにデザインを依頼するとき再現しQ数(ポイント数ですね)の格付けをするために、蛍光ペンでデザインラフに色付けしていました。画像は再現イメージ。実際には、もっとごちゃごちゃしたページを作ってました。

テクノロジーはユーザーの裾野を広げたけど、人を怠けさせた!?

あの雑誌の作業なのですが、情報の粒度を測るのに取材してきた内容を整理すること自体は、最初のころは時間を費やしました。しかし、その必要性は、学生時代にhtmlを手打ちしてサイトを作っていた(世代です)ので、すんなり受け入れられました。ファイルの格納に関しても、私はあいかわらずディレクトリを自然と意識します。

しかし、いつからかそんなことをしなくても、キーワードを入れるだけで探しものは見つかるし、OSも感覚的に使えるようになりました。便利だけど、その便利さが人を怠けさせたのではないか、と考えています。

件のパワポの話も、実は私はパワポではなく、使い方が悪いと思っています。マイクロソフトは悪くないと思ってます。悪いのは、WordやExcel、Powerpointを本来の設計思想で使いこなせない、見た目しか意識していないユーザーの方だと思ってます。(もちろん、アンバサダーの整備とか今ならもう少しできるんじゃないかと思うんですけどね。MOUS)

マークダウン記法ができる人は信用できる(笑)

でも、最近ちょっとうれしいのは、マークダウン記法が市民権を得てきている(ような気がする)ことです。マークダウンでちゃんとメモが取れる人、考えをまとめられる人がもっともっと増えれば良いなと思っています。

日常的なツールをどういう風に使うかで、思考力や情報整理力ってどんどん変わってくるんじゃないかと思っています。

起承転結、いや結起承転だ! とか言うけれど

原稿書くとき、私はいくつか構築パターンを持っているのですが、最近気に入っているのは、NotionのToggle使う方法。

1.思いついたトピック(見出し)をとりあえず打って、全体のストーリーを構成。
2.Toggleを開いて、その中身を書いていく。
3.中身を埋め終わったところでToggleを閉じ、見出しだけで全体の流れを見直す。必要に応じて見出しを入れ替える。
4.再び、Toggleを開いて、文章全体を通して読んでいく。

この後、スライドにした時に、再度調整をかけることもあるので、スライドで入れ替えが発生することも多々あるのですが、その辺はあまり気にしてません。テキストの場合は、4まででだいたい納得行く感じになります。

参考までに、先日公開した「編集者はなぜスゴく見えるのか」の元となったNotionのページをチラ見せ。

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ということで、Notionはいいぞ。のお話でした(違

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