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大阪ストラグル第3部006話 「カッキン探し」

1988年・大阪。底辺校とも揶揄されるS工業高校へタケシは入学した。無為に流れる日々を慰めてくれるのはパチンコとパチスロだけ――。本人はそう考えていたが、いやおうなしに騒動に巻き込まれる生活が続いていく。バイク・喧嘩・裏攻略法・ヤクザ・友情……一筋縄ではいかない“もがく日々”を、射駒タケシが自伝的青春譚として描く!!

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―――では、本編をお楽しみください―――


大阪ストラグル第3部006話
「カッキン探し」


電車を降り、アスファルトに映る短い影を見るともなしに見ながら学校へ向かう。校舎内に入ると、ちょうど昼休みの時間だったようで廊下にごちゃっと溜まっている奴らが大勢いた。俺はスルスルと避けながら教室へと進む。

教室へ入るなり坂井を発見し、接近して声をかける。
「坂井‼ 昨日のセンチュリーってやつ、アレおもろかったわー」
机に突っ伏しながら坂井が「そりゃよかった」と眠そうな声を出す。
「なんやお前、眠いんか?」
俺はそう言いながら坂井の肩あたりをグッと掴む。
「タケシ…俺な、いま昼メシ食い終わったばっかで……お昼寝タイムやねん。お前は今来たから元気やろうけど」
坂井は顔を伏せたまま喋った。俺はその言葉を無視する。
「朝イチでバニーガールのモーニング取りに行って、そのあとマジカペ打ってたら、こんな時間になってもうたな」
お昼寝は諦めたのか、坂井は顔を上げた。
「お前、ホンマ自由やな。よう二年まで上がれたわ」
坂井が顔を上げたので机にスペースができた。俺はケツを乗せた。
「こんなとこ適当にやってたらイケるやろ、まぁー、俺はいつ辞めても構わへんしな。なんかオモロいから籍残してるだけや。で、今日も行こや」
坂井は首を回しながら。くあ~っと一発デカい欠伸をして、
「エエけど」
と言った。
俺がさらにセンチュリー21の魅力について語り合おうかと身を乗り出したところで、坂井は続けて言った。
「エエけど、お前、そういや昨日の後輩くんどないなったんや?」
昨日の後輩くん、ああカッキンか。そう言えばパチンコ屋に向かう途中で帰したんやった。
「あー、アイツな。そうやな、ちょっと見てくるわ、俺」
そう言って、俺は坂井の机からケツを下ろした。
「1年のとこあんま行くなって赤井が言うとったぞ。お前ら2年はガラ悪すぎるからって」
赤井ってのは製図授業の担当をしているヒステリック・メガネのオッさん教師のことで、1年の時は俺もよう揉めた因縁の先生だった。
「うるさいのー赤井はホンマ。とりあえず見てこよ。何組で何科かも分からんけど、適当に聞いて回るわ」
「タケシ一人やと不安しかないから、めんどいけどついて行ったるよ」
坂井は席から立ちあがった。
「優しいやんけ、坂井♪」
「フルーツ牛乳奢れよあとで」
「好っきゃのー」


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