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大阪ストラグル 第1部

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――1988年の大阪。高校1年生のタケシはパチンコ・パチスロをきっかけに大きな事件に巻き込まれていく。バイク・喧嘩・裏攻略法・ヤクザ・友情……一筋縄ではいかない“もがく日々”を、… もっと読む
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記事一覧

大阪ストラグル(第1部)第1話

 S工業。  大阪の底辺ともいえる高校へ俺は入学した。  通学時間は家から電車で30分、最…

大阪ストラグル(第1部)第2話

 パチスロの新装開店時のトラブルなんてものは当時、さして珍しい話ではなかった。  その理…

大阪ストラグル(第1部)第3話

「お前が無理矢理、誘うから負けたやんけ。いっつもそうや。なんや言うたらお前だけエエ思いし…

大阪ストラグル(第1部)第4話

 ほとんど何も聞いてない授業も終わり、さて帰ろうか、と校舎を出る時、ふと三池の件を思い出…

大阪ストラグル(第1部)第5話

 SANKYOのドラム型デジパチ…!!   遠目からでも分かる、あの台は『フィーバーレクサ…

大阪ストラグル(第1部)第6話

 気づけば、細い路地に入ったところにあるアパートの前に辿り着いていた。和美さんのアパート…

大阪ストラグル(第1部)第7話

「コラ兄ちゃん。グダグダやってる時間あれへんねん。はよ知ってること喋れや!!殺すぞ」  なかなかの早業&恫喝。柿やん、ただのお調子モンってワケじゃないんやな…などと妙な関心をする俺。  のどを掴まれたパーマは苦しそうに声を絞り出した。 「は、離せや…お前、津野中の柿本…やろ」 「それがどうしたんじゃ、コラ!!」 「お前、大川からなんも聞いてへんのか?アイツ…黒田組の見習いで、攻略のアガリを任されてたんや」  その言葉を聞いて柿本はパーマの首から手を離した。 「黒田組やと

大阪ストラグル(第1部)第8話

俺は一馬くんに事の成り行きを話した。 「一馬くん、実はな……」  フィーバーレクサスVで連…

大阪ストラグル(第1部)第9話

 門の外の路上にいた柿本も、玄関口に近づいてきて彼女に声をかける。 「ゴメンな、いきなり…

大阪ストラグル(第1部)第10話

 大川拉致事件の謎のすべてが詰まった箱…その最後の紐が解け、箱の中に入っていた男の名前は…

大阪ストラグル(第1部)第11話

 夏の日差しが容赦なくうなじを焼いていた。にじみ出る汗を無視して日陰となっている店内に入…

大阪ストラグル(第1部)第12話

 二人の警官と医者が病院で神妙な顔して話していた。 「この子ですか? 早朝に病院の前で倒れ…

大阪ストラグル(第1部)第13話

「オイ、柿本‼」  少年はベッドに駆け寄り、横たわる男に声をかけた。近くにいた医者がけげ…

大阪ストラグル(第1部)第14話

 少し冷静さを取り戻した瞬間、俺は何を話していいかわからなくなった。二人の間の距離はまだ少し開いたままだ。ヒロも同じ気持ちだったに違いない。少しの沈黙が続く。と、その時。 「コラァッ松田ぁ!射駒ぁ!何をしとんじゃお前ら!」  典型的な筋肉バカの体育教師、中田が向こうから走ってきた。 「中田やっ! 乗れタケシ!」  ヒロはFXのエンジンを慌てながら掛け、リヤシートを叩きながら俺にそう言った。俺は考える暇などなく、とりあえず飛び乗る。 「お前らたまに顔だしたと思ったら!待てコラ!