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世間のビーチ・ボーイズ評に異議あり 2023年6月【1】

「ペット・サウンズ」ばかり評価されている

60年代にデビューしたアメリカのロックバンド、ザ・ビーチ・ボーイズ。彼らが66年に発表した「ペット・サウンズ」は名盤として愛されています。

それはいいのですが、問題は評価がこればかりに偏っていることです。これしか聴いていない人も多いです。

私が選ぶビーチ・ボーイズの最高傑作は「ペット・サウンズ」ではなく「オール・サマー・ロング」(64年)です。

「ペット・サウンズ」を中心にビーチ・ボーイズを捉えてはいけません。そこを頂点とする論は偏っています。

このアルバムだけを聴いてビーチ・ボーイズを論じないでください。最低でもベスト盤を聴いて、彼らの全体像を把握してください。これを好むことが悪いのではなく、これのみを重視することが問題なのです。

バンドの紹介映像も「サーフィン・U.S.A.」「アイ・ゲット・アラウンド」といった初期の名曲はサラッと流して「ペット・サウンズ」に時間をかける傾向が見られます。

ビートルズに例えるなら「リボルバー」までの作品が「サージェント・ペパー」への助走として扱われているようなものです。

ビートルズファンと好きなアルバムについて話せば、ある程度ばらけます。それなのにビーチ・ボーイズとなると「ペット・サウンズ」ばかりになります。

好みの問題なので「私は好きじゃないけど、あなたは好きなんだね」で終わる話ではあります。しかし「ペット・サウンズ」はあまりにも偏愛されすぎています。

これ以前の作品はクオリティが低かったのでしょうか。とんでもない。むしろ黄金期です。

私は別に、このアルバムを嫌っているわけではありません。素晴らしいと感じる曲もあります。ただ好きなアルバム10位以下です(約30枚中)。

それなのに世間の評価は「歴史的名盤」。ランキングによっては1位だったりする。だから納得しがたいのです。

私は「ペット・サウンズ」に文句を言っているのではありません。世間の「ペット・サウンズ」偏重は度が過ぎると言っているのです。

「ペット・サウンズ」より聴いてほしいアルバム

もっと他の作品を聴いてください。心を揺さぶる曲がたくさんあります。

アルバム単位で聴きたいなら「サーファー・ガール」「リトル・デュース・クーペ」「オール・サマー・ロング」「トゥデイ」などをおすすめします。

これらはすべて「ペット・サウンズ」よりも前に発表されたアルバムです。私としては、これらこそが「ビーチ・ボーイズだ」と紹介したいです。

彼らの1964年のライブを観てください。これが私の愛するビーチ・ボーイズです。

「ペット・サウンズ」や「スマイル」は脇道にそれた異色作です。ブライアン・ウィルソンの感傷と、実験的なサウンドが前面に出すぎているように感じます。

68年に発表された「フレンズ」はそうした脇道から戻ってきた感じがします。静かな癒しのサウンドで、多くの人の心にフィットすると思います。

70年の「サンフラワー」は、そこにもう少しキャッチーさが加えられています。「フレンズ」は「癒やしの南の島」で、「サンフラワー」は「初夏のまぶしさ」といった感じです。

これ以降のアルバムはあまりおすすめできません。もちろん良い曲はチラホラあるのですが、1枚通して聴きたいほどではない。強いて挙げるなら「キーピン・ザ・サマー・アライヴ」(80年)。これは佳作ぞろいです。

とにかく私が言いたいことはこうです。「ペット・サウンズ」だけにとどまらず、ビーチ・ボーイズを広く聴いてください。

この件については以前ブログにも書きました。

購読者限定パート(来日公演を観に行った話)

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著者は1985年生まれの男性。 不登校、社会不適応、人付き合いが苦手。 内向型人間。HSP。エニアグラムタイプ4。 宗教・哲学(生き方)…

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