卍 谷崎潤一郎
無茶苦茶や。
この物語の感想を、一言で述べるのならこうなる。
『読書好きがオススメする本』みたいな特集があるとついチェックしてしまうのだが、これまでに何度か谷崎潤一郎をオススメしている人を目にしていて、いつか読んでみたい本の1つだったのがこの『卍』。
色々な人が感想を述べている物語だけど、読み終わった今1番しっくりくるのは、蒼井優が言っていた『爆笑しながら読んだ』という感想だ
昔の人は真面目で勤勉
教科書に登場する『昔の人』は立派な人ばかりだ。何かを成し遂げた偉人然り、一般市民についての記述も、その勤勉さや真面目さが際立っいる。冷静に考えると、教科書に掲載される人なんて全体の数%に過ぎず、立派な人のみを切り取って未来に伝えているのであろうが、素直な子どもであった私は『昔の人って立派だよなぁ』と完全に日本教育会の思惑通りの思考になっている。
しかし、大人になってから太宰治や夏目漱石なんかを読んでみると『こいつ、まじでクズだな』と思わされる人物がたびたび登場する。その度に、私はホッとした。
昔の人にだって、こんなにクズがいるのだから、わたしが少しくらいクズでも大丈夫だ、と。
しかしながら、この卍はそうゆうレベルの物語ではなかった。
登場人物が全員クズ
主人公も、夫も、友人も、友人の彼氏も、お手伝いさんも、全員が狂っている。
例えば、自分が夫を裏切りそれがバレたときの展開ひとつとっても、『こんなに自分を大事にしてくれる人を裏切ってしまったなんて私はなんで愚かなんだ!』となりそうなものであるが『適当に涙ぐんで、しばらく反省した様子をみせとけば、そのうちまた遊びに出れるっしょ』という具合である。
昔の人なのに!!
しかし、ある意味リアルだ。人はそんなに美しく完璧では無い。昔も、今も。
最後に、あとがきに『変態的性欲をあつかった作品である』みたいな事が書いてあって、そんなに真面目腐って変態だなんて言ったら可哀想じゃないかと、また笑った。
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