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ムスコンポスト

#未来のためにできること

幼少期、1000札より1円玉1000枚に価値を置いていた息子は、最近「レジ機では一円玉は1度に15枚までしか使えないこと」を知る。
それでは、現金対応の店しかないと私が言うと、
「あの八百屋のおばちゃん、怖いんだよぉ」と、尻込みをしている。

買ったのは、訳ありのニンジン、キャベツ、きゅうり。
「ちゃんとしたのもあるよ」とおばちゃん。
「どうせ生き物の餌だし、残りはコンポストだから」遠慮がちに断る息子。
「コンポスト?」私は聞いた。
「堆肥だよ、堆肥」と言いながら、おばちゃんは玉ねぎの皮や、かなり傷んでるトマトも入れてくれた。実は優しいのかも知れない。
「生ゴミと糠を混ぜて赤玉土とブレンドすると10Lで¥400以上もする園芸土よりかなり安く済むんだよ。余ったお金でレタスの種を買って水耕栽培すればまたカタツムリの餌になる」
誰に似たのか、やりくり上手な息子である。

多趣味な息子、その中でも夏野菜作りは収穫が楽しみで一番好きだ。
その為には土にもこだわる。
この後、スーパーで糠を買ったのだが、思ったより高い。
チラリと私を見る。店員さんも見る。仕方なく私が出す。わざとらしい息子だ。

家に帰るや、息子は手早くニンジンの皮を剥き、きゅうりを切って、キャベツの芯をくり抜く。
ニンジンは葉を残し、水に漬ける。
キャベツは中身の芯だけくり抜き、あとでお肉を詰めて「丸ごとロールキャベツ」
(息子お手製のこれがまた美味しいのだ)

これをコンソメでグツグツ煮込む。箸で切れるほど柔らかくて争奪戦だ。


芯は水に浸けて根が出てきたら土に植え替える。
あっという間に再生するキャベツ!

それからは毎日生ゴミを糠の中に入れて粘土のように腰に力を入れて掻き混ぜる。
片側に土手を作り、下からそっと糠を乗せる。
芽引きしたナスの葉もとうもろこしの葉も(あとで調べたらあまり入れない方がいいらしい)

子供というのは、きっとこの「混ぜる」感覚が好きなのだろう。
毎日蓋を開けては白くフワフワにカビているのを見て「かわちぃ〜」と笑う。
このコンポストは、息子が言うにはとても地球環境に良いそうだ。
生ゴミが出ない。co2の排出が減る。
安く畑仕事ができる。甲虫の幼虫にも良いらしい。
あとはミミズを投入すれば最高。
コンポストは、時間がかかるが毎日少しづつ変化していくのも朝の楽しみだ。
なんでも時短化、効率的が良いとされる中、親子でゆっくり変化を楽しむ糠まみれ時間も良いものだ。



※キャプション抜きで1000字です。

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