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学生のための農業体験 PBL授業

学生の想い

「農業を体験したい!」と考える学生は多いことでしょう。ライフスタイルが多様化する現代社会であれば尚更一般的な職業とは異なる“農業”に興味を持つ学生は多いはずです。
 そんな学生にはどんどん農業を体験して欲しい。

 ただそのきっかけをつかめないのが現状ではないでしょうか。

農業体験の選択肢

 確かに「農業体験をしよう!」
と思っても何処に問い合わせて良いか分かりません。
 私もかつて市役所に問い合わせたことがありましたが、「新規就農希望者向け」の情報はあるものの、「農業体験希望者向け」は無いとのことでした。

コメント 2020-04-14 210619

 私が知る限り、学生が農業を体験しようと思った場合下記の選択肢があると思います
・学生団体
・農泊(民泊の農家版です。下に農林水産省のサイトから説明文を引用したものを記載しています。)
・アルバイト(ボラバイトなどの情報サイトを使用して申し込む)
・直接農家に問い合わせ

○ 「農泊」とは、農⼭漁村地域ならではの伝統的な⽣活体験と地域の⼈々との交流を楽しみつつ、農家や古⺠家等での宿泊によって、旅⾏者にその⼟地の魅⼒を味わってもらう農⼭漁村滞在型旅⾏。
○ 農泊は、「明⽇の⽇本を⽀える観光ビジョン」(平成28年3⽉30⽇)において、「⽇本ならではの伝統的な⽣活体験と⾮農家を含む農村地域の⼈々との交流を楽しむ「農泊」を推進する」と位置づけられ、積極的に展開。


 上記の様な選択肢がありますが、いずれも課題があります。
・学生団体
人付き合いが面倒
・農泊(民泊の農家版です。下に農林水産省のサイトから説明文を引用したものを記載しています。)
宿泊費用がかかる
・アルバイト(ボラバイトなどの情報サイトを使用して申し込む)
長期間拘束される場合が多い。(基本的に最低一週間)
・直接農家に問い合わせ
農家のつてがない

PBL授業における農業ボランティア

 この様な状況では学生の興味はあっても、行動につながらない。
ここで私が提案したい方法が

「PBL授業における農業ボランティア」

 まずPBLとは問題解決型学習(Project Based Learning)を意味しています。私が思うに現在多くの大学は「英語教育の推進」「PBL授業の実施」の2つに力を入れていると考えます。
(これは私が私立大学のパンフレットを50校以上読んだ感想です。)

 現在文部科学省がPBLを推進していることもありますが、それ以上に大学がPBLに取り組む理由としては“地域と連携”が挙げられます。
PBL授業の例としては、
・名城大学&名古屋オーシャンズ(フットサルクラブ)
・東北大学&藤崎(百貨店)
など大学と地域の企業がマッチアップしている例が多数あります。

 大学側としては地域との連携によりイメージアップとなり、企業側は若い世代へのアプローチ方法を知ることができます。基本的には企業側が学生に課題を提示し、学生がその課題に取り組みます。例に出した“名城大学&名古屋オーシャンズ(フットサルクラブ)”の場合、テーマは下記のようになっています。(名所大学ホームページより引用)


「名古屋オーシャンズの大学生ファンを増大させるために名城大学が保有するリソースを活用した施策を企画せよ」

コメント 2020-04-14 211830

農業にPBLを 

この双方にメリットのあるPBL授業は農業との相性が非常に良いと考えています。その理由を挙げていきます。

①農家の人手不足解消
 農家を営んでいると収穫時など一時的に大量の人手を必要とする場合(例:リンゴの収穫)があります。この様な場合に学生を派遣することで農家の人手不足解消につながります。またボランティアという位置付けであるため、人を雇うほど経営的な余裕の無い農家に対して、労働力を提供することができます。

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②地域の活性化
 学生が実際に農業に取り組むことで若者と地域住民との交流が生まれます。基本的に農業を営む農家さんは高齢の場合が多いため、若者との交流は良い刺激になるはずです。


③継続した作業を通して農業に対する理解の深化
 農業は播種から野菜がお店に並び消費者のもとに届くまでの一連のプロセスです。PBL授業は大学のカリキュラムとして組まれた場合少なくとも15回(半年分)の授業回数が確保されます。(私の通う大学の場合)15回全て農家に通うことは出来なくても、継続して通うことで農業の全体像を垣間見ることが出来ます。また、「播種作業」「収穫作業」などいわゆる“農業”といったイメージの作業だけではなく、「間引き」「交配作業」「トンネルの設置・除去」などの学生が知らない農業の側面も見ることで、農業に対する理解が深まります。そこから農業に対する関心を強め、日々の学びの動機につながれば最高です。さらに定期的に農家に通い続けることで、毎回行う作業の位置付けを理解することができるため作業に取り組む意欲が沸きます。

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 これは余談になりますが、私は“ボラバイト”を利用していくつかの農家を訪問しました。その際に知り合った大学生は

「今やっている作業がどのような位置付けかわかない。」

と言って作業に集中して取り組むことが出来ていませんでした。一つ一つの作業は意味を考えないと、それこそ“作業”となってしまいます。全体を把握して初めて“作業”ではなく“農業”をやっていることになると思います。


④学生に農業を体験する機会を提供する
 「農業を体験したい!」と考える学生にとってPBL授業は適しています。単位を取得できる上に農業の全体像について考えることが出来ます。

具体的なPBL授業のカリキュラム

第1回 日本の農業の現状について
第2回 訪問先の農家のビジョン・コンセプトについて
第3回 農家において想定される課題についてディスカッション&テーマ決め
第4回~12回 農家訪問
第13回 体験の共有
第14回 テーマの掘り下げ
第15回 発表

何故“ボランティア“なのか


 私の経験上、学生が農家で働く場合に“戦力“として見なされるまでには最低1週間はかかります。基本的に学生は農家でこれまでに経験の無い作業を行うため、作業に慣れるまでに時間がかかります。具体例を挙げると、私は「人参の間引き」作業をしたことがありますが、この作業に慣れるまでには多くの時間を要しました。まず、四つん這いの姿勢を長時間保つため身体の状態を良く保たないといけません。また、人参と雑草を区別する必要もあります。さらに、雑草の抜き方など覚え習得するべきことは多岐にわたります。この様な作業を学生に”有給“で任せた場合、農家の方が自ら作業した方が時間も早く安く済むことになってしまうため、採算が合いません。よってPBL授業では農家訪問回数が10回前後ということも考慮して“ボランティア”としました。


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