女神浪漫紀行2
女神浪漫紀行2 奈良大神神社
JR京都駅から奈良駅で万葉まほろば線に乗り換え三輪駅に到着した。ミワが乗り込んだ車両は、ワンマンカーで2両編成の前からしか降車できない仕組みだった。
ミワが大神神社に訪れたのは、過去にも何度かあるのだが晴女を自称する彼女に相応しくなく何故かいつも雨だった。まるで大三輪の神が水の女神であると主張しているかのように。ミワは、傘を開けながら駅を後にした。
日本最古の神社ともいわれる大神神社には、神を祀る本殿がなく三輪山自体を御神体として祀っている。これが古代の神祀りの様式だそうだ。立派な社殿を建て、そこに御神体をお祀りする現代に見る様式は、仏教、すなわちお寺の影響があるという。それ以前は、自然そのものを神の宿るものと考え、磐座や御神木、大神神社のように山自体を神の住まう神聖なものとして祀ってきた。
この古くから続く大神神社の神を信仰していた古代の王国がここに実存していたのは間違いないだろう。
大神神社の神は、大物主神という。大物主神の神名の「大」は「偉大な」、「物」は「鬼、魔物、精霊」と解し、名義は「偉大な、精霊の主」と考えられる。その正体は、大己貴命すなわち出雲の大国主命の和魂だと語られている。又は、事代主命だという説もあるが、どちらにせよ出雲の神に間違いない。なぜなら事代主命は、大国主命の子であるからだ。
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