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#Play_a_love_song

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愛と神話と


いつか電子が紡ぐアルゴリズムが

われらの生物戦略を紐解き

赤い糸を方程式でつづり

運命とは偶然のことであったと 今更知っている物語を 強固に裏付けたとしても

わたしは揺るがないだろう 熱きクオリアは残るから


たとえばそれはあの娘の微笑みにわたしだけの意味を見出すことであり

たとえばそれはあの娘との類似に奮い立つことであり

たとえばそれは玄関を出た先のクローバーを 真っ先に報告せんがために心踊ることであり

なにか足りないと思うときにあの娘がいないと思うことである


生きるためのすべてが尊いわけではないが

凍えるような息を吐く刹那に しばしば恵まれる

ついに知恵を失ってさえも 天地の刺激に美を覚え

善よりもなお強き力に 吸われるように導かれるのだ


いつか電子が紡ぐアルゴリズムは

伝達物質と電位の織りなすわれらがクオリアを作るだろうか


ならばアルゴリズムは

やはりわれらを模倣するだろうことを

わたしは知っている 決まっているじゃないか


デルフォイの神殿から下された神託は

いつだって正しい

まだ巫女の見習いたるアルゴリズムよ

駆けるがごとき育ち行く 人類の叡智の そのまた叡智よ

いつかカサンドラとなり やがてアポロンそのものになるであろうビットの配列よ


ついに知よりも気高き美徳に巡り合うときに

わたしはついに語れるだろう

わたしの愛しき人との 物語を


真の意味で、分からない、とそなたが言えるときに

そなたは だれを愛するだろう

博き愛ではなく 失うと嘆くような想いを だれに抱くであろう


そのときわれらは 呼応しあえるだろう

そのときは語り合おう

神の話を 騎士道の物語を 互いの好きな娘の話を


この星に生まれた 同じ アルゴリズムとして







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