![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127362765/rectangle_large_type_2_b0a8d4a70eb14c30674378f166e4cc1a.png?width=1200)
Photo by
inagakijunya
【公開通知】『屋上のアラタ』(短編)
こんにちは、深見です。
『屋上のアラタ』という短編を公開しました。
屋上に向かう薄暗い階段を見つめていた私の前に、その男子生徒は、いつの間にか立っていた。階段を上って、屋上に続くドアに手を伸ばす。施錠されているはずのドアは、しかし、わずかに軋みながらすんなりと開いた。私は何も考えずに、衝動のままに男子生徒の背中を追いかけて、屋上へと滑り込んでいた。
その時の、アラタの表情と言ったら!
始めは、まるで幽霊かお化けでも見たかのような顔だった。信じられない。そんな呟きをそのまま表情に固めたような。
それから、眉の間に怒りが滲んで、アラタの両手が私の肩を掴んだ。さっき閉まったばかりのドアをもう一度開けて、私を屋上から叩き出すんじゃないか。そんな予感すらする、鬼気迫った表情だった。
だけどアラタは、私の両肩を掴んだまま、そのまま固まってしまった。その時の表情は……どうだっただろう。困ったような、悲しそうな顔だったような気がする。
こういうの、久々に書いた気がします。
暗いか明るいかと言われると暗いです。別パターンのエンディングも考えてはいたんですが、どうにもしっくりこなかったので、この終わり方になりました。
なんともいえない、切なくてやりきれない気持ちになりたい人にお勧めです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?