川を渡ったらあるあなたの故郷と 川のギリギリにある私の故郷 渡ったらすぐに会える あなたが渡ってきてくれたから会えたけど もう来てはくれないから 私が川を渡った あなたの故郷に住めば 隔てるものはないと思った 思ってた 多摩川は別にそんな大きな川じゃないでしょ 一級河川とか知らないけど 対岸にいても私は肉眼ですぐにあなたを見つけられるのに 同じ川原から同じ方向を見ても 見えてるものと見てるものが違いすぎてるよね 作業車で渡ってきてよ 歩いてだって渡
消せない留守番電話がある。 ずっと好きだった男から最後に掛かってきた着信 最期に掛かってきた酔った勢いの電話。 連絡を取る頻度が減って、 会う頻度も勿論比例して減って、 それでも終わらないと思っていた4年間 永遠なんてないこと 私はいつから気付いていたんだろう 私の中のあゆみが歌い出すのは少し遅かった この留守電、実はなんのメッセージも残ってないんです。 最後ガザガサって雑音が入ってるだけ それでもこんなに消せないのはなんでだろう、 好きだった男が発す
男の家にいる猫が苦手だ 飲み屋で知り合った男の家には猫がいた。 綺麗に片付いた広い部屋の奥には、猫のゲージとキャットタワーが置いてあった。 私に一瞥をくれたあと、飼い主に寄り添う猫は 「わぁかわいい〜!私猫すごく好きなんです!」 なんて到底言えそうもない顔をしてこちらを見ていた。 猫を大事に撫でる男の手つきには正直ドキッとしたし、猫を可愛がる男のことも可愛いと思った。 でも私はどうしたって、男の家にいる猫は苦手なのだ。 「かわいい」なんて言ってみても 餌をあげ
セックスフレンドなのにフレンドになれないなんて ねぇやっぱおかしいよね 罵り合うことで取ってるコミュニケーションで一体どんな絆が生まれるのかな 酔ったふりなんかしなくてもいいよ 酔ってないふりしてもバレてるよ 右利きなのに箸を左向きにおく癖 ウイスキーは嫌いだけどコークハイが好き 視力が悪いから字幕が読めないところ たくさん飲んでも二日酔いにならない体質 朝は大体エナジードリンクを飲んでる こんなとるに足らないようなことばかり知っているのに、大事なことは何も分からなか
久しぶりに実家に帰った。 その日の夜、悪い夢を見た。 たかだか数時間、滞在しただけなのに。 テレビを見ていただけなのに。 あれは夢というより、記憶だった 私は自分が高校生になった時初めて叔父からの暴力に「あ、これは虐待なんだ」と気づいた。 中1の時、初めて出来た彼氏とのデートの支度中、本当にくだらない理由で暴力を振るわれて逃げるように家を出たけど、暴力よりもデートの為に着ていたワンピースに血がついたことの方が悲しかった。 高校に入ってからは私もかなり思想が強くなっ
お洒落だと自分に言い聞かせて 本当は面倒だから 爪先にだけ赤いマニキュアを塗った 整えるのが面倒になったふりをして せめてもの自傷行為として 眉毛を全部剃り落とした ノートも本も 綺麗に扱えないのを隠したくて あえて使い込まれてるように ぐちゃぐちゃに扱うようになった 3年前好きだった人が 全く過去にならない。 18歳頃から うまく生活ができなくなった 6年経った今も 変わらず最悪なメンタルと 最低な生活で 生きながらえている ずっと小さな違和感を覚え続け