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#創作大賞感想 ミサキミラー 大橋ちよさん作

*たぶんネタバレにはなっていません 【1000字少々】

大橋ちよさん作「ミサキミラー」の感想を書かせていただきます。
まずはヘッダ画像をご覧ください。これが人類の敵?主人公ミサキの相手、名前をケイプリアン「ケイくん」といいます。この顔半分を覆うマスク、これにもちゃんとした実用的な理由があります。
ちなみにこのイラストも大橋さん自身の手によるものです。

この原題の「ミサキミラー」なんのお話?と思われるでしょう。「ミサキ」は主人公の女の子の名前ですが、「ミラー」は鏡?
これはファンタジー小説です。そしてご自身もおっしゃっていますようにダークファンタジーです。血が飛び散る系のお話が苦手な方には向いていないかもしれませんが、まぁお読みください。読み終わった後にあなたに何かが残る。そういうお話です。

まずは主人公ミサキについて。どんな子なのでしょうか。あなた自身?もしくはあなたのそばにいる女の子です。
そしてもう一方には、こんな生物が私たちの生活の中に紛れ込んでいたらどれだけ怖いだろう、という存在。
私たちと隣り合わせ、背中合わせの世界に私たちの10倍の身体能力を持つヴァンラスという生物が暮らす世界があります。
彼らはその能力を生かして、他の世界(私たちの世界を含む)の生物を捕食することで暮らしています。
食うものと食われるもの。この関係は今、私たちの目の前に現に存在する事実です。あなたはどんなお肉が好きですか?
このストーリーを消化した後で、この問いかけに私たちはどう答えることができるでしょうか。そんな哲学を包含しつつ、物語は進んでいきます。

彼らヴァンラスのトップにいる男ケイプリアンと人間の女の子、ミサキが織りなすドラマです。
ごく自然な出会いは主人公をとんでもない世界に連れ出します。そして彼女も変わっていく。その姿をじっくり見ていただければと思います。
緩急が目まぐるしく、時には目を背けたくなる場面もあります。かなりリアリスティックに描写されています。でも怖がらずに、そこでじっと己を見つめてください。先ほどの問いかけを思い出してください。きっと混乱が訪れると思います。じっと立ち止まってしまうかもしれません。
私はこの物語を読ませていただいて、そこに一番の戸惑いを感じ、考えさせられました。
私たちは人間なのでしょうか、それともヴァンラス?

そして最後に思いもよらない結末を迎えます。それをみなさんにも味わっていただきたい。
はたして読了後、みなさんがどうお感じになるか。ただのファンタジー、ダークファンタジーではありません。

この物語のメッセージをしっかり汲み取っていただけましたら、私もこれを書かせていただいた甲斐があろうかというものです。
お読みいただき、ありがとうございました。



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