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アズキコゾウ 毎週ショートショートnote 裏の巻

いいかてめぇら、よーく聞け。カネゴンオチはなしだ。頭に叩き込んどけ。
へえ棟梁。しかし小判食えなんざ言われたことないっす。
あったりめぇだ。小判は食いもんじゃねぇ。メシと交換するもんでぇ。
へぇ棟梁。ごはん杖みてぇなもんでやんすね。
うめぇこと言うじゃねぇか。その調子だ。さっさとやっつけちめぇ。奥様がお待ちかねだ。
へぇできました。
おお言ってみろい。
「慶長の小判食えねぇ俺たちにゃ一生拝めやしねぇしろもの」
おお、いいじゃねぇか。他に出来たやつぁいねえか。
へえ棟梁。
「夜空にて光れる小判食えねどもこころに届く淡きぬくもり」
おめぇどっかからパクってきたんじゃねぇのか?出来過ぎだ。おめぇかなり学があるな。あとで蕎麦奢ってやらぁ。他にできたやつぁいねえか。
棟梁、俺っちにはムリだ。お腹が減って力がでねぇ。
しかたねぇやつらだな。しょうがねぇ更科の蕎麦六人前、出前で注文してこい。
アズキコゾウとあだ名される大工見習が、一番先に走り出した。
           410字

たらはかに さま
今週も裏お題に至りますまで、ずずずいとよろしゅうおたの申しまする


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