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愛か金か 山根さんの5つの質問を借りて

Q3.
パートナーを選ぶ基準として、「愛か?お金か?」という問いがありますが、あなたが「お金ではなく愛だ」と答えるならば、あなたにとって愛は具体的には何を意味しますか?

本文1550字

君がどちらかを僕に追認してほしいって思ってるんじゃなくて、純粋にどちらがいいか悩んでるって言うんだったら、僕はお金にしといたらどうかって言うよ。
意外って顔してるな。
君が僕にそれを問うってことは、君にとって天秤にかける値打ちがあるってことだからね。もし君が愛一筋だって思うんだったら、相談なんかしないだろ?それでどうなろうが、悔いはそれほど残らないだろう。
どうしてお金にしとけって言うかというと、それは物質的に確実にそこにあるからだよ。愛というのは儚く消えてゆくものだ。
愛し合って結婚した夫婦間の三年後の愛の生存率はどれくらいだと思う?それは驚くべき数字だよ。言わないでおくけどね。
じゃ、どうして別れないんだ?って不思議に思うかもしれないけど、一度一緒に生活し始めると、慣性の法則が働くからなんだ。それは子どもに向けられる愛情に変化したり、生活の相互依存によるものだったり人それぞれだろうけどね。でもそれが働かなかったら、欠点ばかりが目について許せなくなり、別れることになる。
君は今、そんなことはないって思ったかもしれない。でもほとんどそうなんだ。ほとんどって言ったのは、例外もあるからなんだけどね。それは今の君の愛が、与えられるから返す愛でないのなら、その愛は純粋だと僕は思うよ。それなら僕は胸を張って愛を推すところだけどね。
もし君のパートナーが他に男を作って出て行ったとしよう。それでも君は彼女を愛し続ける自信があるのなら。彼女が帰ってきたら、喜んで迎えられる自信があるなら、その愛は純粋な愛だと言えるだろう。
そんな愛なんてどこにもない。なんて思っただろ?でも、そんなもんはあちこちに転がっている。もし君が日本中を震撼させるような下劣な犯罪を犯したとしても、君の母親は君の味方でいてくれるだろう。たとえヒトラーだろうと、母親にとってはかわいいアドルフなんだよ。立てこもりの現場に犯人の母親が呼ばれ、マイクを握らせるのは、母親の愛を犯人が知っているからに他ならない。
そう。君の言う通り親子の愛はまた別のカテゴリーかもしれない。でも他人同士でもそういうことがないわけじゃない。
例えば君がとっても素敵な詩を書く男だとしよう。有名じゃなくても、彼女にとっては最高の詩人だとしたら、君がどんな悪行に手を染めようが、君を慕ってくれるだろう。でも有名じゃないっていうのは問題がある。もし彼女の目が肥えたら、君の詩がつまらなく思えるようなそんなつまらない詩人だったらダメなんだ。石川啄木のような、中原中也のようなヴェルレーヌのような、ボードレールのような詩人を愛してしまった女性は、たとえ自分に振り向いてくれなくても愛するだろう。それは本物の愛だからだ。こういう繋がりというのはそうそう解けるもんじゃない。
与謝野晶子と鉄幹夫婦の愛は本物なんだよ。鉄幹のクローンを百人並べても、晶子の詩の一節にも敵わないと僕は思うけど、晶子は鉄幹を愛していた。与謝野晶子がどんな人だったのか僕は知らないが、たとえジャニス・ジョップリンのような不埒な女性だったとしても、鉄幹は愛し続けただろうよ。その反対は現実に起きているから今さら言うことはないよな。
今は詩人ばかりを引き合いに出したけど、絵描きの場合もあるだろうし、俳優の場合もあるだろう。普通のサラリーマンってこともある。大事なのはそこに尊敬の念があるかってことなんだ。尊敬の上に愛は居座りやすいって僕は思う。
僕の言う愛が理解できたなら、君が愛をギブアンドテイクで考えているんじゃないのなら、君は愛を選んでもいいと思うよ。
最後に選ぶのは君自身だ。そこは僕がとやかく言うことじゃないからな。
君のことがつくづく羨ましいよ。どうして僕はこんないモテないんだろう。相談に乗ってくれるか?


山根さん、青ブラ文学部のお題をお借りします。
昨日、フォロワーさんとちょっとお話をして、書いてみる気になりました。
もう期限は切れてしまいましたが・・・自費出版です。


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