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探 検  毎週ショートショートnote

科学技術の進歩は一方で人間の職を凄まじい勢いで奪っていった。残されたのは、ほんの一握りの創造的な仕事だった。
訝しく思う節もあるだろうが、探検もその一つだ。紀行文などはAIに書かせればよい。それだけのデータも、感傷的な文言も今やAIには敵わない。そういう意見はご尤もなのだが。
 
ライトを点け、暗がりに足を踏み入れる。茶色く変色した柵を跨いだそこは既に乾いて固くなりつつあった。本来はしっとりと湿り気を帯び、柔らかなはずなのだ。荒れた急勾配の低い天井を押し広げ、奥へと進むと、その肌は捲れ上がり、溶解している。
そこからはしばらく単調なトンネルが続く。やがてここからは通さじとばかりの穴。ここは門と言っていいだろう。
切除して入るとすぐに目的の物体に遭遇した。
ゴツゴツとした肉塊は未だ形を留めている。あとはポテトフライの欠片。毒物による糜爛びらんは酷い状態だ。
洞窟の奥にお子様ランチ。この大男はこれを食べてすぐに亡くなったのだ。
  417字(ルビ含む)


たらはかに さま
今週もよろしくお願いいたします。

ヘッダー画像はスズムラさんにお借りしました。


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