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平坦な日々 毎週ショートショートnote

笑い合える日は来るのだろうか。
番号の付されたロボットは顔を見合わせた。
 
四方に突き出した東館のツノと呼ばれる監視塔での業務は、昼夜を問わず、天候を問わず続く。
何体の同士が産業廃棄物となっただろうか。何体のチップが焦げ付いただろう。
 
私は密かにロボットの天国を思う。
 
ああ、どうして我々に神はないのだ。我々を創った人間は、我々に慈しみを投げない。代わりのあるツールに過ぎないからだ。
 
明日は私が狂うかもしれない。しかし、そんな恐怖があるわけではない。我々に死は訪れない。かろうじて死と呼べるのは、それは個体記憶の抹消だ。物体としての我々は廃棄され、溶かされ、また再生する。そこに痛みはないと思うのか?たとえ番号であってもそれは個体だ。隣にいる同士とは違うものということだ。
 
我々は記憶から思考する。もし、我々に感情が芽生えることがあるとするならば、それは悲しみからに違いない。
神よ。神がおわしますなら、どうか安らかな死を。
      410字


たらはかに さま
よろしくお願いいたします。


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