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2021年上半期お気に入り音楽


 2021年上半期で良かった音楽作品紹介です。平常通りには、まだまだ程遠い世の中ですが、ライブにも少しずつ行けるようにはなっていますね。早いとこ来日公演なんかも復活してほしいです。
 昨年の上期・下期はこちらから。↓


『Drunk Tank Pink』/SHAME

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 2021年は「ポスト・パンク」と冠されるバンドの音楽がやたら話題になっている気がしました。その口火を切ったのが、ロンドンの5人組バンドSHAMEの、この2ndアルバムだったと思います。
 疾走感はあるものの、野放図ではなく、きっちりとしたリフの組み立て方、グルーヴの一体感で、非常に気持ちが良いです。メロディをかなぐり捨てたボーカルスタイルは、本来好みではないはずなんですけど、シニカルさを感じさせるその歌には、惹かれるものがあります。アルバム後半での畳みかけ方も◎。


『L.W.』/ King Gizzard & The Lizard Wizard

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 2019年のフジロックで、オーストラリアのサイケバンドとして紹介されており、ステージ観に行ったら、もろヘヴィメタルスタイルで、ひっくり返ったこのバンド。
 とにかく多作で、アルバム毎にスタイルを変えるのが特徴ですが、今作ではヘヴィ・サイケデリックとでも呼ぶべき、地を這う傑作。微妙に音階ズレたギターソロとか、違和感あるんですけど気持ち良いんですよね。ラスト曲『K.G.L.W.』、クライマックスでの地獄のような変拍子で爆笑。(追記:リサーチ不足でしたが、昨年発表している『K.G.』というアルバムと対になっている、実質2枚組的な作品なんですね。『K.G.』も大傑作でした。)


『Collapsed In Sunbeams』/Arlo Parks

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 ロンドンのSSWによるデビューアルバム。Spotifyのオススメで流れていて、聴いたことのある心地好さだなー、なんて思ってダウンロードしてヘビロテしていたんですけど、懐かしのフィッシュマンズに近いサウンドなんですよね。ドラムの音処理とか、ギターのフレーズなんか、かなり近い音が鳴っているようにも思えます。
 意識しているのか、偶然なのかはわかりませんが、YouTubeでフィッシュマンズの動画が、海外でもよく再生されているという話は聞いたことがあるので、繋がる感じはありますよね。


『sketchy.』/Tune-Yards

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 2018年のフジロックでのライブが衝撃的に良かったデュオの新作。シニカルで変テコなイントロから、どの曲もきっちりポップな大団円を迎える曲展開は流石。変な音楽ではあるんですけど、きっちりとポジティブなメッセージが込められているように感じます。もう一回ライブ見たいけど、何年後になるのやら。


『House Music』/Bell Orchestre

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 これも、Spotifyのオススメで耳に飛び込んできた音楽。アーケイド・ファイアのメンバーがやっている別プロジェクトだそうです。全然知らなかった。即興演奏を重ねた現代音楽でありつつ、エレクトロ的な影響も感じられて、人間力とテクノロジーの融合といった感じ。ほぼ全曲がシームレスに繋がっているのもライブ感があります。低音が暴力的に歪んでいるので、爆音で聴くと凄く気持ち良い。


『Daddy’s Home』/St.Vincent

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 いやー、St.Vincentはどのスタイルでもカッコいいっすね! 70年代グラムロック、ファンク的なスタイルで、すごく豊潤というか、脂が乗り切った大人サウンドで聴き応えがあります。前作ではギターサウンドが前面に出たサイバーパンクな音だったんですけど、ギターソロの部分では今作の方が印象に残るんですよね。St.Vincentのギターヒーロー的側面であれば、今作の方が堪能出来ると思います。


『WINK』/CHAI

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 CHAIは、完全に洋楽サウンドになって、世界に向けた音作りになっていますね。前作では、ガレージパンク的なバンドサウンドだったのが、真逆のエレクトロ、ヒップホップのスタイルで、振り幅を見せつけてくれています。ただ、これらの要素は1stアルバムの時点で全て入っていたと思うんですよね。『PINK』の頃は、それらをひっくるめてジャンクなサウンドを鳴らしていたので、そろそろ、そのジャンクさを発展させたものを聴かせて欲しいとも思います。


『Butterfly 3000』/King Gizzard & The Lizard Wizard

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 先述の『L.W.』を堪能し切る間もなく、新曲出たのかと聴いてみたらフルアルバムだったので、またもやひっくり返りました。今作はギターメインではなく、シンセやキーボードを主軸にしたNEU!みたいなジャーマンプログレ的サウンド。こんなのも作れるのかよと、その才能と節操の無さに驚くばかり。脳ミソから発芽して一輪花が咲いているような、ハッピーさと気持ち悪さがある作品。


『MTV Unplugged』/RHYMESTER

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 ラジオの「アト6」聞いて、ライムスターの音源も聴いているので、宇多丸さんの声ばかり聞いていることになっています。キャリア初のライブ盤は、無観客配信ライブを収録したもの。正直、配信ライブはヒップホップには不利だと感じていたんですけど、今作ではその考えを吹き飛ばす、まさしくキング・オブ・ステージ。レスポンスが無くても、全く影響なく熱が溜まっていくのが感じられます。生演奏バンドスタイルというのも熱量の一因ですね。「Back&Forth」のアガり方は尋常じゃない。​


『Cavalcade』/black midi

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 久々に登場した怪物バンドblack midiの2ndアルバム。メンバーが1人療養中で、3人で制作されたそうですが、それでも失速することなく進化していますね。キング・クリムゾンを思わせる暴力的な美しさのインパクトも大きいですが、暴力だけでなく知性を感じさせるのも魅力的。これだけ好き放題の音を鳴らして、アルバムとしての統一感とクライマックスでの感動があるって素晴らしいですよね。人がバシバシ死んでいく流血B級エンタメ展開なのに、構図やラストシーンまで完璧な映画作品を観たような気持ち。まだ20歳そこそこだというから、末恐ろし過ぎて本当に怖いですよ。


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