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トートバッグの歴史。そのルーツや由来とは?


トートバッグ。

現代においては、おしゃれなファッションアイテムの定番として確固たる地位を確立しています。


街を歩いていると必ずといっていいほど見かけるのではないでしょうか。


トートバッグとは
1枚の生地を折り返し、サイド部分を縫製でつなげることによって袋状にし、両サイド上端にループ状の持ち手を縫い付けることによって、手提げできるようにしたものをいいます。
ものを運ぶための道具として、非常にシンプルな形状でできていることから、長い間親しまれてきました。


何よりクチが大きく広げやすいことから、荷物を入れやすく使いやすいというメリットが人気の理由のひとつといえるでしょう。




トートバッグの歴史


そんな現代にまで親しまれているトートバッグ。

「歴史やルーツは?」

と聞かれると、意外と知らなかったり。


「トート(tote)」の語源は定かではありませんが、もともとは西アフリカのコンゴ語で「持ち上げる(tota)」、スワヒリ語で「運ぶ(tuta)」という言葉が起源になっている、という説があります。

この言葉が17世紀のアメリカでは「運ぶ」という意味での動詞として使われるようになったといわれています。


この「tote」がトートバッグとして使われ始めたのは1900年代に入ってから。

当初は労働者が重いものを運ぶための袋のことを指していたそうです。




そんな時代背景の中で誕生したのが「アイスバッグ」


労働者が重いものを運ぶための袋として存在していた「tote」

“ものを運ぶ道具”として普及していくなかで、新たな使われ方をされていきます。


それが、「アイスバッグ」


“ice carrier”とも呼ばれ、木材をはじめとする重いものだけでなく、氷を運ぶための袋として作られました。

作りは厚手のキャンバス生地を使用した、いたってシンプルなトートバッグです。

その”ice carrier”を開発したのがキャンバストートの代名詞ともいえるブランド、「L.L.Bean」です。

当時は、もちろん冷蔵庫など鮮度の高いものを保管する道具がありません。

同時に氷の扱いにも一苦労する時代でした。

当たり前ですが、持ち運ぶだけで溶けてしまうのです。

使われているキャンバス生地は「帆布」とも呼ばれ、船の帆に使用されているなど、綿素材でありながらも非常に丈夫な素材として重宝されていました。


また、綿素材は実は水に強いという特性があります。

いっけん水分に弱くすぐに濡れるイメージですが、綿素材は水分を吸収すると糸が膨張し、外気の侵入を防ぐ作用があります。

つまり、自然素材でありながらもある程度の防水、保温の効果があるのです。

そんな帆布、綿素材ならではの特性により、氷が溶けにくい(当時)という効果があり、アイスバッグとして普及していきました。


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時代と生活に合わせたトートバッグ


そんなアイスバッグを開発したL.L.Beanのトートバッグ。

その便利さからどんどん普及していくとともに、1950年代にはデザインやカラーリングのバリエーションを増やしながらトートバッグとして広まっていきました。


これを皮切りに、1960年代にはコーチをはじめとするメジャーなハイブランドがレザーのトートバッグを開発し、さらにトートバッグの普及を加速化させていきました。


1980年代には、その使いやすさから広告のプロモーションとして書店がロゴを入れて販売を始めていきます。


1990年代になると、エコロジーブームを背景にレジ袋の消費の削減を目的として、大手小売業がショッピングバッグを販売し始めました。


もともとは小売業者が始めたこのショッピングバッグですが、この頃から小さく収納でき、必要な時に広げてバッグとして活用できる「エコバッグ」が多く流通することとなります。


現代では、リーズナブルで簡易的なものから、有名ブランドの定番まで、様々なトートバッグが開発されています。

雑誌の付録としても人気を誇っているなど、新たな使われ方もされています。


時代の流れに影響を受けながらも、様々な用途のトートバッグが生み出されてきました。

カタチやデザインは変えながらも、実用的に使われたり、オシャレアイテムとして使われたり。


シンプルだからこそ多用途で汎用性の高いこのアイテムは、時代をこえて愛され続ける私たちの生活に欠かせないマストアイテムといえます。




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