日本の名産を巡る。 -タオル編-
日本には全国各地に様々な産業が発展し、”産地”といわれる地域があります。
今回は、誰もが使ったことがあるタオルの産地について。
<タオルの産地>
日本には、いくつか有名なタオルの産地があります。
・愛媛県 今治タオル
・大阪府 泉州タオル
・三重県 おぼろタオル
日本三大タオル産地としても知られています。
同じタオルといっても、産地それぞれには特徴や良さがあります。
その中でも、国内生産量の約60%をしめるのが『今治タオル』です。
タオルといえば”今治”と連想する方も多いのではないでしょうか。
ではなぜ、今治がタオルの産地として発展していったのでしょうか。
今治は、タオルの生産に適した自然条件であることが大きな理由のひとつです。
降雨が少なく、晴れた日が多く、かつ水に恵まれた土地であることです。
今治市内を流れる川の伏流水や地下水が、極めて不純物が少ない硬度成分の低い、タオルに適した良質の軟水が豊富にあります。
この良質な天然の軟水を用いて晒(さら)しを行うことで、繊細でなやわらかな風合いになり、生地自体の発色・白度・柔らかさを十分に引き出した製品を作ることができます。
<歴史的背景>
タオルの語源は、スペイン語のトアーリャ(Toalla)かフランス語のティレール(Tirer)から派生したといわれています。
もともと浴布といった意味ですが、現在は布面にパイルをもつテリー織りのことをタオルと呼んでいます。
エジプトで紀元前2000年頃の墳墓から発見されていたり、古代ローマでもバスタオルのようなものが使われていたとされていたりと、古来からヒトとタオルは関係性が深かったといえます。
今治では、昔から綿栽培が行われていたとされています。
織物の歴史は古く、大和朝廷に布を納めていた記録も残っています。
布をタオルがわりに使用はしていましたが、タオルという名前で日本に入ってきたのは明治に入ってからです。
当時、英国から輸入された綿タオルはその暖かさと柔らかい肌ざわりのためか首巻にも使用されていたようです。
その後、今治は繊維産業を発展させていきました。
当時の今治には、1200台以上の織機があったそうです。
タオルの製造を開始したのが、阿部平助氏。
タオルを今治に持ち込んだとされる人物ですが、綿ネル機械を改造してタオルの織機としていたようです。その後は開発が進み大衆向けのタオルが開発されていきました。
大正時代には、高級なジャカード織りの今治タオルが生産されるようになりました。
現在では製品が多様化し、今治でも様々なタオルが製造販売されています。
品質の高さは、いい綿栽培に適した気候で生産されているからだけではなく、徹底した管理下のもとでの生産で維持されています。
ソフトな肌触りに高い吸水力を持つ今治タオルは、質量共に日本一を誇り、日本国内はもちろん世界各地で愛用される、日本が誇る名産品となっています。
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