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【都市伝説】『寝るな、死ぬぞ!』


緊急事態

 ある大学の山岳部の部員四人が、
      地元の山で冬山登山の訓練をしていた。

  さほど高い山ではない。


   が……
       雪深いことで知られ、
           毎年何人かの遭難者を出す難所であった。

  彼らが登った時も途中から猛吹雪となり、
                道を見失い、        
                    ……雪山で遭難してしまった。


山小屋

    あてもなく、
    さまよい続ける……彼ら。

 「もう限界だ! もうこの辺で……」
   と弱音をはく部員を、ほかの部員がはげまし続けた。

 やがて…

   夕方になり
     さらに、吹雪が強まる。


「おい! あれは! 」
     「山小屋だ! 」
   「助かったぞ」
  「頑張れ! もう少しだ! 」

  部員たちは口々に励ましあった。

    猛吹雪の中、
      やっとのこと。
           一軒の山小屋を見つけた。

吹雪の中の山小屋

   彼らは荒れ狂う吹雪から身を守るために、
                 山小屋の中へ。

何とか明かりを用意

山小屋の内部

  ところが……

     その山小屋は長いあいだ使用されていないようで、
           中には暖をとれるような物がなく、
                        明かりもなかった。
    
   部員たちは緊急用のランタン
               とロウソクで明かりを確保する。

外は荒れ模様

そして……

   夜になるにつれ、
        気温はどんどん下がっていく。

    部員の中には寒さから震えが止まらくなる者も出てきた。

         もし眠ったら……


                       凍死してしまうだろう。


「寝るな、死ぬぞ!」

         と一人の部員が叫んだ。


  彼は以下アイデアを提案。
     体を温めるためと
         眠気を覚ますために、
                         朝まで運動する。


体を温め、眠気を覚ます方法

まずは山小屋の四隅に一人ずつ立つ。
      ⇓
 そして最初の一人がとなりの角へ走りそこにいる人にタッチする。
      ⇓
  そしてタッチされた人は次の角へ走りタッチ。
      ⇓
   そしてタッチされた人が次の角へ……。

中央のテーブルに置いたランタン
            ロウソクの小さな明かりだけが
        照らす暗い部屋の中で
             この「終わらないリレー」を始めると…


終わらないリレー

   リレーを開始してすぐのこと
          突然、山小屋のドアから吹雪が吹き込み

            ロウソクランタンを吹き飛ばしてしまった。
  
    ランタンは破損。
         もうロウソクに明かりをつけるマッチもない。

      明かりもささぬ山小屋の暗闇の中、
  彼らは朝になるまでこれを繰り返しつづけたのである。

 その翌日、
   小屋を訪れた救助隊によって彼らは助け出され、無事に下山をした。


後日談

山岳部部室にて

   大学にもどった四人の部員
       ほかの部員たちにこのときの様子を詳しく語り聞かせた。

 ところが、
    話を聞き終えた部員の中に一人、
      いかにも納得がいかないといった顔をしている者がいる。

その部員は彼らに向かい、じつに不思議そうに、こう尋ねた。


「でも、それって変じゃないですか? 
   最初、四隅に立って一人が走り出したのなら、
     そこには誰もいなくなるはずでしょ。
       そこでリレーは終わっちゃうはずですよ。」

その部員は、声をひそめ
            「五人目の誰かがいない限り……」

都市伝説「山小屋の怪」より

「山小屋の怪」


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