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電車とメディアの関係とは?MaaSはどう思う?「移動空間のメディア環境」登壇者に聞いてみた

11/30(月)に法政大学大学院メディア環境設計研究所のウェビナー「移動空間のメディア環境」の第一弾として、電車・駅などの移動空間のメディア環境を考える、〜電車中心から人間中心へ〜を開催します。

このnoteでは、ウェビナーを運営している法政大学の藤代ゼミ生の根本が、登壇者のみなさんに、電車とメディアの関係や、近年移動や交通の中で注目されている概念「MaaS(マース)」に関する質問をしてみました!
「電車って、こんなに可能性があって、楽しいものなんだ!」と気づかされる回答をいただきました。

イベント詳細
日時:2020年11月30日(月)20時から21時
登壇者のトークテーマ(予定)
「苦行の中の自由、情報過多時代の電車空間」藤代裕之
「乗り換え時間で欲実直結、多接点時代のターミナル」吉川昌孝
「残念な鉄道の情報提供、そこに愛はあるのか」田中輝美

参加費:無料
主催:法政大学メディア環境設計研究所
視聴方法:お申し込みいただいた方に、視聴リンクをお送りします

登壇者のプロフィール紹介

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Q1.電車とメディアにはどんな関係があるんですか?

今回のウェビナーは、電車・駅などのメディア環境がテーマ。電車や駅のメディアといえば、車内や駅の広告、サイネージなどが思い浮かびます。電車とメディアにはそれ以上の関係があるのでしょうか?

移動はコミュニケーション

藤代:英語の「コミュニケーション(communication)」には「交通」という意味もあり、電車はコミュニケーションを生むメディアそのものと言えます。また、例えば東京だと、オレンジは中央線、水色は京浜東北線、と色だけで鉄道の路線が分かったり、東急沿線は高級といったイメージと結びついていたりします。広告やサイネージだけでなく、乗客の雰囲気、駅やデパート、住宅地といった沿線の風景などが多様に組み合わされて電車というメディアは成り立っていると思います。

吉川:藤代先生も指摘しているように、19世紀、電信が発明されるまでは、移動とコミュニケーションは同じ意味でとらえられてました。人が動くこと=情報が伝わることだったわけですね。
テレ=ビジョンのような移動せずに遠くのことが知れるメディアの役割は当たり前になり、デジタルでさらに詳細なことが実感も含めて届くようになると、実際に動くことが価値になっていきました。その移動の体験の際にどんな情報を得るか、あるいは発信するか、人と人とのコミュニケーションを活性化する媒(なかだち)として移動空間=電車の中が変わっていくわけです。

そこには愛と物語がある

田中:私の地元・島根県では、JR木次(きすき)線というローカル線があり、沿線の3分の2の駅を住民が管理して大切に守っています。毎日早朝からトイレを掃除し、周辺の草を刈り、来訪者に案内をして、そして終電を見届けて鍵を閉めて帰る。そこには愛と物語があります。こうした人の物語も鉄道のメディアなのではないかと思います。

Q2.MaaS(=Mobility as a Service)についてどう思いますか?

 ITS 世界会議で設立された MaaS Allianceによると、「MaaSとは、いろいろな種類の交通サービスを、 需要に応じて利用できる一つの移動サービスに統合することである」と定義されています。メディアに関わる皆さんは、MaaSについてどのように考えているのでしょうか?

田中:シンプルに考えると、人の移動をしやすくする、ということなのかなと捉えています。各社の都合で展開されているサービスを、使う人中心に設計し直していく。まさにイベントのテーマである「人間中心へ」ではないでしょうか。

藤代:いまMaaSの事例で紹介されているアプリは、クーポン付きの周遊きっぷのように見えます。それは、移動の価値や体験とイコールではありません。便利でお得という機能が重視される一方で、メディア的な側面が検討されていないのではないでしょうか。

MaaSで「ワオ」をどう作り出すか

吉川:機能的に人とモノを移動させることに立脚したサービスはなかなかMaaSにならないと思うのですが、体験を増幅したり、その共有を活性化するようなサービスなら、お金を払っても体験したくなるサービスになるのではないでしょうか。つまり便利な「ほほー」ではなくて、「ワオ」をどう作り出すかだと思います。VR(Virtual Reality)とMR(Mixed Reality)とPR(Pure Reality)が混生される体験としてデザインするとか。利益率を上げるなら情緒的、感覚を刺激するサービスをいかにつくるかだと思います。

Q3.ウェビナー当日、話したいことはありますか?

最後に、ウェビナーで話したいこと、伝えたいことを伺いました。

田中:私は鉄道、中でもローカルの鉄道が大好きです。鉄道はもっともっと人や地域を元気にする、役に立つ可能性を感じているということもあります。鉄道の可能性について語り合いたいです。

吉川:鉄道ファンだった小学3年生の自分が鉄道の何にワクワクしていて、何に面白さを感じていたか、それを今のテクノロジーとメディア環境を使ったらどんなサービスになるのか、を伝えたいです。
例えば、なんで時刻表という機能の権化みたいな数字の羅列を見るだけで、一日過ごせるぐらい楽しかったのか。家の近所の鉄橋を通る電車、ディーゼルカーを見るだけで何が楽しかったのか。答えは全てそこにあるような気がしてならないんですね。テクノロジーがどれだけ発展しようとも…

藤代:”スマートフォン”か”鉄道そのもの”に注目が集まりすぎていると思います。電車だけでなく、駅や街、田中さんが言うような地域の人もメディアで、それらとスマホをどう連動させ、ワクワクするような体験をつくるのか。電車のメディア的な価値の可能性について話し合いたいと思います。

みなさまのお申し込み、お待ちしています!

11/30のウェビナーでは、6月に研究所から出版した『アフターソーシャルメディア 多すぎる情報といかに付き合うか 』が明らかにした、スマートフォンやソーシャルメディアがもたらした情報過多なメディア環境を踏まえ、鉄道への「愛」や「ワクワク」を持った皆さんが、電車・駅などの移動空間のメディア環境についてお話しします。


ウェビナーは終了しました。概要を記事にまとめています。


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