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ふたりはふたりをみつけた

みつけた
というより
奇跡的に巡り会えた
のほうが正しいのかもしれない。
 
超アングラな場で出会い、セフレから始まった私たち。
彼が出張中ということもあり、期間限定で楽しめる相手というポジションにお互いを据えていた。
2人とも他にセフレもいた。
 
期限が決まっていたことが奏効したのか、ほぼ毎日会う状態が続いた。
彼は早朝から仕事を始め、終わったら1時間ほどかけてうちに来る。泊まって早朝に1時間かけて出張先に戻るという超人的な生活をしていた。今では考えられないほどバイタリティと体力があった。
 
偶然にも彼の出張期間が伸びることになり、「まじか!ウケるww」などとやり取りをし、さらにべったりの日々。
そんななかで彼の人となりを知った私は、ふんわりと好きになっていった。
どうせフラれるしうまくいかないし会わなくなるだろうと思い告白した。
重く受け止めさせて負担にならないように「なんか好きなんやけど」とだけ。自分が傷つかないように予防線を張って。
 
いつかの記事にも書いたように、彼は笑って受け流し、まったく信じていなかった。
「いやいや、あなた一人の男じゃ満足できないでしょ。誰にでも言ってるんでしょ。どうせ浮気するんでしょ」
思い返してみるとまぁまぁ失礼な言葉のオンパレードだったけど、私の生活ぶりや発言、出会い方を踏まえると尤もだと思った。
 
それでも…である。
彼が好きだし、他の男性と会いたいなんてまったく思わなくなっていた。
それだけはわかってほしくてベッドに寝転びながら熱弁をふるった。
 
想いが伝わったのか、まぁいいかと思ったのか、ほだされたのかはわからないが、彼が「じゃあお付き合いしましょうか」と応えた。
関係性が長く続くことも、お互いがそこまで想い合うようになることも考えていない、温度の低い感情が流れていたように思う。
身体の相性もいいし、話していても楽だし、恋人もいないし、まぁ好きかな、というくらいの。
 
遠距離恋愛の期間は1年4か月。
近距離恋愛になってからも1年4か月。
やりとりと時間を重ね、知れば知るほど彼のことを好きになっていった。何が、というわけではない。
彼のすべてが私にすーっと浸透していったような感じ。
恋愛において常につきまとう不安や依存心がまったくなかった。長く共にいるとさまざまなことが露になるが、嫌なところが一つもない。あらゆる面において相性がいい。
 
10年くらい一緒にいるような感覚もあるし、まだ知り合ったばかりのような気持ちにもなる。
 
マカロニえんぴつの「なんでもないよ、」をいまさらながらヘビロテしてるのだけど、こんな歌詞がある。


きみがくれたのは愛や幸せじゃない
とびっきりの普通と そこに似合う笑顔だ
 

なんでもないよ、


よくnoteの記事にも書いていたけれど、一時期、よっぴが「俺のどこがいいの」といったことを聞いてきた時期があった。
私も私で、年上だし子どもも産めないし。よっぴはそれでいいのかな、無理させていないかな、と思っていた。
 
でも違った。
なんでもないふたりが出会って、一緒にふたりを形づくってるんだ。
 
3連休の中日にあたる日曜夜、私の希望で近所の庶民的居酒屋さんへ行った。
店内に貼られていた魚の難読漢字クイズを考えたり、学生時代に流行した音楽の話題で盛り上がったり、引越しにまつわるあれこれについて話したり、たくさん会話をしてたらふく食べて飲んだ。
 
そんなさなか、よっぴがぽつりと言った。
 
 
今みたいにさ、おいしいもの食べて、話して、楽しいって思える。
こういう何気ないことが幸せなんやな

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