見出し画像

砂塵みたいな画質

久しぶりに朝早くから夜遅くまで、走り回るように仕事をして、身体はミシミシと音を立てながらバスに揺られている。前の人が折り畳み式の白い携帯電話(まだガラケーを持っている人というのが一定数いるみたいだ、ちょっと信じがたい話だけれど)にイヤホンを挿して、砂塵みたいな画質のニュース番組を観ている。角の丸みに指を当てるようにして親指と人差し指でつまんで、のめり込むように、観ている。
バスの電光掲示板では「オクラと鶏むねのわさびあえ」の調理方法が流れていて、お腹すいたぁと強烈に思う。こんななのに月曜日であるというから、このままいけば金曜日には、縄文土器でタピオカを啜るお姉さんの前で空腹に倒れてしまいそうだ、いや、自分でも何言ってるかわかんないんだけど、ちょっと怖いくらい何言ってるかわからない。
「夜の糸を解いて 秘密は忘れて
歌う木々の梢 天の方へ」
今日もPredawnのアルバムを聴く。休日がまるで嘘みたいに全く異なっていた一日の忙しなさ、身体はびっくりとして、同時に「そうだよね」って思い出したりして。
鏡で横からわたしを眺めて、ほんとうにだらしなくなった体型に嫌気がさしてたまらなくなった、筋トレ、続けるぞ、ひたむきに。やがて訪れる夏の後先には、わたしがわたしを肯定できるように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?