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普通後部座席のは鳴らない

昨日は、早寝早起きかつ寝る前に携帯をいじらなかった時のスッキリ感を思い知ったり、劇を観て大胆不敵な転換の妙に恐れ入ったり、帰りに乗ったタクシーでシートベルトをつけようと苦戦していたらピーッピーッピーッと音が鳴って、運転手に「普通後部座席のは鳴らないはずなんですけどね、なんかすいませんね」と言われたりなどした。いいよ、全然、あなたのせいじゃない、と真顔で感じ入る夜半時である。
観劇のために夕暮れ前に会社を出たら、空には鱗状の雲が器から派手にこぼした淹れたての味噌汁のように広がっていて、それぞれが陰影を持って橙色に光っていた。
今週からぐんと忙しなくなる、始まってしまう。またここにも、やれ忙しなすぎるだとか、自分を取り戻す暇がないとかそんなことを書き連ねるのだろうか書き連ねるだろうねるねるねるね。今から億劫だわさぁ…とか思いながら、それでも空は広く綺麗だったし、今日はずっとワクワクとしていたので、それはそれで何よりじゃないかと落ち着ける。

「川の淵に添いながら一人 降り注ぐ 春により出かける 淡い光が包んで」

色んな昔のバンドを知り始めて、ようやっと、一段階フレームの整った形でのポップスの聴き方が分かり始めたような、そんな気がしたり、しなかったりの毎日(しかしこの曲は飛び上がってしまうほど良い)。世の中にはいくらでもバンドがいる、というわけではないけれど、なんか名言めいた世迷言をふと思う。曰く、わたしはまだ何も知らないし、何かを知れたと思ったときにはすでに、わたしの一部は死んでしまっている。…………

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