ABCスピンオフ企画!【夜会『本屋さんの声を聴く』】 ー ある短夜の特別なひととき
去る7月終わりの某日、わたしたちは「本屋 象の旅」に集いました。神奈川県立図書館を飛び出した、初ABCスピンオフ企画。横浜市内の一角で、本屋さんのお話に耳をかたむけ、また店名である「象の旅」にふさわしいテーマで、お互いに本を紹介し合いました。ここでは、一参加者としての筆者の目線で、イベントを振り返ります。
夜会『本屋さんの声を聴く』が開かれるまで
後日、主催者である Aさん&マスターさんに改めて、企画の背景を聞いてみました。
本屋さんの常連さんだなんて、Aさんもマスターさんも、かなりの読書家です。「本屋 象の旅」はすでに横浜に根付いた本屋さんだと感じます。
マスターさんの運営する「本と工房 オドリバ」もぜひチェックしてみてください。
本屋さんに着いたら、キーワードを渡された
当日、筆者は閉店後のお店に入れる特別感に、うきうきした心持ちで「本屋 象の旅」へ到着しました。猛暑真っ直中なので、汗びっしょりのまま店内に入ると、AFTER BOOK CLUBのメンバーがすでにたくさんお揃いでした。が、なぜかみなさん、本棚を舐めるように、ちょっと悩みながら店内をゆっくり廻っている様子。
すると、ご挨拶もそこそこに、早速主催者であるマスターさんから、"あるキーワード"を受け取りました。そのキーワードに繋がると思う本を「本屋 象の旅」の本棚から一冊選び、手に取ってほしい、とのこと。それは
旅。
これを見て、すぐにみなさんの様子に納得。著者もすぐに本棚の前の列に加わります。あー、これは全く選べそうにない、とすぐに頭がぐるぐるし始めました。
まず「店主の加茂和弘さんの声を聴く」
それでも15分ほどかけて、どうにか筆者が本を一冊選んだところで、夜会スタートの声がかかりました。車座になれるように、本棚をブッククラブのメンバーと協力して移動させます。店内中央にできたスペースにキャスター付きの椅子を配置し、二人ずつ着席。さっきまでのレイアウトからがらっと変わって、閉店後の特別感が増しました。気持ちが高揚します。
まずは夜会のメインテーマ、『本屋さんの声を聴く』。主催者のAさん、マスターさんがMCとなり、いくつもの質問を通して、店主の加茂さんから生の声を引き出します。加茂さんが本屋さんを始めた経緯や、普段のお店の様子、加茂さんの本選びに関するお話など、多岐に渡りました。本屋さんのお話を聞くのは初めてなので、どれも興味津々です。参加者からの質問も盛り上がりました。
お話を通して、筆者が感じたことは3つ。
お店の名前は大切
本棚にあえて分類をつけないことで、本屋という空間が、お客さんが自由に受け取れるメッセージそのものになる
「本屋 象の旅」は、本に浸る空間
そして「みんなの声を聴く」
そして、夜会も徐々に後半に入っていきます。ここからは、参加者それぞれが手に取った本をきっかけにして「みんなの声を聴く」時間です。加茂さんも一緒です。
最終的に筆者が選んだ本は「不思議の国のバード」。こちらは漫画ですが、
主人公イザベラバードは、実在したイギリスの冒険家です。明治が始まってすぐ、開国した日本を、日本を知らない冒険家がどのように見つめたのか知りたくて、ずっと気になっており、今回選びました。冒険、まさに旅。結果、ど直球の選書になりました。日本以外にも世界各国で冒険したバードは、冒険記もたくさん残しています。それらも、「本屋 象の旅」で見つかります。
都合により筆者は途中帰宅。全員のお話が聞けなかったのが残念です。いつものブッククラブ同様、みなさんお話が上手で、どの本も気になりました。
限られた時間で聞けたお話のなかで、特に筆者が気になった本は以下3つ。
Mさんが紹介した「ワインズバーグ、オハイオ」
架空の町ワインズバーグで繰り広げられる数々の物語が、連作短篇の形式で語られる本。恥ずかしながら、シャーウッド・アンダーソンという作家を知らなかったのですが、すぐに筆者の積読リスト入りしました。
Oさんが紹介した「人間の大地」
サン=テグジュペリ飛行機乗りとしての経験に基づく著作の一つです。Oさんにとって、どうやらこちらの本が学生時代のフランス語の授業の (ちょっとつらかった?) 思い出の本のようです。本棚を見ていったことで、出版社、タイトル、翻訳者が変わってまた出版されていることに気づいた、とのこと。
こちらが思い出の文庫本。どちらも「本屋 象の旅」で見つかりました。
Kさんが紹介した絵本「の」
美しい絵本。ページをめくるたびに、読者の視点を色んな方向へ導いてくれます。本の装丁も美しい!とのお話もありました。
さいごに
夜会を主催してくださったマスターさん&Aさん、そして貴重なお時間をくださった加茂さん、ありがとうございました。
将来自分でも独立したいと思っている筆者としては、加茂さんのお話を聞いて、ビジネス観点でも思うところがたくさんありました。
「本屋 象の旅」にお邪魔したのはこれが二回目でしたが (一回目はマスターさんからの紹介!)、店内で本を手に取らずにはいられないですし、できることなら一冊ずつ開きたくなってしまう、そんな場所だなと再び感じました。きっと、加茂さんの選書から不思議なパワーが発せられていて、それが強烈な読書欲につながるのだと思います。「本屋 象の旅」をたずねて、ぜひ多くの方にそれを体験して欲しいです。
次のABCスピンオフ企画も楽しみです。
(執筆者:そば打ちになりたいJ)
AFTER BOOK CLUBとは?
神奈川県立図書館主催の「After5ゼミ」第1期生がはじめたブッククラブ。
本好きの人もそうでない人も、楽しく月1回集まって読書会をしています。
このnoteでは、読書会の記録やイベント情報、また本や横浜にまつわるお話を公開しています。