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生活の中心にサメがいる

我が家の暮らしには、いつもサメがいる。

朝起きてもそこにいる。
日中も、家に帰って来ても、夜も。
いつもそこにいて、癒してくれる大切な存在だ。

サメとはイケアのシャークである。
品名はブローハイで、日本語で言うヨシキリザメなのだそう。
あまりの人気で、サメに服を着せたり旅行に連れて行っては写真をインスタに載せているひとも大勢いる。

世界的に根強い人気のイケアシャークであるが、今これほどまでにわたしたちの生活の真ん中で愛情を注ぐ存在になるとは思わなかった。(笑?)

始まりは数年前だ。
幼い二人の姪っ子(弟2の子どもたち)のために、弟1が買ってきた。もちろん、子どもたちはサメに大喜びだ。さっそく乗っかったり抱きしめたりと大騒ぎ。
数年経った今でも、サメを愛している姪っ子たちは、おじいちゃんおばあちゃんに会いに来るときにもわざわざ連れてくるくらい。
すっかりへたってしまうほどに子どもたちに愛されている。

しかしこのサメ、体長が1メートルほど。
けっこうな大きさである。

最初、大きなサメが家の中にいるというのは大変だなと少々面倒にも感じていた。
わたしのものではないので、他人事であった。

数年後の2023年、わたしは婦人科の手術を受けた。

退院の日、弟1が車で病院に迎えにきてくれて、自宅まで送ってくれた。
そして、わたしにもイケアのシャークをプレゼントしてくれたのだ。

それ以来、サメはわたしを癒してくれる。
誰が何といおうと、この抱き枕のような存在には、子どもだって大人だって癒される。

その後、子どものいないパートナーとわたしの生活で、サメはすっかり子どものようでもある。
ごはんもおトイレのお世話もお散歩もいらないし、学費もかからない。
犬猫の代わりになるものでもない。
抱き枕のような存在に注ぐ愛情で、自分自身の心がほぐれていくのは驚くばかりだ。パートナー曰く、うちの子の特技はひとを眠らせることである。

すっかりサメ派になってしまったわたしたちは、巷の可愛いサメグッズや街角で見かけるサメに弱く、ときにその可愛さに骨抜きにされている。(主にわたしが)

今では、弟1の家にも弟2の家にも、大きなサメと小さいサイズのサメの複数の子たちが暮らしている。我が家には大きなブローハイが一匹だが、北京からやってきた小さなパンダのぬいぐるみとともに毎日癒してくれる。

この癒しは、ひょっとしたら生活のためにとても重要なのでは。

ふと気づいたので母にこの話をしてみたところ、わたしたち全員のサメ熱狂ぶりを見ていた母は、そろそろうちにも必要なのではないかと思っていたとのことだった。

なので、さっそくイケアの店舗でサメをお迎えし、両親の家に連れて行った。
今では、すっかり父の抱き枕だ。

そう。サメはどんどん馴染んでいくのですよ。

このお話、笑って読んでいるひといるでしょう?
試しにイケアでブローハイを触ってごらんなさい。
きっとこの気持ちがわかるから。



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