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大学卒業から2年、改めて進路を考えてみる

昨年にも同様のテーマで記事を作成したのだが、
それから1年以上経って協力隊活動も大半が過ぎ、
将来についてよりイメージが明確に湧くようになってきたので
改めて今後の進路について考えてみようと思う。


1年目とは変わった考え方

正直、1年目とは大分価値観や考え方が変わったように思う。
1年目はまだいろんなことへの希望があり、
あれもいいなこれもいいや状態で、
それが故のある意味
一体何が良いのか分からない」 
自分は本当は何をしたいんだろうか
という悩みや焦りもあり、
それこそ野生動物分野、アフリカへの憧憬やそこでやっていきたいという気持ちも結構あった。
情熱・やる気・可能性。

2年目。

上記の書き方から察する方もいるだろうが、
野生動物分野でなんとしても成り上がりたいという気持ちは正直落ち着いてきている。
理由としては色々あるのだが、この1年半ほどの間でいろいろな「現実」も見知ったからである。

あまり口を大にしては言えないのだが、
やはり野生動物分野というのは
難しく、とっつきにくく、面倒くさく、お金にならないのだということを実感した。

環境教育をしようにも、
私が言うこと(内容)自体より私自身に興味がある人が多く、内容そっちのけでムズング、チャイナと声をかけてくる。
年齢にもよるが、私が本当に伝えたいことは聞いてくれないことも多い。
だから同僚を動かして同僚に授業をしてもらったり工夫はしているが…
同僚に任せるとどうしても歌やダンスに走りがちだったり、なんだか論点がずれていたりと
思うような自分の理想通りの環境教育はなかなかできない。
毎回毎回言うことが変わり私がやりたいことをサポートしてくれず、お金をたかってくるCP。
セルフィーばかり取って動物や環境のことを本当の意味では考えていない同僚。

動物保護や環境保全を訴えている団体が
当たり前のようにゴミをポイ捨てし、
動物への影響を考えずバイブバイブと自然環境の中で大音量で踊り狂い、大規模なイベントを企画して物を消費し、大量の食べ物を残し、大型トラックで砂埃をあげ大量のガソリンを使って移動する。
言ってることとやってることが一致しない。


他国の偉い獣医さんの接待のために動物の健康診断が後回しになるし、健康診断ごときで動物が死ぬこともある。
低レベル、低意識な獣医師。
保護した動物に対する治療が正しい方法で行われておらず、助けられるはずの命が消えることもある。
今日は何時と決めていた様々なタイムスケジュールは
それが動物の命に関わる物でも、守られない。
綺麗事と言い訳ばかりで行動はしない飼育員。
職員に注意はしても実際に現場では動かない上司。
銃を持ちながらスマホを触ってばかりのセキュリティ。


しかしそれに対し外国人が動くなら
ここは俺たちの国だ、
俺たちは今までこうしてきたんだ、
他所は黙ってろとなるし
やりたいことをやらせてなんてくれない。
いろんな手や口を使って邪魔してきたりもする。
勿論お金なんてそうそう出してくれない。
必要経費(例えば動物の適切な飼料、配属先に必要な展示)を申請しても予算が足りないと却下されたり。
忙しいと(絶対にどこかに時間はあるはずなのに)ミーティングの場をセッティングしてくれなかったり。
プライドだけは高くアドバイスも何も受け取ってくれない。


純粋なやる気や献身では成り立たず、
人脈や権利や金がなければ結局物事は動かない。
それらがない日本人1人ができることなんて、
あまりにちっぽけである。

そしてそれで得られるお金なんて、
決して多くはない。
(むしろ海外では自分がお金を払ってボランティアをしたりもする)。
外国、特にアフリカで、
この地で野生動物に携わるって、
こういう中で生きて
生き抜いて
いかなければならないということだ。


毎日毎日、小さな疲れと諦めが募っていく。

もちろん、そんな状況でも、
頭を使って人を頼って、
時間をかけて回りくどく取り組んだり
どうすれば人々の心に響き理解してもらえるのかとアプローチをしたり自分なりの工夫はしてきた。
それが協力隊でもある。
得られた成果や私が来た意味は確かにあったと思っている。
でも、


疲れたな。まぁもう、いいか。

これが本音である。
現場ってこんなもんなんだ。
あんな大々的に野生動物保護してるように広告していても
世間体は良くても
実際やってることってこの程度なのか。
たとえもし自分に獣医師としての経験や知識がより豊富にあったとしても、
かなりできることは限られるだろう。

そういう現実すら私の力で少しずつ変えてやろう、
もっと動物の命を守りたい、何かしたいんだ
戦いたい、踏ん張りたい、この分野で残っていきたい------


そのような情熱や覚悟は今は落ち着いてきてしまった。
それが私の幸せに加担するとは決して思えなくなってきた。
何も省みずこの分野に没頭するほど、私は馬鹿になりきれなかった。
今、正直ワクワクドキドキよりも
負の感情の方が大きくなってきてしまっている。
自分が気持ちよく活動できないのであれば、
例えそれが自分の好きで興味ある分野だとしても。
そこに無理して人生を捧げたいとは思えないのである。


前述したように、私が来たことで数頭だけでも動物は救えた。(というより、生き長らえさせることができた)。
同僚とともに価値ある展示物を数点作成し、
アクティビティやプログラムを展開し、
その過程で何人かの同僚の仕事や動物に対する意識は確実に変わったし、
Waste managementなんかは配属先として大々的に強く取り組むようになってくれた。
もしかしたら私が教えた同僚や子どもたちの中から、また環境系や動物保護などの分野に尽力してくれる人が出てくるかもしれない。


自分で自分を無理矢理納得させている部分もあるかもしれないが、
子供の頃からの夢は1つ、間接的にでも叶えた。
もう、それでいいか、と思ってしまう。
これからも叶え続け、
それで生涯生きていきたいとまでは思わない。
上記のことがあってもまだモチベを保っていられるほど、私は強くはなれなかったし自分勝手にはなれなかった。

家族、友達、恋人、結婚。
お金、やりがい、自分の幸せ、
生きやすさ、キャリア。
どうしても考えてしまう。

私は凡人で、普通の人で、
自分をすり減らしてまで、それらを犠牲にしてまで
この分野に日本から出てわざわざ残りたいと思えなくなってきたのである。
好きな分野で、情熱があったからこその落胆と失望もあったかもしれない。
他の人がなかなかできないことに挑戦できた満足もあったかもしれない。

でもそれは、実際にウガンダに来て活動したことで---
自分の目で現場を見て、聞いて、体感して辿り着いた気づきで、腑に落ちたことで、納得で。

だから誰かに「無理だ、だめだ」
と言われて諦めるよりも
日本で燻ってぐるぐるしていたよりも、
ずっとずっと良かった。
本当に本当に良かった。
ここまで頑張ってきて夢を叶えた自分を褒めたい。
協力隊に来たことになんの後悔もない。

協力隊の経験も経て、最近、
必ずしも獣医師という資格を活かさなくとも、
野生動物と関わらなくとも、
海外で働く、海外の人と接することも面白いなと思っている。
ウガンダで1年半過ごし、
現地の人たちと関わり、
任国外旅行で各国を回り、
そこで活躍する日本人の方と出会い
海外で働くってやっぱりかっこいいなぁ、と
そこに対して憧れを抱くようにもなってきた。

自分がせっかく取った資格には誇りを持っているし、動物は好きなままだ。
嫌いになるはずもない。
獣医師として働くことも選択肢の一つとしてもちろんある。臨床や公務員として。

でも今、どちらが良いかと天秤にかけると
ワクワクしてくるのは海外なのかもしれない。

とりわけ、中南米に行ってみたい。
中南米独特のカルチャーや人々、生態系にとても興味がある。
アフリカの次は中南米か、
と自分でも笑ってしまうが
最近フランス語やスペイン語も少しずつ勉強を始めて、それはまだまだ、通じるレベルには程遠いけれど、行ける国が増えたら、、、
行ったことが無い場所に行けたら住めたら。
そんなことを考えていると楽しい。
先の未来のことを考えているとワクワクする。
今はあまり、日本で働いている自分を想像できない。

ただ、人生にはあまりにも多くの選択肢とストラテジーがある。
これから私が具体的にどういう道を歩んでどういう姿になっていきたいのかは、まだ明確には決められない。
獣医師として腕を振るう時もあるのかもしれない。

でも変に自分を定義したり、
何かに固執し過ぎなくても良いか、とも思う。
自分が楽しいと思える場所、仕事で
自分のスキルや興味を活かせる場で、
求めてもらえる環境で
流れに身を任せて働ければ良いか、とも思う。
誰かのためになっていることを実感でき
それなりに快適で
生きるのに困らないくらいのお金が稼げたら、なお良い。



とりあえずはなんとか海外で働く方法を探してみようかな。
それだって、そう簡単なことではないだろうけど
人生一度きり。後悔がないように生きていきたいし
やりたいことは全てやり切ってみたい。
行ってみたい国や見てみたい光景、知りたいことが
まだまだ自分の中でたくさんある。

・・・


とはいえ。
これは今現時点でのことだ。
残りの任期半年の中で何か起こるかもしれないし、
日本で数ヶ月過ごしたら
考え方も変わるかもしれない。
そして身内の状況など、自分の意思でどうにもできない問題も出てくるのかもしれない。
それはそれで良いだろう。
その時にまた考えれば良いことだ。


この2年間で私だから気づけたこと。
辿り着けた境地。
誰かに何かを言われたとしても。
普通の道じゃないとしても。
それを信じてまた私らしく道を選んでいければと思う。

とりあえずあと半年
ウガンダと今の環境を大切に生きていきたい。

リハビリ中のフクロウ




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