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協力隊で生き残る「強さ」とは何か

「物事を本当に楽しむためには強さがいる」

私が大好きな漫画・アニメの言葉なのだが、
本当にそうだと思う。

ただ、「強さ」というものはTPOによって様々だと思う。
単純にフィジカル、パワー的な意味での強さのこともあれば、
精神的な意味での強さのこともあろうし、
強さには無限の種類がある。

今回は協力隊として生き残ること、
アフリカなんて土地で2年生きることの強さに焦点を当ててみる。

1. 環境に耐える強さ

これは派遣先任地にもよるため一概には言えないが、
停電が日常的に続く(数日間ずっとなど)
水を自由に使えない(断水、水汲みをしないといけない)
ボットントイレ、虫など不衛生な環境
危険な病気
娯楽のない生活
食の乏しさ、栄養の偏り
治安の悪さ
このような状況の中で心も身体も健康に生きなければならない。
そしてこれは時に自分の意思を越えて作用してくる。
どれだけモチベーションがあっても、どれだけ頑張りたくても、
体や心がついてこれないこともある。
慢性的な体調不良で任期を短縮せざるを得なくなってしまった人も数人知っている。
日本でいくら健康でも、途上国に来た途端おかしい、ということもあり得るのである。

2. アフリカの当たり前を受け入れる我慢強さ

アフリカは日本とは大きく当たり前が異なる。
日本の常識は通用しないし、期待は裏切られることばかりだ。
時間は守ってくれない
約束は守ってくれない
言ったことはすぐに忘れられる
思いつきだけで発言するので言ってることがコロコロ変わる
大事な時にバックれる
報告連絡相談をしない
日本で仕事をしていたら信じられないようなことばかり起こる。
でも、それがウガンダ。それがアフリカ。
これをどうこうしようとしてもできない。
最初は違って面白い、と思えたことでもそれが長期的に慢性的になっていくとやはりストレスになったり、イライラしてきたりもする。
それでもやはり自分は他所者。
その土地の文化や当たり前を受け入れ、その流れに身を任せ、やっていくしかない。

3. 孤独に耐える強さ

当然なのだが、協力隊は基本任地に日本人1人で派遣される。
家族や友達はもちろん、同じ協力隊の人ですらなかなか簡単には会えない状況である。
そして協力隊の制約のもと簡単にフラッと出歩いたり旅行したりということもできない。
今までできていた人付き合いができない。
どうしても陥るホームシック。
私だってこんな2年間も友達や家族に会えなかったことなかった。
また最近はSNSの発展などにより自分が活動している傍ら
日本にいる家族や友達がやれ流行りのスイーツだの、旅行だの、フェスだの季節のイベントなど楽しんでいる様子を眺めることができてしまう。
その時の寂しさのような妬ましさのようなドロドロした感情は、どうしたって芽生えてしまう。自分の活動がうまくいってない時なんかは特に。
もちろん誰が悪いわけでも何が悪いわけでもない。
他人と自分を比較しても仕方がない。
その醜い気持ちを受け入れ消化してなんとか病みすぎないようにするのは至難の業である。

4. 毎日毎日バカにされても耐える強さ

これは、本当に。本当に本当に本当に。
予想以上に。
「チャイナ」「チャイニーズ」「チャンチョンチャンチョン」
もう正直、あまりにも毎日毎日毎日毎日言われるので、
心がどす黒くなってくる。
そもそも私は中国人ではないし、仮に中国人だとして一体何がいけないというのか。世界は広く、色々な人たちがいて、言語も文化も数え切れないほどあるというのに、毎日馬鹿の一つ覚えのようにチャイナチャイナムズングムズング。
家にこもっていて気分転換にと出かけた5分10分の間ですらその始末。
この胸糞の悪さは、正直、旅行とかではなく
ここで真の意味で「生きてこそ」わかる。
正面からいちいち拾っていると本気でノイローゼになってくる。
これを流せるようになったり、戦えるようになったり
自分の中で対処法を見つけないと、気が狂ってくる。


5. 自分の主張を押し通す強さ

いつもいつも主張してばかりなのはそれもそれで良くないとは思うのだが、
でも時に「ここぞ」という時に自分の主張を伝えるのは大事だ。
多くを語らず察する、察してもらう文化の日本。
しかし常に下手に出て相手に合わせているだけだと、
都合の良いやつになってしまってなめられてしまう。
特に国際社会では嫌な時に「嫌だ」と伝えないと
自分の考えや意見を言わないと、
「自分の意見がないやつ」と思われてしまうし、
私の考えや気持ちは相手に一生わかってもらえない。
どうしても伝えたいこと、変えたいこと、パッションを伝える我の強さ。
それを悪い印象を与えずできたら最強である。
(私はまだできない。どうしても言い方雑になったり相手に悪い印象を与えてしまうこともある。。)


6. 相手のモチベを引き出す強さ

これは正直私もなかなかできないので大口を叩けないのだが、
上記のような当たり前の違いがあってなお、
相手のやる気を引き出したりプロジェクトを前に進める力がある人はいる。
何が相手のモチベーションになるのか
---お金、キャリア、恋愛、家族、見栄。
その人の性格も加味して、時に厳しく時に優しく人々のことを持ち上げられる人は本当に尊敬する。
ただでもそれのなんと難しいことか。;;

7. 普通の人がしんどいことをしんどいと感じない強さ

これはもはや才能の域に達してしまうのかもしれないが、
多くの人にとってしんどいと思うことを
しんどいと思わないこと。
アフリカに来たいだなんて思うこと。
実際に来てしまうこと。
そこで日々生活し活動すること。
その中で楽しさやモチベを見出せること。
後天的に獲得できるところもあれば、
もともとそうでなければ、というところもあると思う。
ちょっと誤解を与えてしまうかもしれないが
Mっ気(まーたこんなことが起こっちゃったよどうしたもんか!次は一体何が来るんだい!もう何も怖くないぜ!!ははは!!的な)がないとやってられない。
1.の環境のことにも言えるけれど、
天から与えられたものは実際すごくあると思う。

8. 自分を見失わない強さ

圧倒的少数派に周り、アフリカという不慣れな土地、
異文化、異言語の中で生活していく上で、
その生活に馴染むこと溶け込むことは大事であるが、
それは必ずしも自分を失うということではない。
自分という人間の性質、
自分が大切にしたいもの、人、考え方。
自分軸を持ちそれを貫くこと。
これだけは譲れないといったもの。
究極的に辛い時しんどいとき、結局1番の味方でそばにいるのは自分自身なのである。
私はアフリカ生活でも絶対に時間は守るようにいているし
嘘を言わない、約束は絶対守るを貫いている。

9. 自分の機嫌を自分で取る強さ

上記のこと全てを楽しむ(ことはできなくても適応できる)強さとも言える。
毎日、毎日うまくいかないことばかりで
空回りばかりで
正直イライラすることも怒れてしまうことも多い。
それをできるだけやはり爆発しないように、
精神的に安定していられるよう自分をマネジメントすること。
成果という成果もなかなかあげられず
正直精神を病みやすい環境である。
実際に病んでしまう人も一定数いる。
その中で自分をなんとか、保って、腐らず、死なずに生きなければならない。そして、

10. 失敗しても失敗しても折れない、立ち上がる強さ

協力隊活動、みんなすごいことを成し遂げているように見えるが、それは良く見えるところを切り取ったほんの一瞬なだけで、実際その裏には何十何百ものうまくいかないことや失敗が山のようにある。
隊員同士でも驚くような、本当に想像の斜め上の問題やハプニングが毎日毎日起こる。2年間いたとて活動成果を目に見えてあげることは難しいし、
できると思っていたことができない、配属先の人と関係性が悪くなる、配属先が潰れる、事故、怪我、病気に苦しむ。。。
これでもかというほどのことが起こったりする。
もちろんそれで数日寝込んだり引きこもったり、活動休んでみたり
そういう日だってある。
涙が止まらない日も、自己嫌悪に陥る日もある。
それでも休んだ後、冷静になったあと、頭が冷えた後、
また立ち上がること。
不恰好でもいいから挑戦し続けてみること。
人に相談して頼ってもいい。でも
小さな一歩でもいいから踏み出してまた足掻いてみること。
自分なりの方法で、また一から人との関係性や活動を紡いでいくこと。
小さな希望を見出し、少しずつ少しずつまた前を向いていくこと。

だからもう、なんというか。

結論、雑草のような強さ

つまりなんというか。
ドカドカと壁を破壊し周りを引っ張っていけるような
ヒーロー、リーダー的な強さというよりは、
何度踏まれても根を伸ばし葉を広げようとする雑草のような強さ。
小さくても細く長く「生き残る」強さ。
「死なない」強さ。
名も知らないその辺にあたりまえに咲いている
でも決して無くなる事はない花のような。
それが必要なのではないかと思う。

途方もない。
日本で生活していたらなかなか得られないであろう、
別次元異次元の強さ。
この強さは日本に帰った後、何かに活かせるのだろうか。
この強さを得るために体験・経験した苦労のあれこれは、
何かに生きるのだろうか。
今はまだわからない。
でもきっと無駄ではないだろうなと思う。
無駄にはしたくないと思う。

自分が選んだ道は自分で成功にしていくことができる。
残り数ヶ月、普通の人がなかなか出来ない経験を
今しか過ごせない日々を
楽しみ、苦しみ、挑戦し、失敗し、遊び、学び、生き抜いていきたい。

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