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【R16 訪問販売編 第2話 布団屋ってなんやねん】

ホームセキュリティの訪問販売から布団屋へ移籍したオレは布団屋ってなんやねんって思いながらも、

布団屋のメンバーの方がカッコ良くてスーツも決まっていた。それが布団屋に移籍した理由だ。



ここで軽く訪問販売や布団屋の説明をしておく


自分の時代も訪問販売はもう全盛期が過ぎていたが、今みたいにネットやSNSが普及していないので悪い情報が出回っていなくまだ全然売り上げは上げれた時代だ。


そもそも訪問販売のイメージってあまり無いと思うが実際は【昼間のホスト】と言われているくらいみんなカッコよかった。

よく上司にも『俺たちはカリスマ詐欺師だ』と言われていた。


セキュリティの会社は新人ばかりで分からなかったが布団屋に来てからはギャル男ばっかりで茶髪にメッシュに色黒でスーツで見た目はホストみたいで布団や浄水器の客層は独身マンションの女性やヲタクだけだったからだ。


それで全国を周りワンルームマンションのみ叩き田舎の女の子と仲良くなり時にはSEXをしたりして布団や浄水器をだいたいローンで販売していく。


色んなオートロックも開けれるよう開け方の研修があったり玄関ドアについてあるスコープを外から見れる防具ももらった。

普通は中からしか見えないが小さい万華鏡のようなものでスコープに当てて覗くと外からでも中が丸見えで、叩く前に男か女か判断していた。


後はベランダの窓の数と玄関の隣との距離で間取りを判別して独身マンションのみを叩けと。


売り上げや仕事内容もセキュリティーの時では考えれないようなアポの数と販売数で純粋に今までやってた訪問販売とのレベルの差を感じて、ここで初めて訪問販売の仕事を理解して自分もなりたいと思った。


これを見ている人は布団って何を売るの?と思うので説明する。


・羽毛布団(掛け布団)約25万

・羊毛布団(敷布団)約15万

・ケット(インナー布団、毛布)約10万

・パット(敷きパット)約10万


これがそれぞれ夏用冬用があって更にピローケース、パット(枕)などシリカゲル(乾燥剤)なども販売していた。


浄水器は

アルカリイオン水・製水機・浄水器とだいたい同じで28万くらいでシャワーヘッドやフィルターなど販売していた。

店舗販売の場合は、商品を求めて来店された人に対して価値づけして販売する。

訪問販売の場合は、全く買う気も無く家でくつろいでる人に対して即決で販売する。

しかも布団を。


『店舗で営業してる奴らのように、ブランド力や信頼性・ネームバリューにバックボーンは俺たちには何もないが

だからこそ!これが売れる営業マンはどこに行ってもやっていける!絶対に負けない営業力・コミュニケーション力、臨機応変な対応力が付く!

お金で買った物はいつかは無くなるし、いつも持ち運ばれへんけど、自分が磨いた営業力は全国どこに行っても持っていけるし何処でもやり直せるし金になる!』


と毎日朝礼で洗脳される。

今も洗脳されているのかもしれないが実際にここで学んだ営業力は、商材は違ど本質は同じだと思うので、必要性価値人間力対応力は何処でも通用すると今もそう思うしこの時に学んだ事は普通に接客業をしていたら学べなかった事だと思っている。(持論)


これが布団の訪問販売のざっくりした仕事内容だ。


だいたい4人1チームに分かれてその日の地域に移動して叩いて行くのだがファミリー層とは違いワンルームマンションだけなので以前よりやりやすい。


しかもトークもマニュアルがなく好きに話してこいと。客層の同い年くらいやから、目的は布団を売る事とアポを取る事

それだけ頭に入れて後は好きに話してこいという事だった。


もちろん新人のオレは全く分からない。


売れている人にどうやって話しているか聞いても『適当に話せや』って言われて大事な部分は教えてくれない。

なぜなら歩合制だから自分のトークを人に教えるのはお金をあげているのと同じだそうだ


どうしたらいいか分からずにとりあえずインターホンを押す。男なら『布団屋でーす。布団入りますかー?』って声をかけていた。もちろん論外だ。


女の子が出てきたら『こっちに引っ越してきたんで挨拶きました』と言ってみたりした。じゃあ玄関出てきてくれて話すがもちろん布団の話は一切していないのでアポではない。


結局みんなアポ取って販売しているがオレは取れないでいた。

そんな時一緒に面接にきた高校の友達が辞めると。もう諦めるみたいだ。

悔しかったが生活もあるので仕方なかった。

布団屋は歩合給で給料はほとんど無かったから。

オレは貧乏に慣れていたし、人見知りも治せて女の子と話せて何より出来る気がして少し楽しかった。


そんな日が続くと先輩が認めてくれて玄関を開けさせる小技を教えてくれた。

まず服装はスーツだっていう事を活かせと。不動産でもいいし管理会社と思わせろと。


100均で名札入れを買い証明写真を取って適当に新装寝具管理センター営業許可書とプリントして写真貼って作って持ち歩けと。


そしてインターホンを鳴らしカメラに向かって名札を掲げ笑顔で一言『管理センターでーす』と言えと。


これが面白いように玄関から出てくる。

インターホン越しに『管理センターってなんですか?』って言われたら聞こえないふりしてペンでなんか書いてるフリしろと。


そしてまた笑顔で『すいませーん玄関先お願いしまーす』と言えと。

すると玄関まで出てくる出てくる。


ここでなぜみんな男前なのかと思った。ブスや怪しい奴ならインターホンのカメラで出てこないからアポ取れずにみんな辞めて行くんだと。


まずは話を聞いてもらえないと営業すら始まらないから、とりあえず対面する事を心がけろと教えられた。


玄関先に出てきてもし(管理センター)にしつこく突っ掛かられトラブルになりそうになったら、『新装寝具管理センターです。ダニカビ被害確認でマンションをまわっている』と適当に言って偽の営業許可書を見せて『被害無いならいいですわ』って言ってそいつは切れとも教えられた。


そこまでしても突っかかってくる奴はまぁ居ないし居たらキチガイやから無視して逃げろと。


ここでなんか営業ってすごいなぁ〜というかそんなん新人で思い付く訳ないやろ教えろやセコいやろとも思っていた。


つづく



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