車で表現する人物像2〜古畑任三郎30周年
〈 第2シリーズ 〉
第1話 辣腕弁護士(明石家 さんま)
無理筋の事件でも無罪を勝ち取ってしまうクセ者弁護士は、クセだらけのサーブで登場。
キーを差し込む場所はシフトレバーの後ろ、サイドブレーキの近く。
ボンネットは前に引いてから手前に倒れてくる。
ターボは付いているけど低圧給気。
ドアを開けるとビックリ、サイドシルがない。
…ほかにもまだまだ。でも全部理由があって、実用性はすこぶる高い。
鼻につくけど、実力者。さんまもサーブも、ピッタリのキャスティングだなぁ。
第3話 (怪しげな)医師 草刈 正雄
乗り込んでいる描写は無かったが、屋根のない玄関先に停まっているということは、往診で来ている主人公の車だろう。
Cクラスのようにも見えるが、バンパーの色味がボディの質感とかなり違うので、ブルーノ•サッコによるデザインのEクラスではないかと。
勝負事に強いこだわりをもつ人物だが、大局的にみれば負けてばかり、という低い自己評価のジレンマを抱えている。
そんな彼を安心させてくれるのは、やはりベストセラー高級車のベンツEクラスなのである。
第5話 (まだ)売れていない若手俳優
犯人を慕って、たとえ束の間であっても顔を出す若者。
助手席には若い女性が待つ。決して派手な造形の方ではないので、あれ、と思う。
のし上がるためなら何でも利用するぞ、という人物像を表現しているのか。
アメ車であるポンティアックは、派手な見た目とは裏腹に堅実な設計。
後輪は車軸で繋がっているが、板バネではなくコイルスプリングなので往年のマッスルカーよりは乗り心地がいいはず。LSDも標準装備。
ただし燃費が悪いので、役者稼業が短命に終わることを暗示してたりして。
第6話 学習塾経営者で素人参加クイズ番組チャンピオン(唐沢 寿明)
美しいフォルムのオープン2シーターで、当時は女性ドライバーにも人気が高かったと思う。
急にCMが決まって大金が舞い降りて来たとの事だが、以前から欲しかったのでなければこれは選ばない。
当時の唐沢寿明はほんとに美形で、自己演出に長けた主人公のキャラクターにこの車は良く合っている。
第7話 陶器美術館館長(角野 卓造)
公共施設の関係者だけに、ここはやはりトヨタか。割れものを運ぶことがある可能性も視野に入れて、エアサスペンションを装備した上級仕様を選んでいるはずだ。
第9話 ①雑誌編集長(風間 杜夫)
プライドが高く、見合った実力もある男の選ぶ車は、見た目にもわかりやすい本格派。
この車がパンクした際、必ず『エアサスロック』という手順を踏まなくてはならない。
主人公はそれをどうやればいいか思い出せず、交換を断念したのかもしれない。
あるいは、付属のジャッキが貧弱なつくりなのと、路面ではなく砂利道だったからなのかも。
そっちだったとしておいてあげよう。
②善良なる家庭人(小野 武彦)
ゴルフにトランクを付けたセダン。
この頃のCセグメントはまだ小さかったので、後席の足元は意外に窮屈だった。
ハッチバックの方が明らかに便利なのだが、後ろに何を積んでいるのか見せたくない、という事情を持つ人たちの文化が世界のあちこちにまだあるようだ。
さて、この車の持ち主は、真面目だが大らか、マイペースだけど親切で憎めない昭和のおじさま。財布を拾って届けたり、ヒッチハイクに応じてあげたり。でも秘密にしてと頼まれたことをあっさり口にしてしまっても、大丈夫大丈夫と笑ってごまかす。
そんな人懐っこいキャラクターをこの車はよく表現していると思う。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?