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虚構の中の真実

ポーランドの作家ヴェロニカ・ゲンシツカさんの作品をみてきた。
上流階級の完璧な生活空間を再現したような室内に飾られた、一見幸せの象徴とみえるような写真達。
だけれども、よく見るとどれも現実離れした演出がされている。


男は金、女は顔、仮面家族、あなたを離さない、ステータスの付き合いetc.
本当のところは何を意図しているのかはわからないけれども、単純にシュールで面白い写真ではなくて、社会風刺的な意味合を感じた。


現実離れしているはずなのに、むしろ彼女の作品の方が現実を示しているのではとすら思わされる。

虚構の中の真実

みたくない感情・みないようにしているダークな感情や社会問題を、嫌味なく自然に訴えかける。彼女の印象的な作品は永遠に頭から離れない。

文章で議論すると、自分をよく見せがちだし、倫理的や社会的枠組みを考えて思考しがち。そして自分の理念からかけ離れた相手を、一刀両断で切り捨てる。
一方で彼女の作品は、思考する隙間を与えず、自然に感情に訴えっかけ、"分かる""想像できる"という感覚を作りだす。
良い感情も悪い感情も取り繕うことなく、素直に思いを受け取ったか。
それが自身の理念と一致するか乖離するかは置いておいて、一度思いを受け取る経験をすることで、相手の立場を想像することができるのではないだろうか。そして想像により、一刀両断に対立意見を切り捨てるのではなく、対話するこができるのではないだろうか。

現に、私は作品を見て"男は金、女は顔、仮面家族、あなたを離さない、ステータスの付き合いetc."を感じたわけで。
そういう意見もあるし、全く理解できなわけでもないと思った。
そして、この感情は文章だったら生まれないなとも思った。

相手の立場を想像した上で、各自がどう思うかを話すことが大切なのかなと。
倫理的や社会的善悪を振りかざすだけでは、問題は解決しないから。
対立ではなく対話するための、想像する機会が生まれる社会を目指していくことが大切なんだと強く思う。



彼女の作品は現在KYOTOGRAPHIEでみられます!!
お寺もいいけど、こっちもオススメ。TOKYOGRAPHIEでも巡廻予定らしい。
しばらくKYOTOGRAPHIEネタ続きそう。笑


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