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システムの価値を可視化しよう。 ~KPIからシステムの必要性を考える~

こんにちは。のぐちです。

アミューズメント系ユーザー企業で社内SEやっています。
主に各部門や店舗で起きている業務上の課題を可視化し、システム化企画→委託開発(or パッケージ製品導入)にて解決するといった仕事をしています。

最近は、予算が下りないような小さな課題に対して、既存システム活用やフリーツールを使って解決する!といった試みを始めました。
※ここまで定型文


KGIとKPI

はい。今回は企画の前座小話として、KPIの話をします。
投資効果の指標にKGI (Key Goal Indicators)KPI (Key Performance Indicators) というものがあります。

簡単に説明すると以下の通りです。
KGI:売上増加や利益率向上など経営上の達成目標
KPI:生産性向上や顧客満足度向上など、特定の取り組みの結果得られる改善効果の指標

現在私が対応しているプロトタイプ開発も、業務システムの開発である以上、KPIを設定する必要があります。

今回、自社開発にあたり、様々な目線で業務改善案を検討してきましたが、最終的にKPIを設定してみたところ、効果が高そうな案を検討してみました。

※因みに通常人件費は経費扱いなので、財務上は開発費用 0円と見做されますが、この記事では開発にかかる人件費を投資として記述しています。


企画:LINE Works で店の情報を簡単に調べたい

主な目的は、トラブル発生時の店スタッフの拘束時間短縮と、ヘルプデスクのサポート対応時間の短縮です。

私の部門で運営しているヘルプデスクでは、週平均20件(時期や状況による)のリモートサポートが必要な問い合わせを受けています。
この時に、接続先になるお店の機器情報を調べる必要があるのですが、現状、まとまったデータベースが無いので、都度ファイルサーバーから管理情報をまとめたファイルを開いて、調査に必要な情報を調べています。

現在、この情報の調査に約1分~5分(必要な情報による)かかっており、対応時間の長期化及び、お店側の対応待ちが発生しています。 

特にシステム系の障害はバックヤードで対応する必要があるため、ワンオペ店舗などだと、致命的な問題だったりします。

今回は、この作業をシステム化して改善するとどのくらいの効果が望めるか試算してみましょう。

現状分析

利用者:システム部正社員・パートナー社員・ヘルプデスクの業務委託先
作業タイミング:店舗営業時間帯(10:00-20:00)のうち不定期
1週間あたりの依頼数:20
情報調査にかかる平均時間:300秒
対応1件にかかる時間:300*2=600秒

(ヘルプデスクと待っているお店の人双方でタイムロスになっています。)

効果予測

これが、1件10秒で情報検索ができるようになったら…。
20(件)×290(秒)×2(人)×52(週) = 603,200 秒/年 ≒ 167時間/年
≒ 21人日/年
の削減効果が期待できます。

KPI指標の策定

この企画では、この21人日/年という数値が KPI になります。
具体的にはヘルプデスクにかかっている工数の内、年間で21人日の工数削減効果を目標にするといったところですね。

副次効果

これらは、具体的に数値化はできませんが、効果がありそうな付帯効果です。
・ 常に最新の情報が手に入る。(作業品質の向上)
・ 店スタッフの拘束時間低減による機会損失の低減。
・ ヘルプデスクの対応可能問い合わせ数増加による機会損失の低減。


計画:LINE Works API × Integromat

では、実際のシステム化計画を立てていってみましょう!
尚、今回は社内システムとなりますので、Integromat 以外は既存の社内システムを使うことを前提としています。
(使うといっても、かなりアウトローな使い方ではある)

改善案

店舗の各情報を、検索文字列の入力のみで必要な情報を応答するシステムを開発する。

機能概要

  1. 機器情報検索機能
    LINE Works API でデータ検索の為の検索文字列を入力する仕組みを作る。この時に、リッチメニューを用いてメッセージを選択し式にし、文字揺らぎを抑止する。※前回レビューでもらった改善案
    Integromat を用いて、LINE Works API からの検索文字列の入力をトリガとして受け取る。
    ・ 受け取った検索文字列から、アクセスするデータファイルを判別し、Google Drive 上のスプレッドシートから、必要な情報を検索する。
    ・ 検索結果をLINE Worksに返す

  2. マスタデータ更新機能
    ・ RPA ツール AutoMate を利用し、各データのソースとなっているデータファイルを日次処理で Google Driveスプレッドシート形式にしてアップロードする機能を作る。

システム構成図

システム構成図

開発期間

 約21日間

開発スケジュール

スケジュール

KPI指標の評価

現状の予測ですと、開発に約3週間かかる想定ですので、単年だと費用対効果はトントンな感じですが、5年計画で考えると投資回収できているので導入効果は十分にあると判断できます。

他計画もいくつか検討しましたが、投資対効果があまり伴わなそうなので、今回はこの企画を起用しました。
尚、結構複雑なシステムになりそうなので、心が折れた開発が困難になったときのプランBも考えてみました。

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