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現場での対話からクリエイティブに手を打つ。動的な品質保証で顧客の安心につながる世界標準をデザイン【シニアマネージャー:松浦昌一】

バッテリーや配線のない快適空間を実現するソリューションとして、各業界から注目を集めている長距離ワイヤレス給電技術【AirPlug™ 】。年明けにはいよいよ【AirPlug™ 】搭載製品の量産がスタートします。さまざまな企業が安心して使えるよう、品質保証のマネジメントを任されているのがシニアマネージャーの松浦昌一さんです。複数の内定を辞退してまで、創業まもないエイターリンクを選んだ理由。それは、世界の第一線で働いてきた松浦さんでさえ体験したことのない、「新しさ」にありました。

(エイターリンクnote編集部)

「世界初の現実的なソリューション」と直感

リモート中心から100%オフライン勤務へ。対面だからこそスピーディーに深い議論ができる。

松浦さんが入社したのは今年5月。群馬県高崎市から片道2時間かけて、新幹線で通勤しています。

【AirPlug™ 】は空間そのものを電池にできるような画期的技術です。初めて話を聞いたとき、『これは間違いなく世界の歴史に刻まれる事業になる』と直感しました。この歳になると、退職までの残り時間はペースを落として穏便に働きたいと考える人も少なくないかもしれませんが、ぼくの場合は内心『変化』や『やりがい』を求めていた。53歳という年齢もあり、スタートアップへの転職には妻が難色を示していたのですが、面談に同席してもらい、社内のメンバーと顔を合わせてもらった結果、理解を得ることができました」

ご家族がとくに心配していたのは就業規則。とくに休暇については事前の面談で具体的に要望を擦り合わせたそうです。

「現時点で環境が整っていないのは当たり前のこと。それを1から創り上げていくことを楽しめるメンバーが集っているのだと思います」

厳格な品質管理が求められる車載安全部品や車載アンテナを供給する国内外の大手Tier 1(一次サプライヤー)をはじめ、ワイヤレス通信モジュールメーカー、半導体材料メーカーなどで品質保証のエキスパートとして働いてきた松浦さん。実践を通して培ってきた国際的な知見をフルに活かし、量産体制の構築に向けて極めて重要な役割を果たしています。

リモート中心から100%オフライン勤務へ、働きかたも一変しました。

「エイターリンクでは意思決定のスピードが超高速。そして、全員が『世界初を世に送り出す』という気概を持っていて、毎日フェイス・トゥ・フェイスで絶え間なく議論を重ねています。チャレンジングな仕事に喜びを感じるメンバーと語り合いながら働ける。それが一番嬉しいです」

品質保証は「人」と「人」との対話から

「人と人との細やかなコミュニケーションが、品質を向上させていく絶対条件です」

品質保証ひとすじのキャリアを持つ松浦さんですが、駆け出しの頃は「まったく面白さを感じられなかった」とふり返ります。大学時代の専門は地球科学。新卒当初は資源開発、とくに金属探査の仕事を志望していたそうです。

「希望とは違う配属でしたから、最初は戸惑いましたね。不具合が発生したら原因を究明して、改善策を立てて……。不良品を出さないようルールを厳守し、管理徹底することが最優先なので、良くも悪くも保守的な職場。現物やデータと向き合い、検査や分析に明け暮れる毎日でした」

転機が訪れたのは2000年。QA(品質保証)マネージャーとしてアメリカに赴任した松浦さんは、トラブルの有無に関わらず内外の現場に率先して足を運び、現物の製品を手にしながら、顧客やサプライヤー、そして社内の技術者・営業職の人たちの間を何度も往復しながら対話を重ねていきました。

事業に関わるさまざまな立場の声を幅広く吸い上げた上で、「バランスの良い最適解」をスピーディーに導き出す、そして事業成長に直結する成果を出すことに、QAマネージャーとして働く醍醐味を感じた松浦さん。品質とは、単なる不良品率云々ではなく、サービスや将来性を含めた顧客満足度であることを学んだと言います。

「雑談の中のボソッとした一言とか、顔色の一瞬の変化とか、漂っている場の雰囲気から気づくことってたくさんあるんですよね。品質を保証するのも『人間』、信頼するのも『人間』ですから。日頃の対話から浮かび上がった小さな課題に、細かいPDCAを回して対応していく。その無数の積み重ねが、お客様の安心と満足度につながっていき将来のビジネスをつくっていくのだと思います」

これから創業初の製品を世に問うエイターリンクには「前例」が存在しません。今の時点では、「実際に導入したあと何が起こるか」「どのような要望が寄せられるか」まったくの未知数です。そんな中、松浦さんはどのように準備を進めているのでしょうか。

「一つの方法論として、「FMEA(Failure Modes and Effects Analysis)」という潜在不具合モード評価手法をベースに、社内外の叡智を集めて予想されるリスク(故障やトラブルなど)を徹底的にブレストしプロアクティブに対応策を練っています。円安やインフレなど、今後も先の読めないビジネス環境ではありますが、二重三重にシミュレーションを重ねながら【AirPlug™ 】製品ソリューション自体が世界標準となるために最適解であるべき品質保証プロセスを構築したいと思っています。まずは市場プレゼンスを高めてフィードバックを幅広く集約することが大切なので、メンバーと共に製品ラインナップの充実にも全力で取り組んでいるところです」

【AirPlug™ 】は新しいグローバル市場を生み出すエンジン

「ともに学び、ともに産業を創る。」をコンセプトに各分野をリードする起業家300名が登壇するICCサミット KYOTO 2022で、注目のリアルテック・ベンチャーとして選出されたエイターリンク(2022年9月7日)

すでに多くの業界から寄せられている「製品がリリースしたらすぐにでも導入したい」という期待の声に、1日も早く応えたくてウズウズしているという松浦さん。【AirPlug™ 】によるソリューションは日本と世界に新しい市場を生み出すパワフルなエンジンになると、熱を込めて語ります。

「あらゆる領域で『あったらいいな』と思われてきた長距離ワイヤレス給電ですが、理論や技術の研究だけではなく、キラーアプリケーションを開発して量産まで漕ぎつける企業は存在しませんでした。ものづくりの現場に熱心に足を運び、そこにある課題を熟知してきたCEOの岩佐さんによって、トップエンジニアであるCTO田邊さんの技術が日の目を見ることになった稀有なケースだと思います。これまで製造されたことのない新しい製品なので、要件を丁寧に設計し、サプライヤーに丁寧に伝えていきたいです」

《取材こぼれ話》

趣味のマウンテンバイクなどを通じて同僚と交流を深めてきた松浦さん(右から3番目)

北米でQAマネージャーとして働いていた頃、顧客やサプライヤーから絶大な信頼を得てきた松浦さん。ビザの期限が切れて日本へ帰任することになった時には、取引先である大手半導体チップメーカーの品質部長が「Sho(昌一)を日本に帰すなんてとんでもない!」と、松浦さんが勤務していた会社のゼネラルマネージャーに直訴。人事を動かして6ヶ月以上も滞在を延長させたという驚きのエピソードも。

「品質保証という仕事を通して、こんなにも深い人間、そして信頼関係を構築できるんだと感じました」と松浦さん。これから新しく出会う人たちとの信頼関係を大切に、ライフワークの新たな章を綴ろうとしています。

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