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自分の可能性は自分で切り開いていくーー人生の針路の転換が、ワイヤレス給電技術の確立という、新たな目標との出合いに。【小西貴也】

米・スタンフォード大学発のスタートアップである、エイターリンク株式会社。
現在のIoT(Internet of Things)社会の次は、IoE(Internet of Everything)といわれており、センサーが必要なモノの数は爆発的に増えるはずです。そして来るべきIoE社会に欠かせないのがワイヤレス給電技術であり、エイターリンクの持つ技術は、欠かせないインフラになると注目されています。

今回は、コーポレート業務を担う小西貴也が登場。エイターリンクの“縁の下の力持ち”的存在としてマルチに業務をこなす、頼もしい存在です。30手前という若さながら、「何度も人生の軌道修正を図ってきた」と話す、その過程は、内省と挑戦の連続でした。そしていま、小西は自分の仕事とどう向き合っているのでしょうか。大いに語ってもらいました。

志半ばに理系の道を断念。刺激を受けようと一路カナダへ

―これまでの経歴を教えてください。

僕は名古屋出身です。父親が自動車関係の会社を営んでいることもあり、将来は車のエンジンを作りたいという思いから、当初、名古屋大学への進学を希望していました。しかし、2回挑戦したものの、それは叶わず、同志社大学の機械系学部に進学しました。ただ、夢を諦めきれず大学院で再挑戦したのですが、併願先の学校しか受からなくて。ここでようやく自分には理系の才能がないことに気づき、就職しようと思ったのですが、院試の結果の出る夏を待つうちに就活の時期は過ぎていました。そこで、来年度改めて就活することにし、4月までの約半年間、カナダへの短期留学を決めました。

―留学を決めたのには、何か理由があったのですか。

自分の将来を見つめなおしたことが大きかったです。理系の才能がないのに、なぜエンジン作りたいと思ったのかを突き詰めてみたら、自分は愛知県出身で、父は自動車の仕事をしているという狭い枠組みの中だけで将来を考えていたことに気づきました。その結果、いまの閉そく感があるんじゃないかと思ったら、この半年間はその枠を取り払う意味でも自分にとって一番刺激があることをしてみたくなって。いろいろな価値観に触れることができたら人生は開けるんじゃないかと。その手段として留学を選びました。

―小西さんの意気込みに応える刺激はありましたか。

ええ。ここで、凌さん(当社代表取締役 COOの岩佐)と会いました。僕が入学した語学学校に凌さんがいて、同じクラスで学ぶうち徐々に話すようになりました。このとき、凌さんとは、「一緒に何かビジネスをやりたいよね」って話していたのですが、当時、構想していたことは実現に至りませんでした。ただ、帰国後も卒論を書く以外は取り立ててすることがなかったので、凌さんとは引き続き連絡を取り合い、いろいろなビジネスの可能性を探っていました。そのなかでたどり着いたのが、ワイヤレス給電です。

カナダ留学時代の小西さん

―じゃあ、小西さんも大学卒業と同時にエイターリンクに入って、という流れで……

いえ、商社に就職しました。いろいろな世界に触れて、いろいろな経験をしたいと思っていたので、こうした自分の希望を叶えるのに商社はよいフィールドかも、と考えたのが理由です。いわゆる組織とはどういうものなのかにも興味がありました。ここでは工場に工作機械を提案する営業をしていたのですが、1年半が経つ頃、凌さんから「そろそろ一緒にやろうよ」と声がかかり、2020年9月、エイターリンクに入社しました。

―せっかく入った会社を辞めて、エイターリンクに移ることを決めた当時の心境はいかがでしたか。

僕はワイヤレス給電の技術自体にものすごく興味があったわけではないのですが、「世界を変えられる技術になる」という部分には大きな期待を持っていました。そんなワクワクできることに僕の年齢や経験、学歴で携われるなんて、まるで奇跡みたいなこと。ここに人生かけてみたい、という気持ちは強かったですね。もちろん、凌さんや田邉さんの人柄と熱意に惹かれた部分も大きく、迷わず飛び込むことができました。

固定観念にとらわれない発想と社内外の知見の活用を大事に

―現在の業務内容を教えてください。

コーポレート業務全般に携わっています。具体的には経理や労務管理、加えて電波認証、助成金の申請業務も僕の業務範囲です。

商社での経験から当初は営業を希望していましたが、スタートアップは人が足りないのに業務は膨大にあるため、その場にいる誰かがアジャストしていかなければなりません。営業は凌さんの手腕もあり十分回っているとのことだったので、僕がコーポレート業務を引き受け、未経験ながらも切り盛りしているところです。

最初は営業と技術以外の会社機能を埋めるという位置づけのもと、ビジネスを加速させることが一番のミッションでしたが、いまは社員も増えつつあるので組織のあり方みたいな部分も並行して進めなければならず、正直大変ですが、やりがいも大きいです。

―入社から1年半が経ちますが、自分が成長したと感じるところはどこですか。

固定観念にとらわれず仕事ができるようになったことが挙げられます。「こうしなければいけない」という枠を持ったまま仕事をしてしまうと、その枠を超える結果を出すことはできません。スタートアップは、その枠組み以外の道を探し出せないと生き残れない世界なので、そういう視点が持てるようになったところに自分の成長を感じます。具体的には積み上げ式でゴールを目指すのではなく、設定されたゴールと、いまの自分とのあいだにあるギャップを埋める行動が取れるようになりました。その行動を取るにあたり、自分でも考えを巡らせてはいますが、人に聞いたり、本を読んだり、セミナーを受けたりと外部からの学びも大切にしています。

―社内から刺激を受けていること、学びになっていることはありますか。

仲間の考え方や経験から受ける刺激は多いですね。ボードメンバーである凌さんの経営視点、田邉さんのぶっとんだ開発視点、先日入社された白水さんのファイナンスに関する膨大な知識は、傍らにいてとても勉強になります。生の経営を間近に触れられる機会は普通の会社ではめったにないことだと思うので、吸収できることは何でも吸収したい気持ちでいます。もっとも、それらを理解しないことには彼らと共通認識をもって話すことができません。エイターリンクで働くうえでは必須の知識だと思って食らいついています。

エイターリンクのメンバーと

与えられた環境を当然と受け入れず、自分で可能性を切り開いていきたい

―エイターリンクで働いていてよかった、と実感できる瞬間を教えてください。

自分の働きが、会社のどこにつながっているのかを理解しながら働けるところです。いま、何のためにやっているのか、何のために必要なのか、一つひとつに明確な目的や目標があって、そこに向けて最善の道を選んでみんなが走っているような感覚がとても心地よいです。

―社内の雰囲気をどのように感じ取っていますか。

これは目指している姿でもありますが、一言でいうと「プロフェッショナル」です。会議中の発言一つをとっても、自分の与えられたミッションをいかに達成していくかを念頭に一人ひとりが励んでいることがうかがえます。

―車のエンジンをつくりたい、と思っていたところからのいまですが、ご自身のキャリアを振り返って、いまどのように感じていますか。

僕が本当にやりたかったのは、エンジンつくることではなく、自分が働いた証、自分が働いたことによって生まれた何かを残すことだったんじゃないか、と振り返って思います。その思いはいま、エイターリンクの一員としてワイヤレス給電技術の確立に貢献することで叶えられると考えると、あのころから今日までは確かに続いていて、当時の挫折にも意味があったんだな、と受け止められます。

もう一つ、気づきとしてあったのは、自分は営業に向いていないことを知れた点です。これは悲観的な意味ではなく、営業に配属されたから自分は営業をするんだ、そこに適性があるんだという思い込みから脱却できた、という感覚に近いです。エイターリンクに入ってからは、自分の可能性を自分で切り開いていこうという意思が生まれたように思います。自分に何が向いているのかはやってみないと分かりません。これからもいろいろなことにチャレンジし、そのなかで自分の適性を見極めながら、さらなる成長を目指していきたいです。

―最後に一緒に働きたい人物像を聞かせてください。

会社のビジョンを共感できて、そこに楽しみを持って働ける人、です。というのも、スタートアップの仕事って本当に多岐にわたっているし、知らないこともどんどん降ってきて、それでもやらなきゃいけない状況が多々起こります。ここにやらされている感が出てしまうと、お互いにとって良くありません。ですから、一つひとつの業務が自分の進むべき道につながっていると意味づけしながら働ける人と仕事がしたいです。

もう一つは、エイターリンクの経験を元に、さらなるキャリアアップを果たそうとしている人、いわば、エイターリンクを踏み台にしてもっと成長するぞ、という気概を持った人も歓迎したいです。