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相良とその彼氏と僕

親友の相良友子には彼氏がいる。男女共に分け隔て無く大人気の陸上部のエースだ。
そして、相良友子の親友の僕はどうだ。ガリ勉でギリギリこの高校に入れた。今では下から数えた方が早い。友子くらいだ。こんな僕に優しいのは。友子とその彼氏。例えばB氏とでも名付けておくか。僕はB氏が好きだ。汗を流しているとこも、友子からの差し入れの手作り弁当を嬉しそうに頬張るとこも。友子と、人目を気にしつつ相合傘をするとこも。時々、化学で赤点なことも。全て全て。嫉妬に狂った目で友子を見たり、高校ではおかしくならないようにしている。家ではクッションや、ぬいぐるみのふかふかの毛羽立った、既に何度も泣いてる内にぬいぐるみもクッションも毛羽立つようになった。
そんな根暗な僕だ。

それでも、友子とB氏のことは見守っていたかった。いや、なんで過去形かとゆーと。僕は昨日、青信号に突っ込んできた5トントラックに脳天勝ち割られて死んだから。これは、天国からじゃない。友子に寄生して、自分の葬式にも友子の目線で体験したから知ってる。即死。絶対に助からなかった。楽にしねたのは良かった、とは隣近所で口が悪いと評判のおばちゃん評。

友子、と叫んでも。B氏!と大声で呼んでも誰も気が付かない。だって、死んでるのだから。


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