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熱海旅立ち紀行ー大室山編ー

パブロ楽しいよ


昨日、友人とスプラトゥーン3をしていた。
画面の中では寒色と暖色のが入り乱れ、
一進一退の攻防が続いていて、
コントローラーを握る手にも自然と
熱がこもる。

そんな戦火のイカたちの苦労など
気にも留めないような気の抜けた声が、
Bluetoothで繋いだイヤホンから
流れてくる。

「そういえば、大室山のnoteまだ?」

声の主は我が親友、いたさん。
彼は前回のnote「熱海旅立ち紀行」を読んでくれたようで「俺と永司の視点の違いが面白い」という、
思っていたよりもまともな感想をくれた。

「大室山も素敵だったねぇ」

「マグロの写真見ると鮪屋思い出す」  

「大室山と鮪屋はまた行きたいね」

「時期が違うとまた感じることも違うだろうしなぁ」

「ねぇ、スプラトゥーンって一番最初に出たのいつくらいだっけ」 

「さぁ…5、6年前?」 
*9年前でした。怖っ。

「今が一番楽しい。パブロを振り回す僕をもう誰も止められない」

「楽しめるようになるまでが遅すぎるな」

「6人倒した。いたさんは?」

「15」

「…なんなん?このゲーム?」

↓前回の記事↓

大室山は大人気


そんなわけで、長くなるので割愛すると前回書いたのだけれど、大室山がとっても素敵だったので、続きを書いていきます。決して書くことに困ったわけじゃないよ!

城ヶ崎海岸の駐車場からタクシーを呼び、
僕らは、大室山へと向かった。
ちなみにタクシーは何故か来ないこともある
そうなので、
ここら辺を観光しようと考えている方で、
車の運転ができる人は、車で行った方がいいと思う。

到着したタクシーの運転手さんは、物腰が柔らかく穏やかそうな方だった。
城ヶ崎海岸から、大室山までの距離はそれなりに遠く、道中に点々としているお店の内どこがおすすめかを教えてくれた。
「私も休日ここら辺に来るんですよ」と言っていて
それには、ふーんと思った。

とても詳しかったので、昔から住んでいたのかとおもったが、他所から移住してこられたそう。
誰にだってストーリーはある。
「休日ここら辺に来てること」よりは興味深かったんだけど、「どうして移住されたんですか?」とは聞かなかった。

「あやしい少年少女博物館」という建物が怪しすぎて興味深かったんだけど、今回は見送る事にして数分後、タクシーは大室山に到着した。

どう考えたってなるべく出歩くべきではない日差しの中、
大室山には大行列が出来ていた。
大室山の山頂へはゴンドラでしか行けないので、
必然的にこの行列に並ぶしかない。

ここまで来て引き返すなんて選択肢は僕らの中にはないので、
すぐさまこの行列を構成する細胞の一部となった。
そういえば、タクシーの運転手さんがお勧めしてくれたここの
売店のアイスは普通でちょっと気持ちがしゅんとした。

普通のアイスさん

そんな僕の隣でいたさんはアイスとかき氷を買い
それをドッキングさせていて、
あぁ、こういう人が起業とかするんだろうなと思った。
友達でいてほしい。どれだけ起業しても。

アイスを食べている間に列の長さは短くなるどころか長くなっていた。しばらく並んだ後「永遠みたいだね」と僕がいうと、「でもゴンドラのスピードから逆算したら、大体何分で乗れるかわかるんじゃね?」といたさんは言い、ゴンドラのスピードを数え始めた。

「ざっと見て200人も並んでないし、
大体30分くらいだと思う」といたさんは続ける。
僕は、あぁ、こういう人が買収とかするんだろうなって思った。
変わらないでいてほしい。何度、買収しても。

頭良いって役に立つんだなとも思った。悔しかったので、
「でもどんなに長くても、喋ってればあっという間だよ。
そう、タイムマシーンのようにね」
みたいなこと言ったらなんか、しょっぱい反応だったから、
潰れろいたさんファンドって思った。
いいじゃん。タイムマシーンで。   

「見て、いたさん…。不良みたいな人なのにちゃんと並んでるよ。
なんか、がっかりするね!」

「なんで…?」

「そういえばおれこの前1800円のめっちゃ小さいコーヒー飲んだんだよね」

「美味しかった?」

「なんか酸っぱかった」

「可哀想」

そんなタイムマシーンの会話をしていると、本当に30分足らずでゴンドラの前に到着していた。途中有名人のサインがあったので写真に収めた。
阿佐ヶ谷姉妹のサインが阿佐ヶ谷姉妹すぎて、
ピンで撮影した。阿佐ヶ谷姉妹、
絶対いい人たちだと思う。

コメントにいい人感が出ている。

いよいよ僕らがゴンドラに乗り込む順番が来た。
いたさんが「俺、左がいいな」と言ったので譲った。
僕はどっちでも良かったから。もし僕も左がよかったら、
じゃんけんだった。

ゴンドラはゆっくりと後ろから止まらずに迫ってくるので、
タイミングを合わせて座らなければいけない。
僕はタイミングが合わなくて、膝の裏をごつんとされてしまい
「いてっ」と呟いた。恥ずかしかった。

『うわぁー』(二人)

「怖いっ」(僕)

「ええなぁ」(いたさん)

初手から僕らの感想は違って面白かった。
揺られている間、僕はずっと「怖い怖い。、無理無理無理」と騒いでいたが、
いたさんは後ろを振り向いたりん安全バーから手を離したりしていて、
あ、こういう人が海外展開とかするんだなと
僕は思っていた。元気でいてほしい。どれほど海外展開しても。

あと、彼はアイデンティティをほんの少し奪われた、
安全バーの気持ちをもっと考えてあげたほうがいい。
対照的な二人を乗せて、ゴンドラは頂上を目指す。

「なんで城ヶ崎の断崖絶壁は大丈夫でこれが怖いの?」

「こっちのが怖いっ!」

「あっちのが怖かったよ」

「だって断崖絶壁は自分のせいで落ちるじゃん!
こっちは他人のせいで落ちるんだよ…!その状況が許せない…!!」

その後もゴンドラは途中で止まったりしながら、
ゆっくりと僕らを頂上まで運んでくれた。
ゴンドラがのぼりきる間、騒いでいたのは僕だけで
周りの人たちは皆、感情を奪われてしまったのだろうかと思っていた。

頂上


頂上に着くとまず最初に売店がある。
「ここでしか買えない」とかそういうやつが好きなので、
とりあえずお団子を買った。

そこから道順に行くとおみくじがあるので、せっかく来たのだからと、
こちらも引いておいた。僕は吉。いたさんは小吉。
結んでしまったから手元にないので、よく覚えていないんだけど、
僕のは要約すると「今やっていることを迷わず続けろ」みたいなことが書いてあって、ラッキーアイテムみたいなやつに「鍵」と書いてあった。
なかなかおしゃれなおみくじだ。

そのまま大室山の外側につながる階段へと、
僕らは歩いて行く。
最後の一段を登りきると、その向こうには、葉っぱの緑、おもちゃになった街、大きくなった空に比例して小さくなった海が目の前に広がってきた。

大室山は僕らをこう見ているみたい

城ヶ崎海岸の絶壁のように、
この山ももう少し端まで行けるのだが、
なんだか吸い込まれそうだったので
近づくのはやめておいた。

山頂は太陽に近いのに地上よりも涼しい。
時々吹く風が全身を駆け巡って、
人類のまだ発見されてない内部を撫でてから、
また風として飛び立っていく。

大室山は「もしも天国があるなら
こんな感じがいいなランキング」
に大きく食い込んできた。
まぁ、天国自体は無いならないで、別にいいんだけど。

道なりに歩いていくと、転々とお地蔵さんがいて賽銭箱もあったので、
お賽銭を入れ、ゴンドラが怖かったこと、ちょっと遠くから来たことを伝えてから、願い事をつらつら心の中に浮かべた。
お賽銭を入れた時は、願い事をするものなのだろうか。
いまだに正解がわからない。

蝶:「僕はここでも飛ヶ崎」 僕:「ふーん」

頂上で二人でした会話は、
あまり覚えてないんだけど、
ここでもやっぱり「また来よう」と約束したことは覚えてる。
外周をぐるりとまわり、
最後に中央のお社を見に行って、
僕らは地上に降りることにした。

まごうことなき神社。

「お土産買わなくていいの?」

「下にもあったしなぁ。混んでるから下でいいんじゃない」

ゴンドラは下りの方が怖くなかったので、
それをいたさんに伝えると、「安全バーあげていい?」
と言ってきたので、強く非難しておいた。

帰りのゴンドラでも、周りの人は皆静かで、
やっぱりどこかで感情を奪われてしまったんじゃないかなぁ
と考えていたんだけど、帰りの方が景色を見ることができた。
帰りだけゴンドラに乗れたらいいのにな。

降りると、すぐ隣がお土産屋さんだったので、
そのままの勢いで、店内へと入っていった。
なぜか大室山じゃなくて富士山のグッズがあったり、
小学生男子しか買わない〝あの剣のキーホルダー”
があったりして、お土産屋さんだなぁと思った。

店内をあらかた見終えたのだが、
どうやら頂上にしかないお土産があったようで、
いたさんが、「あれ、俺、戦犯?」と言った。
僕は「うん」と言って笑った。

「でも、この思い出が唯一無二のお土産なんだよ」
とか言おうと思ったけど、
しょっぱい反応が来そうなので、やめておいた。

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