小さな生物がアラワイ運河の大きな問題を解決できるのか?

アラワイ運河は絵のように美しい水路です。マカイ側にはワイキキの高層ビル群、対岸にはモイリイリ、マッカリー、アラモアナなどの公園やゴルフ場、住宅街が広がり、穏やかな水が流れています。

マカイバンクに沿ったヤシの木のプロムナードでは、人々が犬を散歩させたり、ベビーカーを押したりしています。運河の西端にあるアラワイ・ボートハーバーでは、アウトリガーカヌーが滑るように行き来しています。1921年に始まったアラワイ運河は、ワイキキを「太平洋のヴェニス」にしようという構想のもとに作られ、1920年代半ばの写真には、運河で泳ぐ人や土手で釣りをする人の姿が写っています。

しかし、今日のアラワイは、意図されたような牧歌的な水路ではありません。20世紀にホノルルの内陸部で人口が増加し、谷間の森林が伐採されたため、流出した土砂が下流に運ばれ、運河を汚し、詰まらせてしまいました。

現在は、海面上昇に加えて大規模な暴風雨が発生した場合、ワイキキの大惨事となる可能性があるため、その準備が急がれています。この脅威を軽減するために、大規模な洪水対策プロジェクトが計画されています。上流に水をせき止めるためのダムや水路、ポンプ場、集水池、高さ4フィートのコンクリート製堤防などです。

しかし、このような介入は、いずれも非常に高価で破壊的なものです。このような大規模な工学的解決策の中でユニークなのが、問題を根本から解決するシンデレラ・ソリューションです。これは「元気アラワイ・プロジェクト」と呼ばれるもので、100万個の小さな泥のボールに、沈泥を消化して汚染物質を除去する微生物を詰め込んだものです。プロジェクトの主催者は、7年後には運河が泳げるようになり、魚が釣れるようになると予測しています。

この泥だんご、通称「元気だんご」には、1980年代初頭に沖縄の園芸家・比嘉照夫氏が開発した微生物溶液が含まれています。比嘉はミカンの研究をしていましたが、農薬の影響で体調を崩してしまいました。偶然にも、乳酸菌や酵母、光合成細菌などの微生物の集合体が植物を元気に育てることを発見したのです。これを「EM(Effective Micro-organisms)」と名付けました。汚染された土地や水路にEMを投与することで、彼はバイオレメディエーションの静かな革命を起こしたのです。

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