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都市鉱山開発←貴金属のリサイクル

こんにちわ。
前回に引き続き表面技術2022年6月号の小特集を読んでいます。

前半の内容はSDGsと絡めて都市鉱山を活用したサーキュラーエコノミーに関して説明されていました。

後半では、カーボンニュートラルという切り口で都市鉱山開発の必要性を訴えています。

カーボン・ニュートラルにおける都市鉱山の役割

カーボン・ニュートラルと聞くと、太陽光パネルを使ったクリーンな発電を想像する場合もあると思います。

記事の中では、日本の既存の発電・送電網と太陽光発電と蓄電池を使ったシステムについて、TMR(関与物質総量、Total Material Requirement)という指標で比較しています。

TMRは製品を作るために天然資源に対して変更を加えた量の総量を示す指標のようです。

このTMRが、従来の送電網に比べて太陽光発電の方が大きくなってしまうため、単純に太陽光発電に置き換えても意味がないという論調です。

そこで、太陽光発電に必要な資源を都市鉱山から持ってくる事で、天然資源の使用を減らし、カーボン・ニュートラルを実現し、持続可能社会につなげていけるというのが、著者の主張です。

高TMR素材の再利用は日本が進んでいる

各素材を原材料から生成するの場合のTMRが計算されているようです。
元となる天然資源に対して、

鉄は使用する鉄鋼の8倍、銅は300倍、レアアースは数万倍、金は約100万倍
表面技術2022年6月「エシカル・メタル:SDGsに向けた都市鉱山開発の意義」

と、TMRが計算されているようです。

太陽光発電や水素などのクリーンエネルギーを活用しようとすると、特に貴金属と言われる金、銀、銅、白金、パラジウムなどが多く必要になるため、TMRが高くなるというわけです。

じゃぁ、貴金属を再利用しようと考えたときに、日本のリサイクル率は中々高いらしいのです。

この記事のデータは半年後にwebで公開されますが、それ以外のデータを探すと田中貴金属のHPに金のデータがありました。

金の場合は約32%が再利用されているようです。
外国のデータは見つけられていませんが、日本の再利用率は高いのでこの分野は国として強みになり得るらしいです。

都市鉱山の鉱脈

都市鉱山にはどのくらいの資源が眠っているのか。
これに対しては、国民一人当たりの蓄積量という値を用いて推定しています。

これによると、年間消費量の数十倍の量が眠っているといいます。
確かに、うまく活用すれば天然資源を使わずに社会を回していけそうです。

少し驚いたのは都市鉱山の出どころです。

都市鉱山というと、使い終わったり、故障したりした廃製品の中から資源を抽出するイメージでした。

実際は、工場で発生する端材や規格落ちの中間部品などが多くを占めるようです。

私もメーカーに勤めているので、思い当たる部分が多くありました。
ロスは減らすべきですが、それでも出てくるロスは再利用する方向にもっていく必要がありますね。

元々貴金属の端材は有価引き取りになっているようなので、ある程度はリサイクルされていると思いますが、社内で回せたら出金も減らせるし、ESG的にも評価が上がりそうだと思いました。

以上です

今回は、持続可能社会を目指す取り組みの中で都市鉱山の位置づけを知ることができました。
日本の社会ではある程度実施されている活動ではありますが、国際的な枠組みの中で、日本の強みとして活かせる分野であると感じました。

個人的にもこの辺りは注力していかないといけないので、今後も定点観測しておきたいと思います。

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