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コールドスプレー

こんにちは。
表面技術2022年5月号にコールドスプレーに関する記事が載っているので読んでみました。

『コールドスプレーによる固相成膜技術の基礎と最新動向』という記事で、著者は東北大学の方です。

コールドスプレーという言葉は、成膜やコーティングなどの検討をするときには、1度は出てくるかと思います。

前回の記事では溶射についての話でしたが、コールドスプレーは溶射技術の1つで、比較的低温の空気を使って粒子を吐出するのが特徴です。
金属やセラミックは融点よりも低い温度で(固相のまま)成膜されるので、熱応力が抑制されるとのことです。

コールドスプレーって検索すると、冷間スプレーが出るので、世間的な知名度は低いのかもしれません。

樹脂材料も溶射できる

記事では、コールドスプレーの基本的な内容も書かれていますが、気になったのは、樹脂材料の成膜です。

コールドスプレーは比較的低温といっても数百℃になるので、金属やセラミックを成膜するイメージしかありませんでした。

まだ研究段階ではありそうですが、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)やフッ素系樹脂のパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)を成膜する技術を紹介しています。

UHMWPEは耐衝撃性や耐摩耗性が高いということで、切削加工と組み合わせて機械部品や摺動部品に使われます。
ガンプラなどを作るときに使う射出成型は難しいので、ハンドリングしやすいコールドスプレーで成膜できるとニーズが広がりそうです。

PFAは安定している材料なので、電線の被膜やエアチューブなど耐薬品や耐摩耗が必要だったり、非粘着性が必要な部分などに使用されます。
元々ニーズは多いので、コールドスプレーで成膜できると使い手側の利便性が上がるかもしれません。

ナノアルミナで接着

少し気になったのは、ナノアルミナを混合して溶射しないと成膜できないという点です。
これらの材料は元々融点が高いのと安定的な材料です。
なので、低温で吐出するコールドスプレーでは、粒子と被着物、粒子と粒子の接着が難しいというのが課題だったようです。

ナノアルミナを使うと、ナノアルミナ表面の水酸基を媒介して粒子同士を接着できるようになるそうです。
水酸基の量が異なるナノアルミナやナノシリカでも試していて、水酸基が影響しているということは間違いないようです。

樹脂の成膜にナノアルミナを使うのはどうなのかな?と感じます。
電気的な特性とか耐薬品性が変わってきそうですが、著者は機構部品とかを想定しているようなので問題ないのかもしれません。

感想

仕事をしているうえで、コールドスプレー自体はよく耳にするものの、あまり理解できていませんでした。
前回の特集含めて、概要的な部分が分かったのと、材料毎の得意不得意がなんとなく理解できたので、今後の参考になりそうです。

ナノアルミナ入りの樹脂膜は、機械的特性は良さそうなのですが、電気的にどうなのか気になるところです。
仕事で調べる案件はなさそうなので、似たような系で分析している文献があるかもしれないので、頭の隅に置いておこうと思います。何かに使えるかどうかは別として、複合材料としては面白そうだと思いました。

以上です。

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