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限定合理的な確率計算の理論の紹介

こんにちは。
図書館で表紙借りした『経済セミナー』2022年2・3月号に載っていた限定合理的な確率計算の理論について書き残しておきたいと思います。

ちなみに経済に関しては素人なので、基本的には掲載内容を今の自分の理解で書いています。

この雑誌では連載企画として行動経済学に関する理論を紹介したりしているようです。
今号で紹介されているのが、「限定合理的な確率計算(non-Bayesian updating)の理論」というものです。

限定合理的な確率計算(non-Bayesian updating)の理論

英語名にあるように、ベイズの定理に関する理論です。
簡単に言うと(?)、ベイズの定理の事前確率を無視もしくは過小評価して確率計算をしてしまうという理論のようです。
ここまで読んだだけだとピンときませんでした。

ちなみにベイズの定理は以下になります。

$$
\begin{equation}
\begin{split}
P(C|Y) &= \frac{P(Y|C)×P(C)}{P(Y)} \\
 &= \frac{P(Y|C)×P(C)}{P(Y|C)×P(C)+P(Y|NC)×P(NC)}\tag{1}
\end{split}
\end{equation}
$$

で、限定合理的な確率計算の理論では、以下の様に計算してしまうことになるそうです。
事前確率$${P(C)}$$に$${α}$$をつけて、過小評価していることを表します。

$$
\begin{equation}
\begin{split}
P(C|Y) = \frac{P(Y|C)×P(C)^α}{P(Y|C)×P(C)^α+P(Y|NC)×P(NC)^α}\tag{2}
\end{split}
\end{equation}
$$

例えば

これだけだと、抽象的過ぎて理解できないので、文中では以下のような感染症検査に関する問いを使って解説しています。

ある人が感染症Cの原因ウイルスを検出する検査を受けるとしよう。人口1億人のうち1万人が感染症Cに感染しているとする。検査の結果は陽性か陰性のどちらかであり、感染している人が検査を受けると99.9%で陽性と出る。この検査で陽性と出た場合、実際に感染症にかかっている確率はどのくらいか?

経済セミナー2022.2・3

感覚で答えると、陽性が出たらほぼほぼ本当に感染しているだろうと思うので90%くらい?と思ってしまいます。
しかし、上式(1)で計算すると約9%で、感覚との乖離がかなり大きいです。

理論では、この原因を事前確率を無視もしくは過小評価してしまっているためだとしています。
式(2)の$${α}$$に0を代入したのが無視した状態、0より大きく1より小さい値を代入したのが過小評価した状態です。

感覚で90%くらい?と思うのは、事前確率である「人口1億人のうち1万人が感染している」ということをあまり考慮していない状態になっているということ、確かに感覚と実際の乖離を上手く表せていると感じました。

理論の和名に「限定的」とあるのは、複数の情報のうち直近の情報に偏って計算してしまうことからきているようです。
私自身も、前段はあまり考えず、後半の「感染している人が検査を受けると99.9%で陽性と出る」という情報だけから、直感で90%くらいと考えてしまいました。

感想

行動経済学というと定性的に非合理的な人の行動を説明するものだと思っていましたが、ベイズの定理を使って説明する理論もあり、しっかり数学的な要素があることに気づかされました。

また、ベイズの定理の使い方の一例を見ることができたのは良かったと思います。
ベイズの定理はもっと活用したいのですが、正直どんな風に使えばいいかあまり理解していませんでした。漠然と何かに使えそうくらいのイメージでした。

これからはこんな視点も持っていきたいです。

以上です。

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