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八旗制度の本を拾い読み

こんにちは。
清朝に関する本を読もうとしたのですが理解できず、だけど折角なので、拾い読みして得た知識だけでもメモしておきたいと思います。

ここ半年くらいで蒼穹の昴シリーズを読んでいるのですが、とても面白くて、女真族や清の興味を持ち始めています。

図書館でその辺の歴史を説明している本を探そうと思ったら、この本が平置きにされていたので、若干衝動的に借りてしまいました。

https://www.kyoto-up.or.jp/books/9784876985371.html

読んでみてわかりましたが、それなりにこの分野について知識を持っていないと理解することが難しい内容でした。
時間をかけて、周辺知識を集めながら読めばそれなりに理解できそうな雰囲気ではありますがどうでしょう。蒼穹の昴に出てきた人物名も出てくるのでそれなりに面白いそうな内容ではありました。

内容(たぶんこんな感じ)

ヌルハチの率いる女真族の集団とその中華王朝である清朝で重要な役割を果たした八旗制度に関する研究です。八旗制度がどのように成り立ったか・どのような役割を持っていたかについて、経済的・政治的・軍事的に考察されています。

著者の説明では、既存の八旗制度の研究に対して批判的に評論しつつ、著者独自の視点で考察し、その内容が説明されているようです。

記憶に残っていることのメモ

ほとんど読めていませんが、拾い読みで記憶に残っている点を書いておきたいと思います。間違っているかもしれませんが、ちょっと読み返す元気はないです…

〈入関前の八旗制度〉

  • 女真族の中でもヌルハチの率いる集団は裕福ではなく、その集団を養うだけで大変だった

  • 女真族は遊牧民族ではなく、農業と狩猟を組み合わせて生活していた

  • 集団を養うために対外戦争を起こし捕虜や穀物を入手していた

  • 捕虜は自集団の占領地に連れてきて使役した

  • ヌルハチが明へ攻め込まなかったのは、明との戦争中の自集団の民や征服後に増える国民を養うだけの余力や蓄えが無かったから

  • 入関前の八旗制度の中ではヌルハチのようなハンも、各旗を率いるリーダーの一人だった。8人のリーダーの中で全体のリーダーを決めた

  • 八旗に属する官人は八旗のリーダーと主従関係にあるわけではなく、国との主従関係の方が強かった

  • 女真族も多くの奴隷を酷使したが、女真族と奴隷の関係は家族に近いものだった(ただし、女真族側は卑賎だと思っていた)

  • 主人の不正に対しては奴隷にも告発の権利があった

  • 八旗は民が均等に分配され、利益も均等に分配された(八家均等)

  • 八旗の旗主だけがではなく、1つの旗に複数の王が含まれていることもあったと考えられる

  • 漢人など他民族だけの旗も存在した

〈入関後の八旗制度〉

  • 入関後は大多数の漢民族の中で、少数集団側である八旗を如何に生かすか、という点が重要になった。

  • 八旗の中の地位も実力の伴わないものが増えた

  • 皇帝が旗主を務める旗の人数が多くなる傾向にあった

    • 対外的な活動よりも、中央集権的で国を維持する方に重点が置かれたため、八旗の人員を皇帝の警護や権威の象徴として使うことが多くなったため

蒼穹の昴を読んで思い描いた女真族は、気高い騎馬民族で、強いものがリーダーとなる戦が一番重要な民族だという印象がありました。

しかし、実際は(特にヌルハチは)国民を率いていくために武力だけではなく政治的な力も多く使っている民族なんだと感じました。

正直野蛮な民族のイメージもありましたが、利益やリソースの均等分配や奴隷との関係など、現代社会が目指す姿の1つを実践しているような社会だったのだと思います。

中央集権ではないけど、中央政府から必要な支援を受けたり制限されたりしており、経済的な基板が十分あれば中原に出る必要はなかったのではないかと思います。

ただ、今思ったことですが、人口が増えて生産能力が上がると、それまでの社会構造ではうまくいかなかったのかもしれません。リーダーのカリスマ性や幹部の気高い精神だけでは、中華皇帝としての権威を保つのは難しかったのかもしれません。だからこそ、護衛を増やしたり、大きな建物に住んだり、豪華な生活をして権威を保つ必要があるし、階層ごとの序列が必要になり、それによって富のピラミッドが出来るのかもしれません。

この辺はダンバー数とかの考え方を入れて考察できれば、私の中の知識としては繋がるので面白くなりそうなんですが、そこも詳しくないので未来の自分に期待します。

この本の後半の方では、女真族の生活や清王朝として中華を征服してから、少しずつ漢人に近づいていく姿が描かれていました。明時代の漢人の役人はある程度、清王朝にも引き継がれたようなので、もしかしたら漢人の”ノウハウ”である政治力とともに権威を保つ方法も吸収したのかもしれません。

とりあえずは、今はまだ読むのは早かったと思うので、もう少し大衆向け(?)で軽い内容の本を読んでから、この分野に再挑戦したいな、と思いました。

今日は以上です。

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