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(感想)世界最速ビジネスモデル 中国スタートアップ図鑑:第3部~まとめ

中国スタートアップ企業のビジネスモデルを解説しながら急成長の要因を考察する本です。やっと読み終わりました。

今更ですが、著者は井上達彦さんと鄭雅方さん(少し字が違うけど)で早稲田大学商学学術院の教授と助手の方です。

本の装丁が気に入ったのと気まぐれで中国企業がどんな感じか気になったので買って、何ヶ月か寝かせていた本でしたが読み始めたら直ぐでした。なかなかおもしろかった。

今回は第3部から最後まで読み終わった部分の感想を書きます。

第3部

第3部はテンセントとアリババについてです。
さすがに私も知っている企業で、事業体もある程度認識していた通りでした。

前半では、2つの企業のこれまでの成長とそれぞれのエコシステムを構築するまでの経緯について説明しています。このあたりの詳しい経緯は知らなかったので、ストーリーとしては面白かったです。

ただ、第2部までのビジネスモデルをベースにした説明や考察に比べると冗長する気がしてあまり頭には残っていないです。
2つの企業に対する印象はポジティブなものにはなりました。

それぞれがエコシステムを構築する上でのプラットフォームとしての協力企業との関わり方が異なっているようです。テンセントは緩く、アリババは強く、という違いがあるようです。

共通するのは傘下の企業や協力企業を支配するのではなく、オープンなプラットフォームの上で、成長を支援しながら、自らも成長していくという点です。

成長していくプラットフォームの形としては中国に限らず当てはまりそうです。

まとめ

最後に、全体を通して中国スタートアップの急成長の仕組みについて考察しています。

成長するためには「マクロな好循環」と「ミクロな好循環」が合わさることが大切なようですが、中国の場合は第1世代(テンセント、アリババ)をベースに、第2世代(シャオミ、メイトゥアンなど)と第3世代(ピンドゥオドゥオ、新ヨウなど)が順にピラミッド構造になっているため、効率的に成長することができたと書かれています。

ピラミッド構造とは具体的に言うと、前の世代が築いたインフラや技術が標準となって、それを前提として次の世代が、より高次元の新しいサービスや製品を作っていく構造と説明しています。

これだけ聞くと、ある程度発展している国であれば、どこでも見られる構造です。そのため、筆者は中国企業のビジネスモデルは再現性のあるもので、他の地域や国でも通用する可能性が高いと言っています。

まぁ、確かにそうだと思うんですが、中国の場合は、この構造がとても速いスピードで構築されたこと、中国の文化が強く関係していると感じました。

恐らく恣意的にこのピラミッド構造を作るのはなかなか難しそうですし、ある程度は自律的に成長してもらわないと、同じような急成長は出来ないのではないかと思います。

もし、今後、近いレベルで急成長をする地域が出てくれば、中国の場合と比較すると新たな知見が出てくるかもしれません。

全体の感想

読み始める前は、タイトルに図鑑と書かれているし、いろいろな中国を系統的にまとめた本だと思っていました。
実際は、9つの企業のビジネスモデルを例にして、中国企業の成長メカニズムを考察する本で、中国企業図鑑を読むよりも、学ぶことが多かったと感じています。

個々の企業の成長ストーリーやビジネスモデルも面白いのですが、システムシンキングとピクト図解という表現方法を学ぶことができました。

図鑑と書かれているけど、中国企業入門書 兼 ビジネスモデル分析入門書と考えてもよいと思いました。全く前知識なく、これらの研究分野の入口に立つことができる気がします。

以上です。

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