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広島エフ・ドゥのMVリリースが動画マーケ的に美し過ぎたので思わず書いた

こんにちは。2本目のnoteは『Doスポーツ×デジタル』とは全く異なる領域の話です。少し前から応援しているFリーグ選手のYouTubeチャンネルを応援する内容になっています。一見破天荒ながら、実にコンテンツマーケティングの王道を実践しているチャンネルです。スポーツ×コンテンツマーケティングに興味がある人の参考になれば幸いです。

結論だけお伝えしてしまうと以下です。

フットサル選手のYouTubeチャンネルで投稿されたMusic Videoが、Googleの提唱するコンテンツフレームワーク『3H』に則っていて、マーケ的にも素晴らしいですよね

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アスリートのYouTubeチャンネルが増えている?

前置きですが、最近ではアスリートがYouTubeチャンネルを開設し、プレー/プライベートを動画配信するトレンドがあります。ダルビッシュ有選手のようなメジャースポーツのスター選手から、そうでないスポーツまで幅広い選手がチャンネルを開設しています。

上記のnoteにまとめて頂いている以外にも実な様々なアスリートがSNS活動の延長でYouTubeを開設する動きが起きています。

そしてFリーグ(フットサル)からも数選手がチャンネルを開設しており、今回ご紹介するチャンネルはFリーグ2部に所属するチーム『広島エフ・ドゥ』の水田選手と佐々木選手が開設した【ドゥーチャンネル『ホーム満員への道』】です。

このチャンネルは『ホーム満員計画』を掲げて集客トライや歌ってみた動画といった少しユニークな動画を配信しています。チャンネルの目的(ゴール)がシンプルで分かり易く実に良いですね。

現役フットサル選手がMVをリリース!?

そんな『ドゥーチャンネル』で先日、現役アスリートがラップMVを投稿するという珍事が起きSNSのフットサル界隈がざわつきました。

僕はヒップホップについてはあまり詳しくないので音楽的な評価は別の方に委ねますが、素直にカッコ良いトラックと胸を打つ歌詞だなと思いました。

さて冒頭でも書いた通り、このMVリリースの楽曲評価はさておき、YouTubeチャンネルでMVリリースをした事自体は動画マーケティング的に非常に正しい選択の連続だったかと思います。

Googleが提唱する3H戦略とは

3Hとは2014年にGoogleが提唱したコンテンツ(この場合は動画)の戦略フレームワークの総称です。簡単に言ってしまうと、動画を3つのH(Help,Hub,Hero)から始まるカテゴリに分類し、適切に配信していきましょうというものです。あまりに有名なフレームワークなので、ここでドヤ顔で語るべき内容ではありませんね。解説記事がありますのでそちらにお任せします。

HEROは、一言でいえば「ブチ上げ動画」、大きな話題性があって、たくさんの人が見るようなもの、HYGIENE(HELPの旧称)はHEROの真逆で、地味なお役立ちコンテンツであり、ノウハウ物のようなもの、そしてHUBはHEROとHYGIENEの間を埋めるもの

『ドゥーチャンネル』に見るHub→Heroの流れ

さてドゥーチャンネルの動画投稿(Hub→Hero)の美しい流れを時系列で振り返って見ます。まずドゥーチャンネルでMVリリースをすると発表したのが、あのSNS上で伝説の企画となった『100日後に死ぬワニ』の連載終了日のその日でした。トレンド便乗という点でもタイミングは最高ですね。

とは言えまだこの時点では、とりあえず流行りに乗ってみただけのオリジナリティが欠如したコバンザメ商法的な負の印象を感じ取った視聴者も少なくなかったのではないでしょうか。

そこから進展があります。それ以降のYouTubeやTwitterでラップを練習する動画や唄ってみた系の動画更新が続くようになります。もともとYouTubeライクな軽エンタメ動画(ex.Lemon歌ってみたやドッキリ系動画)を投稿していたチャンネルなので、自然な流れで唄ってみた動画が『Hub』として機能していますね。

またこの頃から"この人たち...本気でラッパーデビューするのでは?"と淡い期待を抱き始めた視聴者も多いのではないでしょうか。

そして6月26日、MVリリースの4日前にはメイキング動画も投稿しています。MVリリースをピークに持ってくるための予告のタイミングも完璧ですね。

さていよいよ100日後の6月30日にMVがリリースされます。リアルタイムでこの一連の騒動をウォッチして筆者は率直に映像とクオリティの高さに度肝を抜かれました。誰がどう見ても高品質な『Hero=ブチ上げ』動画で良いかと思います。

そして私の冒頭で載せたTwitterに至る訳です。

今後『ドゥーチャンネル』は何をすべきか?

さてここまでドゥーチャンネルのMVリリースにおける美しい動画マーケティングの流れを見てきました。とは言え、まだまだトップYouTuberのHero動画や人気ジャンルの動画の再生数と比較するとバズと呼べるものではないかと思います。その話は後述します。

また今回はあくまでGoogleのコンテンツストラテジーに則って見た場合の適切さを議論してきました。その上で『ドゥーチャンネル』に関してはHelp要素にまだ開拓の余地があるのではないかと思います。

ガンショ/スイッチ/チョン・ドン/エントラリーニャ/ウンドイス/ジャゴナウ
パラレラ/ケブラ/セグンドパウ/フィンタ/クアトロ/偽ピヴォ/エイト/ヘドンド/アラコルタ

フットサルの専門用語や戦術を解説する動画・トレーニング動画はお役立ち情報としてYouTube内の検索ニーズ(Google検索も含めて)を狙える領域ですね。

動画配信(MV)は正しいのか?

さて本記事の主題とは異なる内容ですが、重要な観点のため触れておきます。それはアスリートのYouTubeチャンネルにおいて「唄ってみた動画(Hub)」→「 MVリリース(Hero)」が適切なのかという点についてです。

ご存知の方も多いと思いますが、アスリートが非競技面をコンテンツとしてチャンネルを運用し成功している代表的な例としては、格闘家の朝倉未来選手が挙げられると思います。当初から格闘家っぽい動画は出さないと公言しており、自身のバックボーンやキャラクターに合った動画を立て続けにミリオンヒット。あっと言う間にチャンネル登録100万人を超えるBIG YouTuberまで上り詰めました。さらっと書ていますが本当に凄いですね。真に才能がある人は何をやっても飛び抜けてますね。

唄ってみた動画で朝倉モデルは成立するのか?

ここではアスリートが非競技的な動画を出しチャンネル運用していくことを『朝倉モデル』と称しますが、『ドゥーチャンネル』の狙いもこの朝倉モデルと同じ潮流にあると言っても過言ではないでしょう。

そこで考えるべきは、唄ってみた動画をHub→Heroと展開することで同じようにミリオンヒットが出せるのかという点です。

日本の地上波放送局を中心としたエンターテイメントを振り返ると、過去タレントがサブプロジェクトとして音楽活動を行いミリオンヒットを飛ばした事例は確かにあります。今は伝説となった猿岩石・有吉の『白い雲のように』、ヘキサゴンから生まれた『羞恥心』、ポケットビスケッツ『タイミング』、いずれもミリオンヒットとなっています。

といった具合でテレビ発の素人によるヒット曲を挙げてみたものの、言うまでもなくこういった事例は、地上波での超人気番組による強力な宣伝効果も伴った上での数字なので、あまり参考にはなりませんね。

朝倉モデルに必要なのは身体的特性とYouTubeとの相性

それでは地上波放送による強力な援護がなく何故朝倉モデルがそこまで伸びたのでしょうか?ヒントは今や1000万再生を超えた以下の動画にあるかと思います。

格闘家のような(純スポーツ的な)動画は出さないとする朝倉モデルですが、こちらは朝倉選手を一躍YouTubeのトップに押し上げた伝説的な動画です。格闘家にしか絶対できない身体能力を活かした企画+ネットで再生数を取りやすいエログロ喧嘩過激コンテンツの側面を含んだ動画となっています。

私自身ここのバズを生む答えを持っていないのであくまで仮説ですが、朝倉モデルには①身体的(超人的)な特性 + ②より過激な内容の二つの特徴があると良いのではないでしょうか。

雑なまとめとなってしまいますが、唄ってみた系動画をHub→Heroと展開するには身体的特性+過激さ(もしくは超絶的な歌唱力など)が加わることで、ミリオンを達成することが出来るかもしれません。そうなると唄う必要性があるのかという話ですが...。

あくまでこれはミリオンヒットを出すには唄が適切かという問いに対する分析です。純粋にスポーツチームに応援歌が出来たという観点で見れば最高ですよね。

最後に:フットサルはオワコンなのか?

最後に、この騒動の中で非常に面白い指摘をされているツイートを見つけたので選手とのやり取りも含めて紹介します。

自分たちの行動を正当化する為にフットサルのイメージを操作してネガティブに見せていないか?といった指摘です。

フットサルがスポーツとして成功しているのか、ビジネスとして成功しているのかというテーマは私の専門ではありません。事故を起こしたくないので見解は控えますが、参考記事は以下に列挙しておきます。

フットサルはオワコンなのか?皆さんの意見を教えてください。

僕の当たり障りのない答えとしてはアメリカ4大スポーツ と比較すると日本のプロスポーツは構造転換する必要がある、といった具合でしょうか。あとマイナースポーツで上手くいってるスポーツは国内にほぼない印象です。

<参考記事>

・【フットサル】 Fリーグの観客数と日本のフットサルの今後

・AbemaTVで「Fリーグ2020/2021」の全試合生中継が決定!

・フットサル「Fリーグ」の何とも厳しい現実

アメリカのスポーツビジネスにおける特徴は?巨大産業化した秘密は?


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